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歌手デビュー20周年の及川光博 俳優&歌手として順調も「常に危機感ある」

 2015年5月に歌手デビュー20周年に突入する及川光博が、2月18日に約5年ぶりとなるニューシングル「ダンディ・ダンディ/SAVE THE FUTURE」を発売する。歌手デビュー以来、毎年のようにアルバム発売やライブツアーを実施してきた及川。近年は俳優としても高い評価を受け、順風満帆に見えるが、「ずっとこの状況が続くとは限らないという不安は常にある」と話す。そんな及川に、歌手としての20年、そして歌手・俳優に対する意識の違いについて聞いた。

ORICON STYLEの取材に応じた及川光博(写真・草刈雅之)

ORICON STYLEの取材に応じた及川光博(写真・草刈雅之)

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■50代で“ハ〜イ、僕ミッチー♪”っていうのはどうかなと思うんです

――デビュー以来、セルフプロデュースを貫いてきた及川さんですが、「ダンディ・ダンディ」は、初の他者プロデュース作品なんですね。
【及川】 あえて人まかせにすることで自分の発想にないものに挑戦するというか、着せ替え感覚で今まで着たことがない服を着て、ベイベー(ファン)たちに楽しんでもらうのもいいかなと思ったんです。「ダンディ・ダンディ」はパーティソングということで、カラオケでも宴会でも、30〜40代の男子たちがキザにカッコよく決められる歌詞にしました。それでここからは僕自身の人生相談になるんだけど(笑)、40代半ばにして人間として、もしくは男として、渋くありたいとか、深みを持ちたいっていう時期にきているわけですよ。若作りよりも大人としてズッシリとした、存在感や色気を出していきたい……なんてことを考えた頃に書いたのがこの曲で、そのためには“ダンディ”って言葉が一番合うのかなと。もうあとはもうダンディ坂野さんしか思い浮かばなかったっていう(笑)。

――今作のMVにはダンディ坂野さんもしっかり出演されていますね(笑)。確かに及川さんは“ダンディ”のイメージはあまりないかもしれない。
【及川】 そうなんですよ。コアファン以外にアピールしたいと思ったとき、そういえば僕は男子にモテていないゾと。別にね、ワイルドでマッチョな兄貴を目指してるわけじゃないんですよ。同じ男として伝わる歌にしたかったから、共感してもらえるフレーズを入れました。僕自身も“ダンディ”を50代に向けての布石にしたかった。予防線というか、先手を打っておきたかったんです。だって、未来の自分を思い浮かべたときに、50代で“ハ〜イ、僕ミッチー♪”っていうのはどうかなって思うじゃないですか。

――いえ、素敵ですよ。
【及川】 それは多分、少女マンガ的なイメージなんですよね。キャラクターとしてはいいけど、俳優としてもシンガーとしても、リアルな男心をしっかり表現していくためには大人の色気が必要かなと。あと僕に足りないのは包容力と忍耐力。特に忍耐に関しては、興味がないことにはまるで興味がないっていう、典型的なB型なので(笑)。

■50代まではいろいろ挑戦したい

――俳優としても順調に活動されてますけど、アーティストと俳優を平行してやるのは、デビュ―時から決めていたことなんですか。
【及川】 はい。元々歌手としてスカウトされる以前は舞台演劇もやっていたので。ただ、いつも危機感は持っていますよ。これまでは毎年アルバムを出してツアーをやらせてもらっているけど、ずっとこの状況が続くとは限らないという不安は常にあります。もし仮に「ダンディ・ダンディ」が大ヒットとしたとしても、その危機感はなくならないと思います。きっと足りないものを探して、自分を育成することが好きなんでしょうね。だから今後もとりあえず50代まではいろいろ挑戦したいです。

――では俳優としての自分、アーティストとしての自分、何か意識の違いはありますか?
【及川】 俳優の場合はまな板の上の鯉であって、料理される側というか、そういう意味での開き直りがあるんですよ。分かりやすく言うと俳優は客観的に“どう見えるか”を考えることが重要で、アーティストは主観で“どうしたいか”を考える作業。それぞれスイッチが違うんです。

――個人プレーも団体競技もできる人ってことですよね。
【及川】 僕ね、「寂しがりやのひとり好き」なんです(笑)。寂しいのは嫌だけど、1人作業もしたいっていう。今まであらゆるインタビュアーさんから「どっちかひとつを選ぶなら?」って聞かれ続けているんですけど、逆に「選ばなきゃダメですか」って聞き返すんです(笑)。僕の中ではこれが“らしさ”を貫くことであり、最高のバランスなので。ただ、それを保つためにも大きなミスをして人に迷惑をかけたくない。いつも失敗が怖いんですよ。失敗しないために、何かをするときはまず成功のビジョンを先に描いて、そこに向かうためには何をするべきか?と常に考えています。逆算法というか。

■“及川美学”をワンステージ上に

――どのジャンルでも、世の中で成功してる人って“逆算法”の人が多いですよね。
【及川】 そうだと思いますよ。なぜなら予想をはるかに上回る結果っていうのはほとんどないから。奇跡は起こらないから奇跡であって、望むものじゃないんですよ。ただ、そう考えるようになったのはデビューをしてからで、アマチュア時代の僕はホントに自信家で、根拠もないのに成功者気分だったんです(笑)。そこから責任感やプロ意識を持つようになり、悔いなくやるためには自分の描いたビジョン以下にならないようにしようと。そうすれば成功と言えるのかなって。大きなことを言ってますけど、マインドはまだまだ青春真っただ中ですから。早く大人になりたい(笑)。

――20年間、青春時代(笑)?
【及川】 はい。なんでそう言い切れるかというと、モチベーションが下がらないから。僕、30代にまったく悔いがないんですよ。10代で苦悩して、20代で方向性を決めたから、30代はとにかく楽しい試行錯誤の時期だったんでしょうね。そのおかげで根拠のある自信も出てきたので、今後は30代で完成させた“及川美学”というものを、もうワンステージ上げていきたい。実際、40代になってみると、足りないことがいっぱい見えてきたので、もっと勉強してインプットしていかないと次の段階にはいけないなと痛感しているんですよ。経験値を高めて、素晴らしき50代、そしてその先の明るい老後に備えたいですね(笑)。

(文/若松正子)

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