2012年の注目の映画の一つ、『るろうに剣心』（大友啓史監督、8月25日公開）。幕末に新時代を築くという理想から人斬りに身を投じた剣客が、維新後は“殺さず”の誓いを立て、宿敵たちと戦いながら贖罪と新たな時代の生き方を模索する姿を描く。1990年代に『週刊少年ジャンプ』（集英社刊）に連載され、テレビアニメにもなった和月伸宏氏のマンガが原作。2008年から実写映画化の準備を始め、昨年8月から11月にかけて約4ヶ月におよぶ撮影を敢行した。主人公・緋村剣心役で主演する佐藤健は「原作に忠実にというよりも、僕の理想の剣心像を演じた」と手応えに自信をのぞかせる。

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　“飛天御剣流”（架空の剣術の流派）という一瞬で相手を仕留める殺人剣の使い手という設定。原作マンガ・アニメのファンだったという佐藤は「（実写化の）ハードルはものすごく高い」と重々承知していた。その彼が人の命の重さを受け止めながら、切れない刀（逆刃刀）1本で宿敵たちと戦うストーリーを演じていくうちに、「剣心はよく出来た人間だな」とますます好きになったという。

　佐藤は2010年NHK大河ドラマ『龍馬伝』で実在した維新志士・岡田以蔵を好演。さらに猛烈な殺陣の練習を重ねて、今作では「魅せるアクション」に挑んだ。見せ場の一つ、剣心とは対照的な人斬り・鵜堂刃衛（吉川晃司）との対決シーンも「この人たち本当に戦っているんじゃないのって感じを出したいと思って」と楽しそうに語っていた。

　人気マンガの実写化作品だけに、成否を問われるのは、映画ならではの魅力ある世界観をいかに作り出せるか。「映画でこんなに時間をかけて取り組んだ作品は初めて。ものすごく贅沢な経験させていただいたと思う。編集した映像を確認しながら撮影を進められたので、パズルのピースが１つずつ集まっていくような達成感がありました」と話す佐藤の、その目は“期待して待て”と言わんばかりの迫力があった。

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