ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

脚本家・遊川和彦氏が語る“家政婦・ミタ”の生まれた理由

 女優の松嶋菜々子が謎の家政婦を演じる『家政婦のミタ』(毎週水曜 後10:00〜 日本テレビ系)は、初回平均視聴率19.5%と好発進し、30日放送の第8話では最高視聴率29.6%で今年のドラマ作品の中では最高値をマークするなど、最も注目度の高い作品。いよいよ終盤へ向けラストスパートを掛ける同作の生みの親である脚本家・遊川和彦氏がORICON STYLEのインタビューに登場し、「笑わない三田灯の生まれた理由」と他のドラマを圧倒する作品のテーマについて、思いのたけを明かした。

“家政婦・三田灯”の生みの親である脚本家・遊川和彦氏

“家政婦・三田灯”の生みの親である脚本家・遊川和彦氏

写真ページを見る

 遊川氏は脚本家として25年を超えるキャリアを持ち、TBS系『ADブギ』などのブギシリーズや、明石家さんま主演の『さとうきび畑の唄』、また日本テレビ系『女王の教室』、『曲げられない女』など、時代とともにさまざまな話題作を送り出してきたヒットメーカーであり、その存在は、時に業界内で “ドラマ界の風雲児”と呼ばれるほど型破りな一面を持つ。

 今作のドラマ制作あたり「1話完結にして、毎回違う家庭をめぐる方が話が盛り上がるという意見もあったけど、僕は1つの家族を見つめて掘り下げることは譲らなかった」という。その理由として「ドラマは“人間を描く”に尽きる。だったら、各話ごとに家族を変えていくと、家族の問題点や人間の闇を真剣に描ききることはできない。1つの家族に焦点を当て、2011年の現代だからこそ描けるテーマを掘り下げたかった」と振り返る。
 
 今年は3月に東日本大地震があり、エンターテイナーとしてどんなドラマを送り出すのかを考えさせられる1年でもあったという遊川氏。そんな状況の中で、冷血家政婦を主人公とする事に周囲の反対はなかったのだろうか? 「最後には良い事言いますから! って、吹きましたね」と笑う遊川氏だが、「撮影が進むにつれて気づいたんですけど、この作品は『死者に対して、我々生きている側の人間がこれから抱えていく義務を描く』という一面を持っています。阿須田家の母親の自殺から始まって、回を重ねていくうちに、それぞれ失った人への関わりが見えてくる」と、作品の核となるテーマを明かす。

 「震災があって、これからみんなどうするのか? 死者に対して僕らは心の折り合いをつけ、先に進まなければいけない。そこで、説得力を持つキャラクターとして自分たちよりも遥かに深い悲しみと喪失感を持っている三田が必要だった」と三田灯の誕生秘話を明かす。「心が折れている時に“もういいよ、辞めちゃえ”って言われた方が楽な時もあるでしょ? 人間は弱いから、優しい言葉は疑うけど、冷たい言葉はすぐ信じちゃう。でも、その言葉を言う資格があるのは、誰よりも深い喪失感を背負ってそれでも歩いてきた人間だけなんです」。
 
 終盤へのラストスパートとなる9話以降は「阿須田家の終息を含め、三田にはこんな過去があったのか!? なんて事を最後の最後まで引っ張るようなことはしません(笑)。終息のその後の生き方を描くことが大事だから。三田という人間、それに対する阿須田家の人間のかかわりを最後は描きます」と断言。“承知しました”と、どんな命令にも従い、初回から仏壇を燃やす、次女を誘拐する、または長女を刺し殺そうとするなど、その行動や胸の内が全く読めない三田と、トラブルだらけの阿須田家が向かう先にあるものは? ラストへ向けさらなるスピードアップが期待できそうだ。

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索