倉木麻衣、『コナン』ヒット支える映画と音楽の世界観をつなぐ主題歌
歌声と歌詞、『コナン』の世界観と合致し、相乗効果でそれぞれがヒット
その「Secret of my heart」から始まり、劇場版『名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)』の主題歌「Time after time 〜花舞う街で〜」(2003年)など、倉木とコナンのコラボは今回で通算21作目となり、同一アニメでの最多主題歌担当としてギネス申請された。また今回の主題歌では、ミリオンセラーとなったデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」(1999年12月発売/最高2位/累積売上138.5万枚)から41作連続通算41作目のシングルTOP10入りを達成。自身が歴代1位記録を持つ、ソロアーティストによるデビューからのシングル連続TOP10入り作品数を41作連続に更新した(歴代2位=田原俊彦の30作連続)。
従来のタイアップとの関係性とは一線を画した倉木の楽曲
一方で、同一アーティストが幾度となく同じアニメのテーマソングを歌うことは、一歩間違えばアニメの印象が強くなり、アーティストカラーに影響を及ぼす場合もある。しかし、倉木の場合は、自身のアーティストカラーを損なうことなく、ごく自然な形でアニメの世界観に寄り添っている。透明感溢れる歌声もそうだが、クリーンなイメージから『コナン』に限らずこれまで多くのタイアップ曲に起用され、NHK連続テレビ小説『オードリー』主題歌「Reach for the sky」など、作品の世界を上手く表現した歌詞に定評がある。
近年は、『ラブライブ!』などの社会現象となったテーマソングもあるが、キャラクターを演じる声優が歌う楽曲や、『妖怪ウォッチ』(テレビ東京)といった企画性の高いタイアップものも多い。なかには、曲とアニメの内容が密接にリンクしていない単なるプロモーション的なケースもある。そうした従来の楽曲PRを主目的としたタイアップとは一線を画している倉木は、作品と楽曲の世界観をつなぎこむコンテクストがしっかりとある。最近では、アニメ映画『この世界の片隅に』でのコトリンゴや、『君の名は。』でのRADWIMPSなども通ずるものがあるが、倉木がその潮流をつくった元祖といっても過言ではないだろう。今作で改めてアーティストとして更なる可能性を感じさせた彼女に、今後も注視していきたいと思う。