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“クズ”っぷりを惜しげもなく披露 七光り二世タレント、バラエティ需要増のワケ

 “親の七光り”という言葉で叩かれがちな二世タレントたち。親とは関係なく俳優や歌手としてブレイクする実力派も多いが、あからさまに親の力に頼りながら芸能界を徘徊するタレントもおり、昔から二世は叩かれる対象となってきた。一方で、ここにきて、敢えてバラエティ番組でその“クズ”っぷりを惜しげもなく披露し、“二世”のレッテルを逆手に取って売りにするタレントが増えている。

前川清の息子・紘毅。デビューのきっかけとなったオーディションは親のことを伏せて受け、グランプリを獲得。ミュージシャンとしての実力も確かなものだ (C)ORICON NewS inc.

前川清の息子・紘毅。デビューのきっかけとなったオーディションは親のことを伏せて受け、グランプリを獲得。ミュージシャンとしての実力も確かなものだ (C)ORICON NewS inc.

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■清々しいまでに“開き直り”がバラエティで重宝

 親の知名度が高ければ高いほど、両親ともに芸能人であればあるほど、「二世はやっぱり駄目だ」と言われ、「実力もない癖に」と厳しい評価を受けるタレントは多い。実際に売り出し早々に話題先行でラジオの冠番組を持つ話なども珍しくないし、ちょっとした発言でニュースを飾ることもある。そんなことが積もり積もって、二世タレントにはマイナスイメージがつきがちだ。“親の七光り”バッシングは芸能界に限ったことでもなく、世の中どの世界でもあること。それ故か、二世であることを隠してデビューする俳優や歌手も多い。もちろん、実力・人気ともに伴う二世たちも多く、松田優作の息子・松田龍平と松田翔太、渡辺謙の娘・杏などは、親の知名度などもはや関係ない活躍ぶりを見せてくれている。

 しかし、ここにきて二世のレッテルを逆手に取って、それを売りにする「新ジャンル」の二世タレントたちが増えている。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)や『アウト×デラックス』(フジテレビ系)、『有吉反省会』(日本テレビ系)などのバラエティ番組で惜しげもなく、“クズ”エピソードを披露しているのだ。例えば、昭和を代表する作曲家の平尾昌晃の息子で、歌手でDJの平尾勇気は清々しいまでに開き直り、“パーティピーポー”話をバラエティ番組で繰り返している。また、前川清の息子で、シンガーソングライター・紘毅は、当初は“七光り”と言われるのを嫌って伏せていたが、今では清が福岡県の民放ローカル局・九州朝日放送でレギュラーを持つ『前川清の笑顔まんてんタビ好キ』という番組で、エンディングテーマソングに起用してもらっている話なども七光りネタの十八番に。

 二世タレントたちは“ネタの宝庫”だ。「お正月はハワイ」「お年玉が数十万円」「20歳を越えてもお小遣いをもらっている」「誕生日プレゼントに毎年、高級車や高級時計」「結婚式祝いは高級マンション」などの定番の“すねかじり”ネタから、子供の頃から芸能界で活躍する大御所とも付き合いがあるというセレブ的な話が数々ある。時に度を超すと、羨望の眼差しを越えて、親の溺愛を受けた“クズ”呼ばわりされる始末でもあるが、バラエティ的には面白い。自虐的になってしまえば、1周まわって面白くもなってくる好循環を作りだすのだ。

■“開き直り系”二世タレント枠ができつつある現状

 こうした開き直り二世タレントのバラエティ番組出演の増加は、最近のバラエティがスタジオバラエティばかりであることにも関係しているように思う。ひな壇にずらっと並んだタレントたちは独自の小ネタや下世話な話をそれぞれ持ち、ここぞという時の盛り上げに暴露話は必須だ。子どもだからこそ語ることができる親の暴露話は、二世タレントの得意とするところ。しかも親は誰もが知る有名人。出番はここにあるといった具合だ。

 また、そんなスタジオバラエティの演出上、飽きさせないように次から次へと新たなキャラクターを投入させている現状も関係しているかもしれない。昔は一緒くたにしたゲテモノ枠などがあったが、今は起用タレントをより細かく、わかりやすくキャラクターごとにカテゴライズするようになっている。いつの間にか「おネエ」がバラエティのなくてはならない定番キャラクターとなっているのがまさにそうだ。「昔はアイドル」「ハーフ」「ママタレント」といった枠のひとつとして、“開き直り系”二世タレント枠ができつつあるのだ。

 そもそも、昔から芸能界に二世タレントは多い。石を投げれば二世にあたる。ただし、一昔前は芝居や歌に七光り以上の光るものがなければ、生き残ることが難しかった。けれども、今は無理をして身の丈以上の才能を見せる必要はない。そのままの素の状態で暴露話を披露すれば成立するのだ。だが、“すねかじり”や“セレブ”エピソードもいつかは枯渇するもの。その時、初めて彼らの真価が問われてくるだろう。

(文/長谷川朋子)

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