ジャニーズ事務所所属の人気アイドルグループ・Sexy Zoneのメンバーであり、俳優としても映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍中の中島健人。最新主演映画『銀の匙 Silver Spoon』では、ふだんのキラキラ感を消し去って、地味で素朴な高校生役を好演している。

　北海道の酪農高校を舞台にする同作で中島が演じたのは、目立たない内気な高校生・八軒勇吾。Sexy Zoneとして輝きをみせるアイドルの姿とは対照的な同役になりきるために、カッコよさを消すのに苦労したと冗談交じりに笑顔をみせる。

「このお話をもらったのは撮影の始まる1年ぐらい前で、最初は本当に僕がやれるのかなと思っていたんです。というのも、八軒を演じるには自分の（Sexy Zoneとしての）テンションを落として、普通感を出さなくちゃならないと感じていたので。撮影まではアイドルとしてがんばろうと思いながら（笑）。撮影に入ってからは、徹底して“普通の少年”になっていた気がします」

　そんな普通の高校生と自身の共通点もあったという。意外な素顔も明かしてくれた。

「センチメンタルというか感受性が強いというか、（僕は）すべて抱え込んじゃう性格なんです。そういうところは八軒と似ているかもしれないですね。葛藤して葛藤して誰にも言えずにいる……というのが中学生時代のジャニーズに入る前にあったので。当時のそういう気持ち、過去の自分の気持ちを思い出しながら、それを八軒にあずけた。そうやって演じていました」

　芸能活動を通して心身ともに成長しながら、現在でも恋愛に関しては、意外にも奥手（自称）。演じた役柄と重ね合わせながらそこを掘り下げると……。

「僕も想いを伝えられないタイプなんです。意外かもしれないですけれど本当に（笑）。小学校時代とか、3年間想いを寄せた女の子がいたけれど、引っ越してしまって結局なにも伝えられなかったこともあります。御影（広瀬アリス演じるヒロイン）の言動にいちいち反応してしまう八軒の気持ちもよく分かりますね。御影の足を見るときに外していためがねを着けるシーンは、足を見るならよく見えた方がいいですよねって、僕から提案したんです。監督も『いいじゃない！』って（笑）。って、本当に僕は一途なタイプですから！」

　同年代の出演者たちとの撮影現場での和やかな雰囲気も伝わってくるが、同作では撮影前に合宿が行われ、出演者たちは実際に酪農で行われる作業や乗馬などのハードな実習を受けた。初体験のことばかりだった中島にとって、乗馬は楽しみながら身につけられたようで、この先の仕事にも活かしたいと意気込む。

「（乗馬は）好きですね。乗馬の仕事とか馬に乗る時代劇をやってみたいです。最初は馬に何度も足を踏まれたけれど、そのぶん仲良くなれたというか。僕もセンチメンタル、馬もセンチメンタル君なんです（笑）。撮影前にジャニーさんに『馬は頭がいいから気を付けなさい。You、馬に優しくしなさいよ』って言われていて、その通りだったなぁと。あと、ジャニーさんって本当にYouって言うんだなって（笑）」

◆中島健人インタビュー『悩めることも嬉しかった　体験したことのない夏』