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ソーシャルWEB時代の新しい名画座〜『午前0時の映画祭』

 「ソーシャルWEB時代の新しい名画座」と銘打ち、著作権保護期間が終了し、パブリックドメインとなった映画をUstreamで配信するプロジェクト『午前0時の映画祭』が7月からスタートしている。若年層へ名画を提供する新たな試みとしても注目される同サービス。さっそく第1回目の反響などを聞いた。

新たな映画体験を提供する『午前0時の映画祭』

新たな映画体験を提供する『午前0時の映画祭』

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 7月11日24時、パブリックドメインの名作をUstreamで視聴する『午前0時の映画祭』がスタートした。そのネーミングからして、すでに第3回が開催中の『午前十時の映画祭』(映画ファンが推した名作映画を毎朝午前10時から1年間にわたって上映する特別企画)のカウンター的存在であることを示している。運営会社KINEATTECの橋本侑生シアターマネージャーは言う。

「パブリックドメインの映画は、VOD配信やYouTubeにも上がっているので、本当はいつでも視聴できます。しかし求心力はリアルタイムで映画を共有することにある。『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本家・虚淵玄さんが、“アニメを皆で同時に見て、Twitterで実況したり、ニコ生でコメントするのは、戦後、力道山の試合を街頭で見た感覚に近いんじゃないか”と言っていました。“テレビ”が新しいガジェットに変わっただけで、皆がひとつのテレビを囲んだ時代の興奮の変形版がUstreamなどへの配信なんじゃないかと。これまでアニメではそれに近い共有感を味わえても、映画にはなかったので、これを実現させたいと考えました」

 第1回目の配信映画はオーソン・ウェルズ監督の『市民ケーン』。初日の視聴者数は約3000人だった。

「2日目はUstreamの運営がオススメのライブカテゴリーに推してくれたので総計1万5000 人くらいでした。常時視聴者数は100〜200人で、これはUstreamでは、新人アイドルの中継くらいの数字。これが30〜40年代のクラシック映画の現在の求心力なのだと思います」

■若年層が見られる時間に積極的に入っていく

 ただし『午前0時の映画祭』というネーミングは、ターゲットをはっきり捉えた。当日のTwitterには、今回初めて『市民ケーン』を見た若い世代が次々とコメントを上げた。

「映画学校の先生や、年配の映画人から、若者はもっと『午前十時の映画祭』に行き、クラシックの映画を見るべきだと言われましたが、僕らの感覚では、午前10時に映画を見に行くなんて無理(笑)。下手すると午後10時でも難しい。忙しくて映画館やレンタルビデオ屋に行けなかったり、興味はあるけれど見ていなかった若い方に見てもらえればと思っています。今は実験的にスタートしたところですが、思った以上の手応えを得ることができました」

 また、今後、上映作品のラインナップは“メジャー路線を少し外したところ”を狙っていきたいという。

「『市民ケーン』はメジャーですが、次はジャン・ヴィゴ監督の『アタラント号』。数字よりも、映画の格好よさやクールさを出していきたい。洋画の観客は減り、邦画もネタとして友だちと共有できるような、イベントのような映画しか受け入れられず、アトラクション的な映画に現在の需要は集中しています。だからこそ映画そのものの面白さ、クールさをアピールし、盛り返していきたい」

 視聴は無料。毎週金曜日の0時から上映を行っている。もちろんまだビジネスにはなっておらず、KINEATTECが運営するリアルな「マイクロシアター」や、動画投稿サービスのVIMEOでの「高画質フルHDのWEB公開」などの“レンタルメディア・サービス”が同社を支えている。

 この試みがどこまで若年層に影響を与えるか、さらには映画視聴にどのような変化をもたらすか、それらはまだまだ未知数。橋本氏は若いクリエイターを刺激したいとも語る。少なくともその機会を与えていることは間違いないだろう。(オリジナル コンフィデンスより)
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