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DA PUMP「U.S.A.」産みの親語る「ソング」の必要性 「日本発で世界の頂点に」

 昨年、大阪府立登美丘高校ダンス部のパフォーマンスをきっかけに、再ブレークとなった荻野目洋子による1985年のヒット曲「ダンシング・ヒーロー」。そして今年は、大みそか恒例の『第69回NHK紅白歌合戦』に16年ぶりに出場するDA PUMPの「U.S.A.」の大ヒット。この2曲が、なぜ現代に受け入れられたのか。楽曲を手がけたライジングプロダクションの平哲夫社長に、ヒットの理由と今の音楽シーンを話を聞いた。

みんなで踊るためには、メロディーがポイントになる

  • ライジングプロ・ホールディングス 代表取締役 平哲夫氏(たいら てつお)(写真/西岡義弘)

    ライジングプロ・ホールディングス 代表取締役 平哲夫氏(たいら てつお)(写真/西岡義弘)

『ダンシング・ヒーロー』は30年以上も前の曲なのですが、実は今までも岐阜の盆踊り大会で使われている。その話を聞いて、できればもっと広がってもらいたいと思っていました。それが昨年、akaneさんというコーチが振り付けてくれ、登美丘高校がパフォーマンスをして一気に広がりました。ああいう形で広がったのは、私も驚きでした。

 盆踊りといえば「東京音頭」や「ソーラン節」などを思い浮かべる人が多いと思うが、岐阜や愛知の一部地域では以前から「ダンシング・ヒーロー」が取り入れられており、若者も踊りやすいという理由で、徐々に全国へ広まっていた。そんななか、昨年YouTube で登美丘高校のパフォーマンスが話題となり、ブームが再来したのだ。
その光景を見て、団体戦だったらメロディーがしっかりあるソングでも、皆さんに踊ってもらえるのかなと思ったんです。特に、「ダンシング・ヒーロー」はユーロビートの曲で、イギリス風のダンスミュージック。この曲にはパフォーマンスのしやすさが備わっていました。

 確かに、ダンス部のように大人数で揃ったパフォーマンスを行う場合、はっきりとしたメロディーがあるユーロビートは、踊りのフリを乗せやすく、パフォーマンスをしている側もわかりやすい。ユーロビートとダンスの相性のよさに、改めて気づいたと平氏は言う。しかし、なぜパフォーマンスだけはなく、音楽までも日本中でブームになったのか。その理由は現代の音楽シーンにあると、平氏は語る。
本来は、先にメロディーがあったほうがソングになりやすいのですが、近年ダンスミュージックはトラックメーカーの台頭によって、トラックからメロディーを引っ張ってくる曲が多くなっていました。そのような音楽では、どうしてもトラックが優先されてしまいます。さらに声が必要だったらラップでもいいかな、となる。そのほうがノリがいいですからね。このような、HIP HOP系とかダンス系の音楽が主流になってきて、わかりやすいメロディーがある曲にとっては、難しい時代がしばらく続いていました。

 確かに近年では、多くの曲がトラックをベースにして、そこからメロディーやアレンジが加えられるという作りが一般的になっている。トラック優先の音楽を中心に聴いてきた10代、20 代の若者にとっては、メロディーがまず耳に入る「ダンシング・ヒーロー」のような曲が新鮮に思え、全国でヒットしたのであろう。このユーロビートの新鮮さとダンスとの相性の良さによるヒットから「U.S.A」が生まれた。
曲を選ぶときにもいろいろ選び方はあります。作品が先にあってアーティストに当てはめる場合と、アーティストのことを考えて、どういう作品がいいか探す場合。今回はISSAの声に合うのはどういうメロディーなのかと考え、曲を探していたんですが、DA PUMPにはパフォーマーもいますから、そのことを踏まえ、何十曲か聴いたなかで選んだのがあの「U.S.A.」でした。

 同曲は、1992年にイタリアで発売されたユーロビート曲「U.S.A.」に日本語歌詞をつけ、EDM のアレンジを加えたカバーソング。「ダンシング・ヒーロー」同様、ノリやすく耳に残るメロディーと、真似しやすいフリが要因となり、今年の顔になるほどのヒット曲となった。
今回のヒットの要因は、ISSAの声とメロディーの組み合わせです。ダサかっこいいと話題になりましたが、ダサいと思ったことはありません。ちゃんと楽曲として良さが届いているから、このように多くの人の心に刺さっているんだと思います。

CD市場は昔の10分の1だが、ヒットの可能性はある

  • (写真/西岡義弘)

    (写真/西岡義弘)

 現代はテクノロジーが進化したことにより、ストリーミングサービスの台頭やYouTubeなどの動画プラットフォームが確立され、CDセールスが厳しい時代になっている。音楽業界を長きに渡って見てきた平氏には、現在の音楽市場はどのように映っているのだろうか。
日本市場で一番いいときは、宇多田ヒカルさんで700万枚売っています。小室哲哉さんが手がけたものは300万、400万枚のセールスを記録した作品がたくさんありました。しかし今、パッケージの好セールスは、2年前に宇多田ヒカルさんが出した『Fantome』(売上枚数:70.4万枚/2018年12月時点)が上限なんじゃないかと思います。記念品として何枚も買われているアーティストは別として、今は20万とか30万売れたらかなり大ヒットの部類でしょう。言うなれば今の音楽業界は、昔の10分の1の規模。しかし、それは時代の変化なのでやむを得ません。そのため(1つの売上は)小さくてもいいから、アイテムを広げていって、ビジネスにしていく。何であっても話題にしていきながら、その音楽をちゃんとしたビジネスに持っていくことがポイントだと思います。

「U.S.A」や「ダンシング・ヒーロー」も広まったきっかけはYouTubeである。しかし、その小さな話題もキャッチして、CDの売上も大きく繋げていった。ここには平氏の考えが反映しているのだろう。宣伝においても、単に作って流すだけではなく、どうビジネスに繋げるのかを考える必要があると平氏は言う。
楽曲も同じなのですが、やっぱりインパクトが大切なんです。もちろんビジュアルもですよね。テレビCMで考えると、長さは13.5秒。そして、もしもコマーシャルに音楽が使われるならば、3秒から5秒だと思うんです。なので、ミュージックビデオから15秒を切り取って、CMで流すのであれば、その映像は本当にインパクトはあるのかということを考えなければいけません。せっかくミュージックビデオを200万円も300万円も使って作るのであれば、しっかり宣伝の効果を考える必要があります。制作の段階から、どういうプロモーションがあって、どういうところでリアクションを作っていくのかを考えているのであれば、作った後にも十分市場を考えて、宣伝しないとうまく伝わりません。

 確かに「U.S.A」のMVはインパクトの強さが話題を呼び、YouTubeで公開されて10日間で200万再生を達成した。せっかく作ったミュージックビデオも、なにも考えないままだと無駄になってしまう。作る側だけでなく、流す側も観る人にどう届くのかと常に問い直す必要がある。

これからは日本「発」の曲を世界に発信していくべき

  • DA PUMPのシングル「U.S.A.」

    DA PUMPのシングル「U.S.A.」

 現在、テクノロジーの発展によって、世界の音楽を簡単に聞くことができる。少子高齢者化で音楽市場が縮小していく日本は、特に世界のマーケットにも目を向けるべきだ。しかし平氏は、安易に世界に目を向けることは危険だと語る。
とりあえず、まず日本の市場を大切にするべきだと思います。海外で売れることを夢見て、日本で失脚してしまっては意味がありません。国によってヒットするメロディーは違いますから。もし、外国へと広げていくならば、普通にやっていてもアメリカン・ポップスとかには勝てないですよ。しかし、日本の市場も国境を超えた市場になれば、もっと広がり方は違うんじゃないでしょうか。日本人の作曲家じゃないとダメとかではなくて、外国人の作家も一緒に作るなど、そういうことがあっても良いと思うんです。日本オリジナルではなく、日本発で売れる可能性も楽曲的にはあると思います。なので、我々としては、日本発で世界の頂点になるっていうような作品をプロデュースするのは夢ですね。

 日本が世界に発信していくには、日本オリジナルにこだわっていてはいけない。聴く音楽だけでなく、作る音楽ももっと既存の枠にとらわれず、ボーダレスにしていくことで、日本の市場も幅広いものになる。そのなかから、世界に通用する楽曲が出てくるであろう。
【プロフィール】
ライジングプロ・ホールディングス 代表取締役
平哲夫氏(たいら てつお)

1946年8月24日生まれ。1985年 荻野目洋子を第1号所属とした「ライジングプロダクション」を設立。「Jonny Taira」名義でプロデュース活動も行い、数々のアーティストを世の中に送り出す。SPEED、MAXなどの女性グループを売り出した後、DA PUMP、w-inds.、三浦大知ら男性アーティストもプロデュースを手がけている。

DA PUMP「U.S.A.」ミュージックビデオ

提供元: コンフィデンス

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