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インフレ状態の“オネエ枠”はいずれ淘汰される?

 “ユニセックスオネエ”として人気のGENKINGや、男性ハーフモデルのIVAN(アイバン)など、新キャラも次々と登場し、いわゆる“オネエタレント”がテレビに溢れるようになって久しい。一方ここにきて、「いいかげん多すぎて、飽き飽きしてきた」「マツコ以外はみんな同じ」といったオネエタレントたちに対する批判の声も出はじめた。先頃、エッセイストの能町みね子さんも“オネエ”という言葉でひと括りにされることに苦言を呈していたが、インフレ状態に入った芸能界の“オネエ枠”は徐々に淘汰されていくのだろうか?

“オネエ”をきっかけに人気を不動のものにしたマツコ・デラックス (C)ORICON NewS inc.

“オネエ”をきっかけに人気を不動のものにしたマツコ・デラックス (C)ORICON NewS inc.

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◆安易に“オネエ”たちに頼り切るテレビ局

 最近、登場しはじめたオネエタレントをざっと見ると、メイクアップアーティストのピカ子(本田ヒカル)に、緑の妖精ふう衣装を着たトシ子ちゃん、“ネオネエンターテイナー”を自称するHIDEKiSM、さらには「女性の格好をしているが心や性は男」であり「女装ではなく“女性装”」を主張する東京大学教授の安富歩まで現われ、まさにオネエ界は百花繚乱といった状況だ。そもそも、こうした“個性”の強い集団をなぜ“オネエ”という言葉でひと括りにしてしまうのだろうか。かつては“オネエ”の中でも、“ニューハーフ”“ゲイ”“オカマ”等々、それなりに細分化されていたはずだった。

 7月21日に放送された『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の「オネエがスポーツテスト」という企画では、現在のオネエ界の幅の広さがよく現れていた。企画自体は、オネエタレントたちが、50メートル走や走り高跳びなどで競い合うといった他愛のないものだが、出演者にIKKOKABA.ちゃんといったベテランオネエから、佐藤かよたけうち亜美など、かつてはこうした他のオネエたちとは共演しなかったであろう“キレイどころ”もいれば、「マツケンサンバ」の振付師で知られた真島茂樹、さらには前田健もいた。前田はかつて松浦亜弥のモノマネで大ブレイク、突然「同性が好き」であることをカミングアウトし、その後ダンス留学したこともあるが、テレビからは久しく遠ざかっていた。一部では、前田の“正直な告白”に視聴者が“引いた”という意見もあった。現在、性転換手術の真っ最中というKABA.ちゃんにも、同じような感覚を抱いている視聴者も少なくないようだ。

◆“ビジネスオネエ”の登場はブーム終焉のサイン!?

 そんな多様なキャラクターも、他の直接的な表現を使えばテレビのコンプライアンス的な問題になるのかもしれないが、“オネエ”という言葉を使ってひと括りにしてしまえば、なんとなくイメージもやわらぎ、便利なのであろう。実際、番組制作側もオネエを重宝しているようだ。あまり製作費がかけられず、大がかりな新しい実験的番組を制作できない今、オネエたちを登場させれば、ある程度のインパクトと数字が見込める。だからこそ、先述したような、“さらに強いインパクトのあるオネエ”たちが求められてもいるのだろう。

 『有吉反省会』(日本テレビ系)に毎週登場するヘアメイクのJunJunなども、あまりの女子力の高さにオネエ疑惑が浮上した(どうやら違うらしい)。ちょっと前には、『タッチ』の上杉達也役の声優だった三ツ矢雄二も、オネエ疑惑に対にして“グレーゾーン”というスタンスを通し、テレビ番組に出演していた。テレビ側も、次々と新しいオネエを求めていくのはいいが、“ビジネスオネエ”(かつては“営業オカマ”といった)とでもいうべきケースまで登場すると、もはやオネエブームも終焉に近づいているのではないかと思えてくる。ちなみに、かつて山咲トオルが、“オネエ口調で化粧もしているが女が好き”というだけでバッシングを受けたことがあった。

◆“オネエ”をきっかけに更なる高みへと上り詰めたマツコ

 そんな“深い関係”にあるテレビとオネエを象徴する存在といえば、やはりマツコ・デラックスだろう。今や芸能人としてもトップに近いだろうし、“オネエ”という枠を超越しているともいえるかもしれない。マツコの魅力といえば、「いいたいことをズバズバいってくれる」「頭の回転が速い」などとよく語られるが、それももはや当たり前。『アウト×デラックス』(フジテレビ系)、『マツコの知らない世界』(TBS系)といった番組を観ればわかるように、個性やアクの強い人物が出てきても、それを超えるマツコの強い存在感とトークが“いいフィルター”となって、出演者のおもしろさを引き立てたり、引き出したりしている。そうした手腕を持つオネエは、見た目のインパクトも含めて、いまだにマツコ以外には見当たらない。

 もともと芸能界の中でも“狭い席”であったはずのオネエ枠。限られた存在だからこそ、求められもするし、存在自体が輝きもする。現状のように、ここまでオネエたちが過剰に増殖してくると、もはやお腹がいっぱいで、辟易している視聴者も少なくない。

 しかし、これからも芸能界は、“一発屋オネエ”を数多く産出していくように思われる。そして淘汰されながらも、しぶとく生き残るオネエたちも少なからずいるだろう。そうしたオネエたちはおそらく、オネエ自体をウリにするのではなく、マツコのような高いスキルを持った徹底したプロフェッショナルか、タレント業以外の分野でも実力や才能を発揮できる者たちに限られていくだろう。

(文:五目舎)
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