3月14日に死去した俳優・宇津井健さん（享年82）の「お別れの会」が1日、東京・ホテルオークラ東京でしめやかに営まれた。弔辞を読み上げた俳優・水谷豊（61）は、「もし、どんな人になりたいのかと聞かれたら、宇津井健さんのようになりたい、そう答えたい」と60年もの役者人生を歩んだ先輩に語りかけた。

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　“赤い”シリーズの5作目のドラマ『赤い激流』で宇津井さんと「初めてお会いした」という水谷は、朝から深夜まで及ぶ過酷な現場を振り返り、「つらそうな宇津井さんは、一度も見たことがなかった」としみじみ。

　劇中では、水谷が「俺は金持ちと違ってサラブレッドじゃない。馬で言えば暴れ馬だ。だから俺はダメな人間」と泣き叫ぶシーンがあったというが、収録後に宇津井さんから小声で「本当はね、馬はみんな馬なんだ。サラブレッドだから良くて、暴れ馬だからダメってことはないんだよね」と言われたといい、「宇津井さんの人としての基本がそこにあると思った」と当時の思い出を語った。

　昨年5月ごろ、水谷は緑山スタジオで宇津井さんと久しぶりに再会。酸素吸入器を携えていた宇津井と手を握り、「言葉をほとんどかわさず、うん、うんと頷いた」といい、「お体が悪いことはすでに伝わっていた。泣いちゃいけない、お体が悪いと思っていることを気づかれちゃいけない」と涙を必死に耐えたという。

　さらに、「素晴らしい先輩たちがいたから、この世界があります。素晴らしい先輩の出会いがあったからこそ、ここにいられます」と述べ、「宇津井さんは僕にとって特別なんです。出会えてよかった」と白い花で統一された宇津井さんの祭壇に語りかけた。