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北野武監督、カンヌ無冠に終わる

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 23日夜(現地時間)、『第63回カンヌ国際映画祭』の授賞式が行われ、北野武監督『アウトレイジ』は残念ながら受賞を逃した。1999年の『菊次郎の夏』以来、11年ぶりの参加となった2度目のコンペ挑戦だったが、3度目の正直を叶えるチャンスに希望をつなぐ。最高賞の「パルム・ドール」は、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督『前世を思い出せるブンミおじさん(原題)』が獲得した。

受賞は逃したが、今年のカンヌ国際映画祭で注目を集めた監督の1人だったことに間違いはない(c)Kazuko Wakayama 

受賞は逃したが、今年のカンヌ国際映画祭で注目を集めた監督の1人だったことに間違いはない(c)Kazuko Wakayama 

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 今月12日の開幕前から世界中の映画人の注目は高かった。既にべネチア映画祭では『HANA-BI』(1997年)で最高賞の金獅子賞、『座頭市』(2003年)で監督賞を獲得するなど、並みいる巨匠たちと肩を並べていたが、カンヌではいまだ無冠だった。それだけに記者たちの間でも「次こそはキタノでは?」と囁かれてもいた。

 しかし、17日の公式上映を終えたあとの評価はまっぷたつ。『BROTHER』(2001年)以来のヤクザ映画に戻ってきた北野作品ではあったが、監督自身が「ちょっと進化したかな」と会見で語った通り、これまでの北野作品とは全く違ったテイストに、予想を裏切られた記者たちはとまどいを隠せなかった。映画祭期間中に発行される業界誌の星取り表の中には厳しい点数が並ぶものもあったが、はっきりと評価が分かれたこと自体が“キタノ映画への期待の高さ”と“同作がこれまでとは全く違った新しいキタノ映画であること”を同時に証明することにもなった。

 北野監督が何度も繰り返し、「(受賞うんぬんではなく)何百本もの映画の中から、カンヌのコンペティション部門に選ばれることそのものが栄誉である」と語る通り、19本もの強烈な作家性を放つ映画ばかりが並ぶ世界の晴れ舞台で、ラインナップに埋没することなく強烈な印象を残した。

 今回はその“新しい挑戦”が賞には結びつかなかった形だが、審査委員長を務めたティム・バートンをはじめとして、映画監督のヴィクトル・エリセや俳優のベニチオ・デル・トロ、女優のケイト・ベッキンセールなど、9人のプロフェッショナルによって構成された審査員団、カンヌに集った世界中の映画関係者に強いインパクトを与えたことは間違いない。(文・岡崎 匡)

【第63回カンヌ国際映画祭 受賞作品/受賞者】
★パルムドール
スペイン=タイ=独=英=仏合作映画『LOONG BOONMEE RALEUK CHAAT/前世を思い出せるブンミおじさん(原題)』アピチャッポン・ウィーラセタクン監督

★グランプリ(審査委員特別賞)
仏映画『DES HOMMES ET DES DIEUX/神々と人間(原題)』グザヴィエ・ボーヴォワ監督

★男優賞
ハビエル・バルデム
【米映画『BIUTIFUL/ビューティフル(原題)』アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督】
エリオ・ゲルマノ
【仏=伊映画『LA NOSTRA VITA/我々の人生(原題)』ダニエレ・ルケッティ監督】

★女優賞
ジュリエット・ビノシュ
【仏=伊=イラン映画『COPIE CONFORME/サーティファイド・コピー(原題)』アッバス・キアロスタミ監督】

★監督賞
仏映画『TOURNEE/ツアー(原題)』マチュー・アマルリック監督

★審査員賞
『UN HOMME QUI CRIE (A Screaming Man)/叫ぶ男(原題)』
マハマット=サレー・ハルーン監督(チャド)

★脚本賞
韓国映画『POETRY/詩(原題)』イ・チャンドン監督

★カメラドール(新人監督賞)
『ANO BISIESTO(原題)』マイケル・ロウ監督(メキシコ)

★短編部門パルムドール
『CHIENNE D’HISTOIRE (BARKING ISLAND)(原題)』セルジュ・アヴェキアン監督(アニメ作品)

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