スマートフォンのイヤホンジャックに接続するだけで各種コンテンツが楽しめるプラグ型ガジェット「PlugAir(プラグエア)」。コンテンツ提供者側にとっても、不正コピーのリスクを負うことなく、柔軟なアクセスコントロールが可能な、有望なプラットフォームだ。
PlugAirは、本体に格納された固有のIDを専用アプリが認識すると、インターネット上の許可されたコンテンツにアクセスし、音楽や動画をストリーミング再生することができる仕組みだ。他人にシェアできるフィジカルな“モノ”としての性質と、プッシュ通知や随意のタイミングでのコンテンツ更新にも対応するデジタルの利便性を両立している。
開発を手がけたBeatrobo,Inc.のCEO・浅枝大志氏によれば、「CDとデジタル配信の間のようなモノ。PlugAir本体にコンテンツが入っているわけではなく、固有IDを発行し、認証サーバを通すことによって、アクセスする権限を与える。これで不正コピー自体を不可能にしながら、柔軟にコンテンツ内容を変えていくことも可能になるわけです。イヤホンジャックを利用することで、誰もが直感的に使い方をイメージできるというのも特長の1つ。必要なのはスマホに挿す動作だけで、会員登録やログインなどの面倒な手間を一気に省くこともできます」とのこと。
昨年、このPlugAir事業で、ローソンHMVエンタテイメントと正式に提携。同社のチケットならびにCD・DVD販売事業における取引先を中心に販路を大幅に強化している。1月にはAndroidを中心に国内のほとんどの端末に対応することがアナウンスされた。同時に、受注の際の最低ロット数や単価も、より利用しやすい体系に改定されている。すでにエイベックスやユニバーサルミュージック、アミューズなどのアーティストのツアーグッズやシングル等として提供された実績があり、米国のバンド、リンキン・パークのファンクラブ用グッズとして提供されるなど、事例は着実に増えつつある。
「例えば最初に購入・認証させたオーナーのスマホ端末だけフルバージョンを聴くことができ、2台目以降の端末はワンコーラスのみ再生するよう制限をかける、といった細かな設定が配信側でコントロールできます。すべてのコンテンツをクラウド側に置いてストリーミングさせる仕組みですから、コンテンツリストを変更することや、最新情報をアップデートさせていくこともできます」(浅枝氏/以下同)
専用アプリ画面内には、購入したりシェアしてもらったりしたPlugAirのアイコンが並び、ユーザーは簡易プレイヤーとして多様なコンテンツを楽しむことができる。ただしハードルは、現状ではその専用アプリ自体をまずインストールしておく必要があるということだろう。
「TM NETWORKさんの事例では、ファンクラブ経由で販売されるチケットにPlugAirを同梱。コンサート前、ツアー中などにボイスメッセージなどが更新される仕掛けで、ファンの方には好評だったそうです。まずはそうした“どうしてもPlugAirを使って特別なコンテンツにアクセスしたい”という層に向けてプレゼンスを増していく。挿すだけでコンテンツが楽しめるという体験そのものを広める段階を経て、いわゆるマスを取っていく戦略を今年以降は本格化させたいと考えています」
仮にCDイニシャル1万枚のうち1000個をPlugAir化することで、より熱量の高いファンをキャッチし続けることができるなら、検討の価値は十分にある。プレイヤーアプリ側もUIを含めアップデートを続けるPlugAirは、単なるデジタルガジェットに留まらない可能性を秘めていそうだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 15年2月16日号掲載)
PlugAirは、本体に格納された固有のIDを専用アプリが認識すると、インターネット上の許可されたコンテンツにアクセスし、音楽や動画をストリーミング再生することができる仕組みだ。他人にシェアできるフィジカルな“モノ”としての性質と、プッシュ通知や随意のタイミングでのコンテンツ更新にも対応するデジタルの利便性を両立している。
開発を手がけたBeatrobo,Inc.のCEO・浅枝大志氏によれば、「CDとデジタル配信の間のようなモノ。PlugAir本体にコンテンツが入っているわけではなく、固有IDを発行し、認証サーバを通すことによって、アクセスする権限を与える。これで不正コピー自体を不可能にしながら、柔軟にコンテンツ内容を変えていくことも可能になるわけです。イヤホンジャックを利用することで、誰もが直感的に使い方をイメージできるというのも特長の1つ。必要なのはスマホに挿す動作だけで、会員登録やログインなどの面倒な手間を一気に省くこともできます」とのこと。
昨年、このPlugAir事業で、ローソンHMVエンタテイメントと正式に提携。同社のチケットならびにCD・DVD販売事業における取引先を中心に販路を大幅に強化している。1月にはAndroidを中心に国内のほとんどの端末に対応することがアナウンスされた。同時に、受注の際の最低ロット数や単価も、より利用しやすい体系に改定されている。すでにエイベックスやユニバーサルミュージック、アミューズなどのアーティストのツアーグッズやシングル等として提供された実績があり、米国のバンド、リンキン・パークのファンクラブ用グッズとして提供されるなど、事例は着実に増えつつある。
「例えば最初に購入・認証させたオーナーのスマホ端末だけフルバージョンを聴くことができ、2台目以降の端末はワンコーラスのみ再生するよう制限をかける、といった細かな設定が配信側でコントロールできます。すべてのコンテンツをクラウド側に置いてストリーミングさせる仕組みですから、コンテンツリストを変更することや、最新情報をアップデートさせていくこともできます」(浅枝氏/以下同)
専用アプリ画面内には、購入したりシェアしてもらったりしたPlugAirのアイコンが並び、ユーザーは簡易プレイヤーとして多様なコンテンツを楽しむことができる。ただしハードルは、現状ではその専用アプリ自体をまずインストールしておく必要があるということだろう。
「TM NETWORKさんの事例では、ファンクラブ経由で販売されるチケットにPlugAirを同梱。コンサート前、ツアー中などにボイスメッセージなどが更新される仕掛けで、ファンの方には好評だったそうです。まずはそうした“どうしてもPlugAirを使って特別なコンテンツにアクセスしたい”という層に向けてプレゼンスを増していく。挿すだけでコンテンツが楽しめるという体験そのものを広める段階を経て、いわゆるマスを取っていく戦略を今年以降は本格化させたいと考えています」
仮にCDイニシャル1万枚のうち1000個をPlugAir化することで、より熱量の高いファンをキャッチし続けることができるなら、検討の価値は十分にある。プレイヤーアプリ側もUIを含めアップデートを続けるPlugAirは、単なるデジタルガジェットに留まらない可能性を秘めていそうだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 15年2月16日号掲載)
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2015/02/14