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堀内敬子インタビュー ドラマや映画でやたら目にする“あの名脇役”の素顔

コメディからサスペンス、心温まるヒューマンドラマまで、さまざまなジャンルの作品で名バイプレイヤーとして存在感を発揮する女優の堀内敬子(45)。昨年だけでもNHK朝ドラ『マッサン』や月9『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)など、ドラマ16本と2本の映画に出演、その姿を“見ないシーズンがない”ほどラブコールが絶えない売れっ子だ。そんな彼女のキャリアスタートは劇団四季で、当時は意外にも(!?)“ヒロイン”として舞台に立っていた。ミュージカル女優から、どのようにして映像作品へと移行し、今の地位を築き上げたのか? “憑依型女優”の歩みと素顔に迫った。

SNSで「あの人が犯人では?」と騒がれてしまうことが多いんです(笑)

――NHKドラマ『コントレール〜罪と恋〜』では主人公の親友・田渕さゆみを演じていますが、今回もひと筋縄ではいかない役ですね。堀内さんが出てきた時点で「この人はただの友だちではないかもしれない」と思ってしまいました(笑)
堀内敬子 このドラマに限らず、私が出演すると「あの人が犯人なのでは? キーマンなのでは?」とSNSで騒がれてしまうことが多いんです(笑)。私としては“堀内敬子”自身として見られてしまうのが一番嫌なので、みなさんに役の印象を持っていただけるのは嬉しいのですが、あまりにキーマンのイメージが付き過ぎてしまうのはどうなんだろうなと(笑)

――でも、それだけ役になりきっているということですよね。三谷(幸喜)さんも堀内さんのことを憑依型の女優さんとおっしゃっていましたが。
掘内 そうですね。撮り終わった作品を観たとき、自分でも「あれ、これ私だっけ?」って別人のように感じてしまうことは結構あって。ドラマ『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系)のときなんかは自分を見て本気で「この人、怖いな〜」って思ってしまいました(笑)。

――堀内さんは劇団四季の出身ですが、その頃からそういう演技スタイルだったんですか?
堀内 いえ全然。そもそも私は、自分で「なりたい!」と思って女優の道に進んだタイプではないんです。小さい頃、母がよく舞台を観に連れて行ってくれていたことと、バレエを習っていたことが影響していて、母が敷いてくれたレールを走ってきたというか。今さら職を変えることもできないんだけど、母に言われるがまま劇団に入って、今に至るっていう感じですね(笑)

劇団四季ではヒロインとして活躍、ハードだけど「一度も辞めたいと思わなかった」

――では演技に目覚めたのは?
堀内 劇団ではミュージカルが多かったので、本格的なストレートプレイに触れるようになったのは劇団を辞めて、三谷さんの舞台に出るようになってからなんです。
――でも劇団四季では何度もヒロインも演じられて、生粋の演劇人という印象があります。
堀内 四季のときは、とにかく体力勝負のスポーツ選手みたいな感覚というか。

――そんなに過酷なんですか?
堀内 1日1公演の場合は、本番の前にジャズダンスやバレエのレッスンをしてから、劇場に入って夜公演をやるっていうスケジュールなのでほとんど休む時間がありませんでした。休演日も基本、劇団でレッスンをするのでまったく休みがない。だからずっと動いていて日々、生きて行くだけで精一杯っていう感じでしたね。

――辞めたいと思ったことは?
堀内 辞めたら楽になるとは思いましたが、不思議と行動に起こすことは一度もなかったんです。

三谷幸喜との出会いが転機に “国旗の本”使う異色レッスンで演技のメソッド教え込まれた

――退団後、映像に移行した後に大変だったことは?
堀内 映像は舞台と違って、稽古がないまま撮影に入るので、最初は「え、もう!?」という気持ちがすごくあって。そのやり方に慣れるのに時間がかかったし、カメラがどこを撮っているのかさえ認識できていなくて、場面からはみ出てしまったこともあったと思います。あと舞台出身だから声が大き過ぎてしまって、スタッフさんに「マイクいらないなぁ」って言われたこともありました(笑)

――その中でターニングポイントになった作品や出会いを挙げるなら?
堀内 やっぱり三谷さんの舞台ですね。『12人の優しい日本人』では、なかなか掴めないままやっていたのでダメ出しばっかりで。別の舞台のときには、ワークショップをやらせてもらったんですが、そのときはセリフを言うだけじゃなく、国旗の本を渡されて、パッと開いたページの国の説明をするっていう練習もして(笑)
――それは何のレッスンだったんですか?
堀内 三谷さんいわく、私が理論的に話すことがヘタ過ぎるから、それを克服する練習だったみたいです。それが舞台でどんな風に活きたのかは分からないんですけど(笑)、ここで演技のメソッドを教え込まれたというか。ダメ出しばっかりでしたけど、役柄についてより深く考えるようになりました。

――そういった役作りの中で、役に入り込む=憑依型の役者さんになっていったと。
堀内 私の場合、役柄に自分が近づいていくというより、役に飛び込んでいくような感じなんです。自分の中のものを徐々に役に変えていく方もいると思いますが、私はその役にいきなりピョンと入るような役作りで、そういったことが憑依型って言われるのかもしれないですね。ただ自分としては、ちょっとモノマネをしているような感じというか。役柄イメージに近い身近な人を自分の引き出しから出してきて、その人のマネをするイメージなんですよね。

45歳でようやくスタートラインに? 女優としての「欲が出てきた」

――演じてみたい役とかはないんですか?
堀内 そういう願望はほぼないんですけど、出番の少ないお母さん役をもっとやりたいです。
――出番が少ないって(笑)
堀内 目立ちたくないので、たくさん出なくていいんです。主役をやりたいって気持ちもあまりなくて、それよりもいい作品に“ちょこっと”出たい(笑)。それは多分、自ら女優さんになりたいと思ってこの世界に入ってないからで、常に目の前の役を全力でやればいいっていうスタンスなんです。だから現場でも、監督さんに「こう演じたい」とかは自分からは言わない。もちろん、役作りはしていきますが、監督と私の解釈が違ったら、監督の意向通りにしています。

――常に求められたことをやると。
堀内 逆にそれが今は私の課題なんですよね。「こうじゃないと自分は演じられない」っていう役者さんに出会うと、すごいなって思うんです。自分が納得したことしかできないということは、その人の演技には嘘がないってことじゃないですか。でも私の場合は解釈が違うなと思っても、その通りに演じてしまうのである意味、嘘(妥協)があるんじゃないかなと。

――それは“嘘”ではなく、堀内さんならではの職人的なアプローチなのでは?
堀内 どうなんでしょうね。ただ『コントレール〜』に出てから、お芝居の幅が広がったというか。演じることの面白さをより感じるようになりました。
――すごく最近じゃないですか(笑)
堀内 そうなんです(笑)。私は舞台出身なので、インパクトのあるセリフは強調して言いたい気持ちがあるんですね。でも同作で演出をしてくださっている柳川強さんと橋爪紳一朗さんは、そういうセリフは敢えてサラッと言う主義の方で。それって自分では思ってもみなかったアプローチだったんですが、実際に演じてみたら自分の中で次々と新しい扉が開き始めたというか、急に世界が広がったんです。そしたら台本を読んでいても「もしかしたら、このセリフはこういう言い方もあるかもしれない」って、急に面白くなってきたし、欲も出てきて。「こういう言い方でいいですか?」って自分から提案できるようになったんです。

――今までは提案しない人だったのに!
堀内 やっとスタートラインに立ちましたね(笑)。だから今後はいろんな作品に出て、いろんな監督さんや俳優さんのアプローチを見てみたいと思います。あと、私はとても“人”に興味があって聞きたいことがたくさんあるので、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)のようにいつか“敬子の部屋”をやってみたいなって思います(笑)

――司会が堀内さんなら、ゲストがみんな明るくなる気がします。
堀内 本当ですか!?(笑)。とりあえず、今後もそうやってお仕事の幅が広がっていけば嬉しいです。

文:若松正子/写真:片山よしお
衣装協力:10for1/スタイリスト:庵郷子/ヘアメイク:多絵

出演情報

NHKドラマ10『コントレール〜罪と恋〜』
  • (C)NHK

    (C)NHK

 無差別殺人事件で夫を失った孤独な女(石田ゆり子)。絶望の淵で出会った運命的な恋の相手は、夫を殺した男(井浦新)だった……。愛してはいけない相手と知ってなお、激しく求めあう2人。そして女を想い、その恋をそっと見守る心優しき刑事。人生には、どんなに苦しいときでも、思いがけない出会いが訪れる――。新生「ドラマ10」第1弾は、『セカンドバージン』を手がけた大石静のオリジナル脚本で送る、大人のためのラブストーリー。 ※コントレール=ひこうき雲の英訳

放送日:NHK総合 毎週金曜22時〜(全8回)
脚本:大石静 演出:柳川強、橋爪紳一朗
出演:石田ゆり子、井浦新、原田泰造、桜庭ななみ、堀内敬子、野際陽子 ほか
公式ページ:http://www.nhk.or.jp/drama10/contrail/(外部サイト)

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