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上映館が100倍に拡大、タイ版“カメ止め”『バッド・ジーニアス』ヒットの理由
公開前の大プロモーションは不発? 波乱が続く映画興行
昨年の映画界でダークホース的存在だったのは、韓国の『新感染 ファイナル・エクスプレス』や、インドの『バーフバリ 伝説誕生』など。カルトな人気を集めて話題となり、爆音上映や応援上映などといったイベント形式の上映に注目が集まった。今年は同様に『カメラを止めるな!』が異例のヒットとなったと共に、『バッド・ジーニアス』がダークホースといえそうだ。この2作品に共通するのは、出演者が無名、封切り時の上映館数の100倍を超す拡大公開、そしてそのきっかけとなったのは口コミ、ということだ。
アジア各国でヒットするも、市場の小ささから日本では話題にならず
彼らはタイ本国でも、この映画のヒットからブレイクした存在。それまでは無名だった。監督は「この作品のおかげでチャンスの機会が広がった。有名になったことよりも、それが僕らにとってのボーナスみたいなもの」と言うが、アジア諸国での彼らの認知度は作品のヒットにより急速に上がり、11月3日の来日も次回作の合間を縫っての緊急弾丸日程となっていた。
では日本での彼らはどうかというと、前述の通り、アジア映画市場の小ささからか、本作の他国でのヒットはあまり伝わることがなかった。昨年の『アジアフォーカス・福岡国際映画祭2018』での上映で観客賞を受賞したとはいえ、作品や彼らを知っていたという人は、公開前は少なかっただろう。もちろん、1館封切りでスタートした作品だけに、公開前にメディアを使ったプロモーション祭りは皆無。それでも『バッド・ジーニアス』の人気は一人歩きし、封切り時は都内1館だった上映館も、現在は全国100を越す勢いとなっている。
口コミがけん引、メディアで広まるも“観られない”渇望感”
実際、口コミの動きに同期して、上映館は増え続けている。9月22日に上映を始めた新宿武蔵野館では、初回から満席が続き、それを受けて翌週からはヒューマントラストシネマ有楽町などでの上映が決まる。封切館の武蔵野館では3週間で89回を上映したが、うち56回が満席と、平日でも動員が落ちないと映画興行界で注目に。4週目以降は横浜、お台場、川崎などの首都圏をはじめ、新潟、沖縄などに拡大し、現在では各県の劇場がブッキング済みとなっているのだ。