女優の吉高由里子が海外ドラマに初進出した『ヴァンパイア検事 〜残された赤い記憶』がDVDで日本に上陸。2011年度の韓国ケーブルテレビ枠で視聴率1位を記録したドラマ『ヴァンパイア検事』の第2シーズンで、吉高は日本からきた超能力を持つ占い師・ルナを演じた。

【写真】その他の写真を見る

■目の前の機会に乗っかってみようと思って…

　同ドラマは“ヴァンパイア検事”ことソウル地検・検事のテヨン（ヨン・ジョンフン）が、同僚検事のジョンイン（イ・ヨンア）、刑事のスンボム（イ・ウォンジョン）ら検警合同特捜部のメンバーと難事件の捜査にあたる謎解きサイコ・サスペンス。行方不明の女子大生が死んでいることを見事言い当てた日本人占い師のルナ（吉高）も、テヨンらの捜査に協力することになる。

　吉高は昨年7〜10月の4ヶ月間、日本と韓国を何度も行き来しながら同ドラマの撮影に参加した。韓国語は「日常会話も難しかったですね。本能的な部分で何を言っているのか伝わってくるんですけど、伝えたい時に言葉が出てこないんですよね」と多少の障壁にはなったが、「今回の共演者は皆、コミュニケーション能力に長けているというか、友達を作るのが上手というか、気さくな方たちばかりで、良い感じで巻き込まれました（笑）」と笑顔で振り返った。

　韓国ドラマに参加する経緯については「目の前の機会に乗っかってみようと思って。日本の連ドラとあまり変わらないものであれば、あえてやる必要はなかった。けれど、もっとこういう作品をやりたいと思えるきっかけになればいいなと思いましたし、やってよかったと思っています」。

　劇中では、何者かに連れ去られたり、土の中に埋められたり、ハードなシーンも体当たりで演じた。吉高は「人と人が協力して何かを作ることは大変面白いです。大昔、言葉がなかった時代の人間も、目の前にあるものを運ぼうという共通意識があれば一緒に運んでいただろうし。言葉がわからないままでも協力し合って何かを作っていく作業を経験して、大げさにいうと原点に戻れたような気持ちになりました」。

■マスコミが作るキャラがひとり歩き…それでいい

　今年前半の吉高は、出演した映画『横道世之介』、『真夏の方程式』が公開され、いずれもヒット。4月期の連ドラ『ガリレオ』（フジテレビ系）も高視聴率を獲得した。「（芸能活動を）始めた時にはこんなに忙しくなるとは思っていなくて（笑）。高校の3年間、部活代わりにやるつもりが、卒業後も意外と続いちゃった。でも、このペースがいつまでも続くわけはないとも思うから、今、頑張れるんだと思います」と飾らずに話す。

　来年4月スタートのNHK連続テレビ小説『花子とアン』のヒロインにも決まり、これからますます忙しくなりそうだ。「自分にできるのは与えられたものに対して一生懸命取り組むことだけ。作品のほうが自分よりもはるかに長生きするものですし、残ってしまうものだから。特に朝ドラは、私が生まれる前に放送された作品があるように、まだ生まれていない人がヒロインになる時も、私が死んだ後も、『2014年度前期ヒロイン吉高由里子』は残るのかと思うと恐ろしいな、と思います。キャスティングを失敗したと思われないように頑張るしかないです（笑）」。

　一挙一動が注目され、マスメディアの中でキャラがひとり歩きしていくスターの宿命も前向きに捉えている。「私が思う私は世の中にいなくて、映画やドラマなどの作品や記事などのメディアによって作られた私のイメージがたくさん人の頭の中や心の中に残っていくのは仕方のないこと。それでいいと思っています」。語り口の端々に彼女の聡明さがうかがえるインタビューだった。

　『ヴァンパイア検事 〜残された赤い記憶』（全12話）のDVD（vol.１〜6）がTSUTAYAでレンタル中。DVD-BOX（6枚組、本編各2話収録）は9月4日発売。

衣装協力：LOKITHO（ALPINISME）
スタイリスト：福田春美
ヘアメイク：室岡洋希（Three Peace）