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宮崎駿監督、引退会見「ぼくは自由です」

 日本のアニメーション映画界をけん引してきた宮崎駿監督(72)が6日、都内で引退会見を開いた。「公式引退の辞にも記しましたが、ぼくは自由です。前からやりたかったことがあるので、そっちをやろうと、それはアニメーションではありません」と長編映画の製作からの引退を自らの口で語った。

(左から)鈴木敏夫プロデューサー、宮崎駿監督(撮影:6日・吉祥寺第一ホテルにて) (C)ORICON NewS inc.

(左から)鈴木敏夫プロデューサー、宮崎駿監督(撮影:6日・吉祥寺第一ホテルにて) (C)ORICON NewS inc.

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 注目度の高さを示すように、会見には、日本以外の13の国と地域のメディアを含む記者・カメラマン総勢605人、テレビ局等の映像カメラ70台、紙・WEB媒体200社が殺到。ニコニコ生放送のネット生中継は実に14万人超がその瞬間を見届けた。

 スタジオジブリの星野康二社長が現地時間1日、イタリアで開催中の『第70回ベネチア国際映画祭』(7日まで)公式会見で「『風立ちぬ』(公開中/同映画祭コンペティション部門出品)を最後に、宮崎駿監督は引退することを決めました」と発表後、初めて公の場に姿を現した宮崎監督。肩の荷が下りてホッとしたような、晴れ晴れとした笑顔をたたえながら、1時間半以上にわたる質問に、機知に富んだ答えを返した。

 鈴木敏夫プロデューサー(65)は、宮崎監督の引退は8月5日にスタジオジブリのスタッフに発表し、『風立ちぬ』の興行が一段落したら公表することを決め、先日の『ベネチア映画祭』のタイミングになったことを説明した。

 宮崎監督は「これが最後だ、もう作らない」というような発言を繰り返してきた。毎回、全身全霊を込めて作っている証しだろう。完成直後は「ヨレヨレになって」、つい「これで終わりだ」といった言葉が出てしまい、しばらく経つとまた作りたいと思う。そうやって長編作品11本目の『風立ちぬ』まで、ものづくりの現場に立ち続けてきたが、「今回は本気です」。

 「監督をやってよかったと思ったことは一度もありませんが、アニメーターになってよかった思ったことは何度かあります」と宮崎監督。“引退”を決めた理由についてもアニメーターとして仕事を続けることに肉体的な限界を感じたことが大きいことを明かした。

 「僕はアニメーター出身なんです。描かないと表現できない。どんなに体調を整えて、摂生しても、集中できる時間が年々減ってくるのは確実なんです。実感もしています。物理的な加齢によって発生する問題はどうすることもできませんし、それで苛立っても仕方ない。違うやり方をすればいいんじゃないかと言う意見があるかもしれませんが、それができたらとっくにやっていますから、できません。僕は僕のやり方で自分の一代を貫くしかないと思いますので、長編アニメーションは無理だと判断したんです」

 その一方で、「長編アニメーションでなくとも、やってみたいことや試したいことがいろいろある」といい、監督自身が企画原案・プロデュースを担当し、館主を務めている東京・三鷹の森ジブリ美術館に対して、「展示その他については関わらせてもらいたいと思っていて、ボランティアという形になるかもしれないし、自分が展示品になってしまうかもしれないけど」と笑いを交えて意欲的に語った。

 「児童文学に影響受けてこの世界に入ったので、基本的に子どもたちに『この世は生きるに値するんだ』ってことを伝えることが根幹になければならないと思ってきました。それはいまもかわっていません」と力強く語り、「妻に(昼の)弁当を作ってくれと頼みました」と今後の“自由”な活動に胸を躍らせていた。

  ◇

 宮崎監督は、『アルプスの少女ハイジ』(1974年)や『未来少年コナン』(1978年)などのテレビシリーズが好評を博し、映画『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)で映画作品の監督デビュー。

 1984年、映画『風の谷のナウシカ』が公開。1985年、スタジオジブリの設営に参加し、『天空の城ラピュタ』(1986年)、『となりのトトロ』(1988年)を経て、『魔女の宅急便』(1989年)で初めて同年の邦画興行成績1位を獲得した。

 『紅の豚』(1992年)の後、『もののけ姫』(1997年)で当時の日本の映画興行記録を15年ぶりに塗り替える大ヒットを飛ばし、『千と千尋の神隠し』(2001年)でさらに興行記録を更新し、日本における映画史上第1位の新記録(興行収入304億円)を作った。『千と千尋の神隠し』はアニメーション映画として初めて『ベルリン国際映画祭』の最高賞・金熊賞、米アカデミー賞長編アニメーション部門等を受賞した。

 『ハウルの動く城』(2004年)、『崖の上のポニョ』(2008年)、そして、今年7月20日に『風立ちぬ』が公開。2013年現在も邦画の歴代興行収入ベスト5に『千と千尋の神隠し』(1位)・『ハウルの動く城』(2位・196億円)・『もののけ姫』(3位・193億円)、『崖の上のポニョ』(5位・155億円)の4作品がランク入りしている。(ちなみに4位は『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の173億円)。

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  • (左から)鈴木敏夫プロデューサー、宮崎駿監督(撮影:6日・吉祥寺第一ホテルにて) (C)ORICON NewS inc.
  • 宮崎駿監督(撮影:6日・吉祥寺第一ホテルにて) (C)ORICON NewS inc.
  • 引退会見の模様(左から)鈴木敏夫プロデューサー、宮崎駿監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 引退会見を行った宮崎駿監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 引退会見を行った宮崎駿監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 鈴木敏夫プロデューサー (C)ORICON NewS inc.

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