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綾野剛、32歳で演じた19歳役 「出し惜しみをしない」

 今年も映画、ドラマと出演作が続く売れっ子俳優・綾野剛が、最新主演作『新宿スワン』(5月30日公開)で演じたのは、新宿・歌舞伎町でスカウトとして生きる19歳の主人公。撮影当時32歳だった綾野に、10代特有のあふれ出るエネルギーを見事に体現した演技について聞いた。

過大表現だった19歳役の演技?(写真:逢坂 聡)

過大表現だった19歳役の演技?(写真:逢坂 聡)

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 同作は、さまざまな欲望が蠢く歌舞伎町を舞台に、スカウトマンとして働く男たちの世界を、スカウトされる側の女性たちとの人間ドラマとともに、その闇と光をあぶり出しながら過激に描く。撮影当時32歳。出演作を積み重ね、演技の経験も技術も持ち合わせる綾野は、今の自身が10代の少年を演じるうえで、役とどう向き合ったのだろうか。

「(演じた)龍彦のにじみ出るパワーが抑え切れない感じを表現する上で、出し惜しみをしないことから始めました。どんなに大げさになっても、過大表現だと言われても、抑えることを一切しなかった。やり過ぎたときには、監督の演出で抑えていただければいい、と思っていました」

 「やっぱり32歳の僕は、19歳の龍彦より落ち着いていますから。芝居をするにあたって、自分が出てくることなんてないですが、それでも体が覚えている抑え方とか、大人でいようとする意識がある。そういうものを全部排除して、龍彦だからできる表現というものを、ダイナミックに、惜しまず、抑えずにやることに徹底しようと思いました」

 そんな意識のもと、クールなイメージを脱ぎ捨て、少年独特の繊細さや逞しさを、美しく、くじけず、その弱さと強さとともに見事に表現した。その一方、心身ともに役柄に入り込んでいた綾野は、救いを求める女性たちに親身になって世話をし、女性たちからも慕われる劇中で演じた龍彦を、人として“未熟”と独自の見解で断じる。

「例えば『オレがスカウトした女は、必ず幸せだって言わせます』っていう考え方も、本人にとってそれがいちばん都合のいい状況だったんです。結局そうでも言って、自分のなかで気合いを入れないと、ビビって逃げていると思われる。それがイヤだったんだろうし。もちろん根本には、女性に手を出すのは許せないという要素を持った人だし、心の底から本気で幸せになってほしいし、オレが幸せにしてやろうと思っていますが、実際に彼が何で収益を得ているのかというところまで、彼には考えられていない。それほど未熟なんです」

「龍彦の考え方では、新宿は変えられないし、世の中も変えられません。きれいごとです。だけど、そういうきれいごとをちゃんと胸を張って、心の底から本気で、何の迷いもなく、ブレもなく、混じり気のない純真さで、ああいうふうに言ってくれる人の存在は“希望”なんだと、完成作を観て僕は思ったし、そういう人はやっぱり必要だと思いました」

 思いを真っ直ぐにぶつける綾野節で熱く語ってくれたが、その裏には作品への愛がにじみでている。同作はまもなく公開されるが、綾野は「まだ何も終わっちゃいない、始まったばかり。本当の闇はこれからなんです」とシリーズ化への期待を抱かせる。

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