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『TOKYO VICE』が開いた扉、アンセル・エルゴート×渡辺謙インタビュー

『TOKYO VICE Season2』アンセル・エルゴート、渡辺謙

『TOKYO VICE Season2』アンセル・エルゴート、渡辺謙

 WOWOWとHBO Maxの日米共同制作ドラマシリーズ『TOKYO VICE Season2』 の放送&配信がスタート。主演のアンセル・エルゴートと渡辺謙の息ぴったりなインタビューをお届け。アンセルもすべて日本語で受け答えしてくれた。

 東京の大学を卒業したアメリカ人青年ジェイク(アンセル・エルゴート)は、故郷に戻ることを勧める両親に反し、難関な試験を突破して日本の大手新聞社に就職する。警察担当記者となったジェイクは特ダネを追いかけるうちに、ヤクザ絡みの事件を手練で解決する刑事、片桐(渡辺謙)と出会う。新聞記者として危険な闇社会へと入り込んでいくジェイクに片桐は忠告する。「この世界は、一度開いた扉は閉じるのが難しい」と。登場人物たちそれぞれがショッキングな展開を迎えるというクリフハンガーで幕を閉じたSeason1(2022年)。

『TOKYO VICE Season2』アンセル・エルゴート、渡辺謙 Photo: James Lisle/WOWOW

『TOKYO VICE Season2』アンセル・エルゴート、渡辺謙 Photo: James Lisle/WOWOW

――Season1の反響はどうでしたか?

渡辺Season1は斬新な終わり方でしたよね。1だけで終わっていたら、ふざけるなって、絶対なる(笑)。日本でも「これからどうなるの?」ってざわついたと思うんですけど、アメリカをはじめ、海外の反響は結構すごかったですね。去年、フランスにいる娘のところへ行ったり、イタリアを旅行したりしたんですけど、『TOKYO VICE』のことをよく聞かれました。
  • アンセル・エルゴート

    アンセル・エルゴート

――Season2、絶対作りますから、と製作陣が公約したようにも感じました。

アンセルSeason1もすごく良かったですけど、8話の終わり方はちょっと、という声もあって。でも、日本に先駆けてアメリカでSeason2が始まったら、Season1の時よりもさらに良いリアクションが見られました。HBO Maxでも一番人気になりました。

渡辺爆発してるよね!Season1の3倍くらい。ロスのレストランで会食があって、みんなで写真を撮ろうとしたら、後ろの席の人が「僕、撮りますよ」って言ってくれて。実はその人たちLAPD(ロサンゼルス市警)の人で、僕のことを仲間のように思っているって(笑)。警察関係の人たちもすごく楽しく見てくださっているのを知ってうれしかったですね。
  • 渡辺謙

    渡辺謙

――本作の日本的なところ、日本的ではないところで思い浮かぶことは?

アンセルアメリカの文化と日本の文化の違いを感じることばかりだったので、日本的なところは、僕にとって全部新しい経験になりましたし、それをすごく楽しみました。日本的で良いな、と思うことも多かったです。例えば、仕事が終わった後にビールを出していたんです。それはアメリカで見たことがなかった。

渡辺みんな車で来るからね。

アンセル日本の皆さんは、仕事中はすごく集中して、仕事が終わるとみんなリラックスする。アメリカでは、仕事中であってもなくても変わらない、ずっとリラックスしてる感じ。

渡辺境目がないってことかな。

アンセル(この話題が)あんまり、面白くなかったですね。

渡辺面白くなくたっていいんだよ(笑)。

アンセルあと、東京の街中で撮影するのが難しいところが日本的だと思う。アメリカの街で撮影するより難しいと感じました。

渡辺しかも、物語の舞台は90年代の東京ですからね。現在の東京とは全く違うといっても過言ではない。だから、90年代の東京に見える場所を見つけるのが、すごく大変だったんです。

 日本的ではない、というところでは、やっぱり視点が違うと思います。郵便ポスト一つをとっても、ハリウッドのスタッフが撮るとちょっと違って見える。日本人に日本のすべてが見えているのか、っていうことでもあるんだよね。ちょっとアングルを変えたり、ちょっと撮り方を変えたり、ちょっと照明を変えたりするだけでも違う世界に見えてくる。それが、『TOKYO VICE』の東京、「パラレル東京」と言ってもいいかな。東京という街は、もっともっと複雑で、もっともっと深度の深い街であるっていうことをこのクルーは見せてくれている気がするんだよね。

ジェイク(アンセル・エルゴート)=『TOKYO VICE Season2』 Photo: James Lisle/WOWOW

ジェイク(アンセル・エルゴート)=『TOKYO VICE Season2』 Photo: James Lisle/WOWOW

アンセルアメリカでは俳優同士がお互いの演技について話し合ったり、時にアドバイスをしたり、してもらったりといったこともないんですよね。でも、日本では「謙さん、どう思いますか?」って相談したり、(ジェイクの同僚ティン・ティン/栗平誠役の)田中光輔がいろいろ質問してきたり。

渡辺アメリカの精神は基本的にインディペンデントなんだよね。答えは自分で考える。だから、ほかの役者にこういう風に演じた方がいいんじゃない?みたいなことは、絶対に言っちゃいけない。撮影の現場で思うことがあれば、それは監督に言うしかない。その結果どうなるかは監督次第だけど、これは世代、性別、一切関係ない。そういう文化なんだよね。

 でも、「こうしろよ」と押し付けるのではなく、「こういうのもあるよね」「こういう考え方もできるよね」といったディスカッションをしながら、つくっていくのは素敵なことだと思うけどね。僕もそうやってモヤモヤしたものがパッと晴れたり、すごくいいヒントをもらったりしたことがいっぱいあったからね。

アンセル僕もそれは素敵だと思う。

片桐(渡辺謙)=『TOKYO VICE Season2』 Photo: James Lisle/WOWOW

片桐(渡辺謙)=『TOKYO VICE Season2』 Photo: James Lisle/WOWOW

――『TOKYO VICE』が、世界一ロケが難しいと言われている東京でロックダウンで中断後撮影を再開したのは、コロナ禍の2020年11月。本作が世界で勝負できたことは、日本のエンタメ界の扉を開いてくれたように思います。

渡辺最初、警察とヤクザの話と聞いた時は、もうやり尽くしてるのでは?と思ったんですが、やっぱり、アンセルが演じたジェイクの存在が肝でした。外国人の記者の目から見た日本という、これまでにないアングルから描くことによって、全く違う世界が広がったというか、いままでアンタッチャブルだったところまで踏み込めたというか。

 パンデミックが起きて、僕らの撮影も危うかったけれど、そのおかげといってはなんだけど、配信サービスが一気に広がって、良質で面白い作品を作れば世界中の人が見てくれることがわかった。2時間くらいの映画では描き切れない、エピソードを重ねていくドラマならではの魅力や視聴習慣も広まった。本当にいいタイミングでSeason1が放送・配信されたと思います。

アンセル僕は、『TOKYO VICE』が成功したのは当然だと思っています。通常の日本のドラマよりもバジェットがあって、

渡辺1話あたり日本の映画1本分ですからね。

アンセルそれを18話(Season1=8話、Season2=10話)。渡辺謙さんが出ていて、

渡辺主演はアンセルだし(笑)

アンセル(照れ笑い)ほかの日本のキャストも大スターばかり。マイケル・マンがエグゼクティブ・プロデューサーでSeason1第1話の監督もしたし、90年代の東京が舞台というのもすごく面白いと思ったし、みんなで一生懸命撮影したし、絶対成功するって思っていました。

片桐(渡辺謙)とジェイク(アンセル・エルゴート)=『TOKYO VICE Season2』 Photo: James Lisle/WOWOW

片桐(渡辺謙)とジェイク(アンセル・エルゴート)=『TOKYO VICE Season2』 Photo: James Lisle/WOWOW

――『ベイビー・ドライバー』(17年)では天才的なドライビングテクニックを誇る“逃がし屋”の青年を、スティーヴン・スピルバーグ監督が名作ミュージカルを映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』(22年)でも主役を務めたアンセル・エルゴートさんですが、今後挑戦したい役はありますか?

アンセル日本の時代劇です。

――謙さん、一緒にどうですか?

渡辺えー!?(苦笑)

アンセルじゃあ、伊藤英明さん(Season1で共演)と出る。

渡辺彼、岐阜出身だから、岐阜で撮るといい。お城もあるし。

アンセル岐阜で時代劇撮ります(笑)。謙さん、舞台はどうですか?

渡辺それはいいね、ぜひ!

ハリウッド共同制作オリジナルドラマ『TOKYO VICE Season2』

 明調新聞のアメリカ人記者ジェイク・アデルスティーン(アンセル・エルゴート)はクラブのホステス、ポリーナ(エラ・ルンプフ)が殺害された事件の裏にヤクザの戸澤(谷田歩)が関与しているとにらみ、刑事の片桐(渡辺謙)と組んで調べを進める。サマンサ(レイチェル・ケラー)は自分のクラブを開店するが千原会からの干渉に悩んでいた。

 一方、腹を刺された千原会の佐藤(笠松将)は無理やり退院し、彼を刺した若いヤクザは戸澤組に接触。ヤクザの世界で何かが動き始めていた…。

『TOKYO VICE Season2』WOWOWにて放送・配信中(毎週土曜 後9:00、全10話)
『TOKYO VICE Season1』(全8話)はWOWOWオンデマンドにて配信中

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