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どこまでがOKでどこからがNG? “熱狂的ファン”のあり方とは


 先ごろ、人気グループ・の新曲ミュージックビデオのロケ地として使用された千葉県いすみ市のスタジオに、嵐ファンが無断侵入して近隣住民に迷惑をかけたとして、ブログでファンに自制を求め話題となった。人気タレントのファンによるロケ地巡りに関するトラブルは以前からあったが、こうした“行きすぎた”ファンのあり方、ファンコミュニティ内での“自発的・自制的ルール”について、改めて検証してみた。

◆ジャニーズや宝塚のコアファンの間で根付く“自発的”に定められたルール

 自制心を失った熱狂的ファンの迷惑行為としては、一部の鉄道ファンによるものがある。鉄道ファン、いわゆる“鉄ちゃん”はいつの時代にもいたが、“撮り鉄”“録り鉄”“乗り鉄”などと細分化されながら、かつてはそれぞれが一般乗客に迷惑をかけることもなく、自分の趣味を楽しんでいたように思う。だがテレビ局がマニアネタとして鉄道ネタを取り上げると、そこそこ視聴率が取れたことから、潜在的な鉄道ファンが多いことに気づいたマスコミがこぞって放映。結果、“〇〇特急が本日終電で廃止”といったイベントになると、ホームに撮影客があふれ、民間人の私有地に無断で侵入して撮影するなど、多くの迷惑行為が問題視されるようになった。こうしたあからさまな迷惑行為は、これまではファン同士の“暗黙のルール”によって自制され、あまり見られなかったという。

 一方、このような暴走するファンの行為をあらかじめたしなめ、施設やタレント、その周囲に迷惑をかけないようにする“自浄”制度を持ったファン同士のコミュニティもある。その代表として、ジャニーズのファンがあげられるだろう。そもそもジャニーズ事務所所属のタレントのコアファンたちは、そのほぼ全てがファンクラブに所属しているだけあり、ファン内でのルールにも厳密なものがある。

 例えば、「コンサートの出入り待ちはしない」「追っかけでも、ジャニーズメンバーと同じ車両に乗ってはいけない」「握手やサインを求めてはいけない」などのほか、コンサート中に振る“うちわ”に至っては、「胸より高い位置に上げてはいけない」「余計な飾りをつけてはいけない」「公式のサイズ、縦28.5×横29.5センチより小さくする」等々、実に細かいところまで厳格に規制されている。まさに“鉄の掟”といったところだが、アイドルに迷惑をかけないため、もしくはアイドル自体がそうした行為に対する発言をしたことから、コアファンの間で“自発的”に定められたルールなのだ。そうしたルールから逸脱したライトなファンは、“やらかし”として徹底的に糾弾される。また、このようなファン組織の元祖として宝塚があり、“出待ち”ではファンはきちんと整列し、タカラジェンヌに手紙やプレゼント(花は禁止)を渡すときはひざまずくなど、それこそ“暗黙のルール”が厳格に守られている。

◆ファンの熱狂的パワーを有効活用することが、エンタメ業界発展のための“鍵”

 時に迷惑行為として問題になることがあるものの、物語の舞台となるロケ地巡りなどで、地域経済に貢献することもある。『エヴァンゲリオン』の舞台となった箱根、芦ノ湖近辺は有名だが、『クレヨンしんちゃん』や『となりのトトロ』『らき☆すた』などの舞台地を持つ埼玉県は、“アニメの聖地”を目指して自治体と観光事業者が連携し、ロケ地を中心に地域経済の活性化に成功した。今回、続編の制作が明かされた『冬のソナタ』も、かつては旅行会社がロケ地巡りのツアーパックを販売し、現地にファンが詰めかけるなど、一大社会現象にまでなった。

 TwitterなどのSNSの普及により、直接タレントと会話できるケースもあり、昔に比べるとタレントとファンの距離が近くなった。その一方で勘違いしたり、過激になったりするファンも増えてくる。しかし、そうしたファンたちの“硬化したトランス状態”こそが、タレント側のショービジネス界や映画、アニメなどの産業、またはロケ地をからめた地域経済を発展させる源だともいえる。しかし一歩間違えば、その熱狂的パワーは“行きすぎた”迷惑行為となり、場合によっては、不必要な規制や業界の自粛・萎縮につながってしまう。

 今後、いかにファンの熱狂的パワーを有効活用するかが、エンタメ業界発展のための“鍵”になってくると思われる。しかし同時にそれは、応援する側の“マナー”や“節度”にもかかっているのだ、といっても過言ではないのかもしれない。

(文:五目舎)
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