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『First Love』発売から15年、宇多田ヒカルの色あせない輝き

 宇多田ヒカルが1stアルバム『First Love』(99年3月)を発売して丸15年を迎える。デビュー作にして国内音楽史上もっとも売り上げたアルバムを発表した少女は、その後も目覚しい活躍でミュージックシーンを駆け抜けていった。なぜ、人々は同アルバムにあれほど歓喜したのだろうか。多くの人々の心を捉えた楽曲の魅力に今、改めて迫る。

『First Love』発売から15年。丸15年目を迎える14年3月10日には、通常盤と15th Anniversary Deluxe Editionが発売される

『First Love』発売から15年。丸15年目を迎える14年3月10日には、通常盤と15th Anniversary Deluxe Editionが発売される

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■デビューから3ヶ月で打ち立てた前人未到の記録

 ミリオンヒットが続出した90年代の終わりに彗星のように音楽シーンに登場した15歳の少女は、「Automatic/time will tell」、「Movin’on without you」の2枚のシングルを立て続けにヒットさせ、デビューから3ヶ月後には1stアルバム『First Love』を世に放った。

 新人アーティストの1stアルバムが初動売上で200万枚を超えること自体が異例であったが、累積765万枚という、日本国内のアルバムセールス歴代1位の記録を打ち立てるとは、この時、誰が予測できただろうか。単純に換算して、当時、日本人では16人に1人が持っていたことになる。現状を鑑みると、CD売上で今後この記録を超える作品が登場するかは、甚だ懐疑的である。

 インターネットの黎明期、今のようにSNSで話題が拡散されていない時代の話である。そう考えると、なんという驚異的な伝播力、浸透力だろうか。そして、この記録ゆえに、宇多田ヒカルはデビューから日も浅いうちに、「別格」の存在となった。後にも先にも、これほど短期間で国民的アーティストに上り詰めた存在はほかに見当たらない。

■記録にも記憶にも残る宇多田作品の凄み

 デビュー以降のメディア等での取り上げられ方の凄まじさは、今も鮮明に記憶に残っている。誰もが熱に浮かされたように『First Love』を手にした。そのJ-POP の金字塔とも言うべき本作が、発売から15 年という節目を迎え、装いも新たに記念盤として発売される。宇多田ヒカルの音楽に触れたことのない若い世代が、これを機に楽曲の数々を聴く機会を得ることは、真に喜ばしいことだと思う。そして、当時、繰り返し聴いたリスナーも、今回のような機会を与えられ、改めて聴き直すことによって、本作の持つポテンシャルを、当時よりももっと冷静に受け止めることができるのではないか。宇多田ヒカルという孤高のアーティストの魅力に迫れるのではないかと、密かに期待している。

 今回、『First Love』収録曲やシングル作品を対象に、宇多田ファンに対するアンケート調査を行った。ソングライティングの非凡な才能は誰しもが認めるところだが、独特の目線で切り取られた率直な言葉の数々は、男女問わず20代〜50代まで、幅広い世代にストレートに伝わり、共感を集めている点に驚きを覚えた。また、彼女が描く独創的な世界観を伝えるのに、その声質が重要な役割を果たしていることや、歌唱力に対する評価が高いことから、ボーカリストとしての魅力にも改めて気づかされる結果となった。記録にも記憶にも残るこの名作は、今もなお新鮮な輝きを放ち、我々に語りかけてくるのだ。
(ORIGINAL CONFIDENCE 14年3月10日号掲載)

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