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“後世に影響を与え続けるバンド”クイーン、MISIAやJUJUの作曲を手がけたプロが語る凄さとは?

『ボヘミアン・ラプソディ』11月8日(木)前夜特別上映(IMAX・ドルビーアトモス)2018年11月9日(金)全国ロードショー 配給:20世紀フォックス映画 (c) 2018 Twentieth Century Fox

『ボヘミアン・ラプソディ』11月8日(木)前夜特別上映(IMAX・ドルビーアトモス)2018年11月9日(金)全国ロードショー 配給:20世紀フォックス映画 (c) 2018 Twentieth Century Fox

 イギリス・ロンドン出身の男性4人組ロックバンド、クイーン。1991年にボーカルのフレディ・マーキュリーが亡くなってからも、CM・ドラマに数多く曲が使われるなど、後世に渡り影響を与えつづけている。そんな彼らの“知られざる真実”を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』が制作発表からおよそ8年の歳月を経てついに公開。「1960〜70年代結成のバンドで、最も後世に影響を与えたと思うロックバンドは」(オリコン・モニターリサーチ調べ)というアンケート調査でも、1位のビートルズ、2位のエアロスミス、3位のサイモン&ガーファンクルに続く4位と、上位5組に入る影響力を持つ彼らが残してきた偉大な記録、また、プロの作曲家から見たクイーンの凄さとは?

映画『ボヘミアン・ラプソディ』サウンドトラックも好調 クイーンの人気曲は?

 クイーンが初めて日本に降り立ったのは1975年のこと。すでに世界で名声を轟かせていたため、初来日時には、羽田空港に3000人のファンが詰めかけた。オリコンによると、2004年1月28日に発売されたアルバム『クイーン ジュエルズ〜ヴェリー・ベスト・オブ・クイーン〜』は、2004/2/9付週間アルバムランキングで初週16.0万枚を売り上げ初登場1位に。また同週付から3週連続(※2004/2/9付、2/16付、2/23付)で週間アルバムランキングの1位を獲得したうえ、同年4/26付まで12週連続でTOP10入りを記録した。さらに「アルバム首位インターバル記録」(『華麗なるレース』1977年1月24日付〜『クイーン ジュエルズ〜ヴェリー・ベスト・オブ・クイーン〜』2004年2月9日付迄の27年1ヶ月)では歴代1位を獲得。そして、先月10月に発売された映画『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラックは初登場で洋楽アルバム3位(10/29付)を獲得するなど、“クイーン人気”はまだまだ健在のようだ。

 ところで、木村拓哉主演『プライド』(フジテレビ系)の主題歌に採用された『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』や、キリン『NUDA』のCMソングにも使われた『ドント・ストップ・ミー・ナウ』など、若年層も耳馴染みのある曲が多いが、これまでどの曲がセールス的にヒットしたのか。その結果は『キラー・クイーン』がトップ、そして今回の映画のタイトルにもなった『ボヘミアン・ラプソディ』と続いた。

 実際に彼らの認知度はどの程度なのか、「『クイーン』というバンドを知っていますか?」というアンケート調査を10代〜50代の男女に実施したところ、約8割の人が「知っている」と回答。40代〜50代といったリアルタイムでクイーンの活躍を知っている世代以外の認知度も高いことがわかる。

 また、「クイーンの楽曲で知っている曲は?」という調査では、“ドン・ドン・チャ”のイントロでお馴染みの『ウィー・ウィル・ロック・ユー』がトップに、その後は『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』『伝説のチャンピオン』などドラマやバラエティでたびたび使われてきた曲が続く。

 そして、「クイーンの楽曲で印象深い曲は」というアンケート調査では、老若男女様々なエピソードが寄せられた。『ウィー・ウィル・ロック・ユー』は「気づかないうちに刷り込まれている」(男性/30代)といった声から、「ウォーターボーイズで流れていて知った」(女性/10代)など、ドラマに使用され知ったという若者の声が多く見られた。そして映画のタイトルにもなっている『ボヘミアン・ラプソディ』は、「アカペラとロックの融合が斬新」(女性/40代)「どの曲も今でも聞き続けたくなる名曲ばかりだが、最初に聞いた時の衝撃度合いで『ボヘミアン・ラプソディ』が印象深い。当時、ポップスでこんな組曲は聞いたことがなかった」(女性/40代)と、それまでの洋楽にはなかった驚きをリスナーに届けている。

ウィー・ウィル・ロック・ユー

  • TVで流れるのをいつも聴くから(男性/10代)
  • 気づかないうちに刷り込まれている(男性/30代)
  • ウォーターボーイズで流れていて知った(女性/10代)

ボーン・トゥ・ラヴ・ユー

  • ビールのCMで流れていて、爽快感のあるいい曲だなと思った(男性/30代)
  • 木村拓哉さん主演のドラマ『プライド』の主題歌だったから(女性/20代)
  • 気付いたらよく耳にする馴染みのある曲となっていた(女性/40代)

伝説のチャンピオン

  • サッカーの試合を観ていて表彰式の時に流れていたのが印象的(男性/30代)
  • 学生時代にはやった曲でクラスが盛り上がった(女性/50代)

ボヘミアン・ラプソディ

  • アカペラとロックの融合が斬新に思えました(女性/40代)
  • 初めて買った洋楽のレコードです(男性/50代)

キラー・クイーン

  • ブライアンメイのギターソロがとてつもなく美しい(男性/50代)
  • 初めてクイーンを認識した曲。今までの洋楽とは全く違った分厚い音に驚いた(女性/50代)

槇原敬之のツアーバンドのサポートメンバーとして数多くのライブ現場でも活躍する音楽プロデューサーから見たクイーンとは

 実際、プロの目線からクイーンというバンドはどう見えるのか。MISIA、JUJU、木村カエラ、吉澤嘉代子など、様々なアーティストへの楽曲提供・アレンジ、サウンドプロデュースを手掛ける音楽プロデューサーで作曲家の横山裕章氏に話を聞いた。

横山裕章氏

横山裕章氏

横山裕章クイーンを初めて聞いたのは小学生のころです。当時はオランダに住んでいたのですが、MTVが全盛期の頃で、『Bicycle Race』のミュージックビデオを見たのが最初です。裸で自転車を漕いでいた映像が強烈で、いつの間にか「I want to ride my bicycle bicycle bicycle〜」と歌詞を口ずさんでいました。いま聞いても、覚えやすい単語とメロディーで構成されていると思います。

 また、横山氏はクイーンというバンドの魅力をこう語る。

横山裕章当時のロックバンドの曲はある程度構成やアレンジが決まっているから展開が予測できるんですが、クイーンはピアノやギターを中心に絶妙なタイミングで転調したり、さりげなく変拍子を入れてきたり、綿密なコーラスも入ってたりするので、ドラマチックな展開で聞いていてワクワクするし、もう一度聞きたくなります。それにバンドメンバーみんなが作曲できるため、曲のバリエーションも豊か。いわゆるボーカルの人が作詞作曲をして、ワンマン体制でやっていくのではなく、みんなが平等なモチベーションのもと成功した数少ないバンドの一つですよね。

 プロがうなるほどのアレンジにおける先進性と普遍性。普段の創作活動においても参考にすることがあるという。

横山裕章自分の仕事上、コーラスアレンジが必要となるんですが、そんなときにクイーンの曲を参考にする時もありますね。それこそ小さい頃から聞いている『ドント・ストップ・ミー・ナウ』なんかは、音域の配置が非常に凝っていますよね。「こういう風にするとゴスペルっぽいんだ!」とか。2サビ後のコーラスの掛け合いなんかは今聞いてもワクワクします。クイーンが活躍していた70年代後半から80年代前半のサウンドはレコーディングの技術も変わってきたし、使う楽器のトレンドも変わってきて色々柔軟に新しいことにチャレンジしてますよね。そういうところも凄いなと思います。もし今クイーンが存在していたら、様々な音楽の要素を入れた唯一無二の楽曲を作るんじゃないかなと勝手に妄想しています(笑)。

名曲『ボヘミアン・ラプソディ』という曲はEDMの先駆け!?

 そんな横山氏に『クイーンの中で好きな3曲』を挙げてもらった。

横山裕章僕が好きなのは『地獄へ道連れ(Another One Bites the Dust)』、『ボヘミアン・ラプソディ』『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』ですかね。『地獄へ道連れ』は今聞いても新鮮なサウンドプロダクション。ベースのリフから入って、打ち込みっぽいドラムのループが入ってギターリフが入って……今で言うダフト・パンクの『ゲット・ラッキー』にも通じるようなサウンドに仕上がっていて、音を聴いているだけでもかっこいい。クラブで流れてても踊れる要素がたくさんあるアレンジになっています。

横山裕章また『ボヘミアン・ラプソディ』は、「ママ たった今、人を殺してきた(Mama, just killed a man)」の歌詞の部分が、“今までの自分を壊して新しい自分になる”というカミングアウト的な要素が散りばめてあると言われていますよね。当時の状況から考えるととても勇気が必要な事だったし、大事なメッセージが入っている曲。改めて聴くと、EDMの先駆けを感じる構成ですよね。オペラ部分の盛り上がりを経て、ギターリフが入るところがEDMでいうところの“音サビ”みたいな。ライブ映像を見るとわかるんですが、そこの部分でお客さんがめちゃくちゃ盛り上がってますよね。

 幼い頃からクイーンの音楽に触れてきた横山氏も、今回の映画『ボヘミアン・ラプソディ』のクオリティには太鼓判を押す。

横山裕章予想をはるかに超えた迫力があって面白かったです。ただのライブ映画でもなければ、ただのドキュメンタリー映画でもない。恋愛や家族愛など色々な要素が詰まっていてエンターテイメント性が非常に高かった。バンドの音にも臨場感があって、目の前で演奏されているみたいで、曲が流れるごとに鳥肌が立っていました。フレディを演じたラミ・マレックも、表情はもちろん、ライブでのマイクパフォーマンスとか、お尻の独特の動きのニュアンスとか、再現度がものすごく高い。クイーンを知らない人でも間違いなくフレディの事が好きになるし楽しめると思います。

劇中のフレディのポーズを真似る横山氏

劇中のフレディのポーズを真似る横山氏

Information

映画『ボヘミアン・ラプソディ』

数々の名曲を世に送り出し、圧倒的なライブパフォーマンスで世界中のファンを魅了したクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの軌跡を追ったストーリー。『X-MEN』シリーズなどのブライアン・シンガーが監督を務め、フレディに扮したドラマシリーズ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』のラミ・マレックが熱演を見せる。

11月8日(木)前夜特別上映(IMAX・ドルビーアトモス)
2018年11月9日(金)全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
(c) 2018 Twentieth Century Fox
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【調査概要】
調査時期:2018年9月21日(金)〜10月16日(火)
調査対象:計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ
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