累計発行部数1000万部を突破し、大人気の旅行ガイド『ことりっぷ』。旅好きな働く女性を中心に支持されている同シリーズは、女子旅誘客や商品の販促ツールとして、多くの自治体や企業とコラボを行っている。
出版不況と言われるなかで、累計発行部数1000万部を突破した旅行ガイド『ことりっぷ』(08年創刊)。旅好きな働く女性たちの心をつかんだことが成功の大きな要因で、今や、その読者層への訴求を望む自治体や企業とのコラボ商品も次々と制作、『ことりっぷ』ブランドを確立させ、ライツビジネスへと発展している。
コラボ商品第1弾は、ガイドブック創刊からわずか1年後に制作されたUR都市機構の販促ツール。「『ことりっぷ』とのコラボなら、旅好きな働く女性に対する販促に有効」とオファーされたという。以降、自治体や企業からのコラボ企画の依頼は年々増加し、現在では社内初のガイドブック単独の部署「ことりっぷ事業部」を設立するまでに成長している。
『ことりっぷ』が厚いファン層を獲得できた背景には、創刊の際に、旅好きな女性へのインタビューをはじめ徹底的にマーケティングを行ったことにある。そのなかで重要視したのは、表紙が恥ずかしくないこと、軽くて持ち運びが便利なこと、信頼できる本当のお薦め情報だけを掲載することの3つ。情報量が勝負と言われるガイドブックにおいて、『ことりっぷ』の情報量は既存のガイドブックのわずか4分の1程度。それにもかかわらずヒットしたのは、編集部が厳選した情報への信頼感が得られた証。今、流行のキュレーション型を、7年前にガイドブックで実践したことが成功のポイントだったのだ。
■流行を意識せず“ことりっぷ系”を追求
そのブランドコンセプトは、コラボ商品にも活かされている。例えば、観光パンフの場合、自治体や企業とのコラボとなると、一律・平等に観光施設を紹介したり、広告物件を載せたりしたいという要請を受け記事を制作することがある。しかし『ことりっぷ』では、紹介するスポットはすべて編集部でセレクトし、誌面構成を決定する。
「その部分を頑なに守らせていただいたのが信頼につながっているのだと思います」(昭文社担当者)
それは書籍以外の商品に関しても同じ。これまで、時計やスープなどのコラボ商品を制作しているが、根底にあるのは、旅がテーマの商品であることと、『ことりっぷ』ファンが望むものであること。
「主旨がずれそうなきらいが見られたときは、編集部内で確認し合います。例えば、ユーザーは平日、退社後、どこに行き、何を買い、どんな雑誌を読んでいるかというようなことです」と、担当者は説明する。
『ことりっぷ』のヒットの後に、「女子旅」という言葉が普及したが、あえて「女子旅」と謳わないところにも『ことりっぷ』ブランドのコンセプトが息づいている。それは、「流行を意識したり、ことさら女性に寄った作りにはしていません。日常の延長にある、週末ちょっと散歩するような旅のスタイルの提案。男女ではなく“志向”で選んでいただくのが『ことりっぷ』です」という。
今後は、さらに能動的に、ブランド戦略を行う方針だ。
「ユーザーとの接点を持つべく、SNSやWEBサイトをスタート、さらに、去年の夏より季刊で『ことりっぷマガジン』を発行しています。自治体や企業とのつながりを作る場としてもそれらを活用する方針です」
他との差別化を図り、徹底してブランドイメージを守ることで成長している『ことりっぷ』。今後、さらに事業を拡大していきそうだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 15年4月13日号より)
出版不況と言われるなかで、累計発行部数1000万部を突破した旅行ガイド『ことりっぷ』(08年創刊)。旅好きな働く女性たちの心をつかんだことが成功の大きな要因で、今や、その読者層への訴求を望む自治体や企業とのコラボ商品も次々と制作、『ことりっぷ』ブランドを確立させ、ライツビジネスへと発展している。
コラボ商品第1弾は、ガイドブック創刊からわずか1年後に制作されたUR都市機構の販促ツール。「『ことりっぷ』とのコラボなら、旅好きな働く女性に対する販促に有効」とオファーされたという。以降、自治体や企業からのコラボ企画の依頼は年々増加し、現在では社内初のガイドブック単独の部署「ことりっぷ事業部」を設立するまでに成長している。
『ことりっぷ』が厚いファン層を獲得できた背景には、創刊の際に、旅好きな女性へのインタビューをはじめ徹底的にマーケティングを行ったことにある。そのなかで重要視したのは、表紙が恥ずかしくないこと、軽くて持ち運びが便利なこと、信頼できる本当のお薦め情報だけを掲載することの3つ。情報量が勝負と言われるガイドブックにおいて、『ことりっぷ』の情報量は既存のガイドブックのわずか4分の1程度。それにもかかわらずヒットしたのは、編集部が厳選した情報への信頼感が得られた証。今、流行のキュレーション型を、7年前にガイドブックで実践したことが成功のポイントだったのだ。
■流行を意識せず“ことりっぷ系”を追求
そのブランドコンセプトは、コラボ商品にも活かされている。例えば、観光パンフの場合、自治体や企業とのコラボとなると、一律・平等に観光施設を紹介したり、広告物件を載せたりしたいという要請を受け記事を制作することがある。しかし『ことりっぷ』では、紹介するスポットはすべて編集部でセレクトし、誌面構成を決定する。
「その部分を頑なに守らせていただいたのが信頼につながっているのだと思います」(昭文社担当者)
それは書籍以外の商品に関しても同じ。これまで、時計やスープなどのコラボ商品を制作しているが、根底にあるのは、旅がテーマの商品であることと、『ことりっぷ』ファンが望むものであること。
「主旨がずれそうなきらいが見られたときは、編集部内で確認し合います。例えば、ユーザーは平日、退社後、どこに行き、何を買い、どんな雑誌を読んでいるかというようなことです」と、担当者は説明する。
『ことりっぷ』のヒットの後に、「女子旅」という言葉が普及したが、あえて「女子旅」と謳わないところにも『ことりっぷ』ブランドのコンセプトが息づいている。それは、「流行を意識したり、ことさら女性に寄った作りにはしていません。日常の延長にある、週末ちょっと散歩するような旅のスタイルの提案。男女ではなく“志向”で選んでいただくのが『ことりっぷ』です」という。
今後は、さらに能動的に、ブランド戦略を行う方針だ。
「ユーザーとの接点を持つべく、SNSやWEBサイトをスタート、さらに、去年の夏より季刊で『ことりっぷマガジン』を発行しています。自治体や企業とのつながりを作る場としてもそれらを活用する方針です」
他との差別化を図り、徹底してブランドイメージを守ることで成長している『ことりっぷ』。今後、さらに事業を拡大していきそうだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 15年4月13日号より)

2015/04/11