2006年4月12日に解散した5人組ロックバンド・PIERROT（ピエロ）が24・25日の両日、さいたまスーパーアリーナで8年ぶりとなる復活ライブを行い、2日間で3万3000人の“ピエラー”と呼ばれるファンを熱狂させた。

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　『DICTATORS CIRCUS FINAL- I SAID「HELLO」-』と題された第一夜は、PIERROTとの再会を待ち焦がれてきたファン、かつて彼らのライブを体験できなかったファン1万5000人が集結。午後6時半を8分ほど過ぎたところで場内が暗転し、ステージを覆う幕の向こう側にキリト（Vo）、アイジ（G）、潤（G）、KOHTA（B）、TAKEO（Dr）のシルエットが浮かび上がると、地鳴りのような歓声が沸き起こった。

　オープニングは、解散宣言の2ヶ月後にリリースされたラストシングル「HELLO」。キリトが「会いたかったぜ！　やり方わかってんだろ？　ぶっ壊すぞ！」と叫ぶと、ピエラーは曲に応じた振り付けやヘッドバンキングでメンバーに同調していく。

　メンバーは「みんなとこうして、ここにいることが特別なんだと思います」（TAKEO）、「久しぶり。いい光景です！」（KOHTA）、「やっぱ半端ねえな、おまえら！」(潤)、「キミたち史上最高のライブにして帰ってください」（アイジ）と呼びかけ、アンコール7曲を含め、2時間半にわたって全25曲を披露。「心の底から、最高のバンドだと思います」というキリトが「きょう満足したんで、明日は中止にしたいと思います」とジョークを飛ばすほど、充実感にあふれた復活初日公演となった。

　『DICTATORS CIRCUS FINAL -BIRTHDAY-』と銘打たれた第二夜は、セットリストを変え、「HEAVEN」からスタート。初日の動員を遥かに超え、スタンド席の最後列までぎっしり満員の1万8000人が客席を埋め尽くした。

　この日は、第一夜には披露されなかった15曲を含め、全25曲を演奏。キリト自身が「二度と歌う機会が訪れることはないものと思っていた」というラストナンバー「CHILD」を歌い終え、メンバーが客席に別れを告げた直後、彼らがステージから立ち去るのを食い止めようと、再度アンコールを求める拍手と歓声が会場を包み込んだ。

　想定外の事態に、ステージ中央で輪になって話し合うメンバーたち。キリトは「こういうのは久しぶりなんで、ガチで戸惑ったんですけど」と笑みを浮かべると、「求めるからには中途半端な暴れ方では許さない！　狂って暴れて終わりましょう！」と呼びかけ、「蜘蛛の意図」で完全燃焼した。

　キリトはライブ終盤、一つだけピエラーに願いごとを口にした。「お願いがあります。この感覚を噛み締めて、どうか明日からは“今”を生きてください。俺たちも、大切な“帰るべき今”に帰ります。とにかく目の前にある“今”を抱きしめて、生きていきましょう」。

　ステージ上でPIERROTの今後の活動について、何らかの発表がされることを期待していたファンも少なくなかったはずだが、キリトは「最後までワガママを通していく」「薄い約束はしたくない」「また、やりたくなったらやると思います」とだけ言い残し、メンバーは何ひとつ約束せずにステージを去った。