俳優のオダギリジョーと韓国俳優のチャン・ドンゴンがダブル主演する映画『マイウェイ 12,000kmの真実』（カン・ジェギュ監督、2012年1月14日公開）の特報映像が、韓国に先駆けて日本で公開された。オダギリに「毎日死にそうな思いをしている」と弱音を吐かせた同作の撮影は9ヶ月にも及び、この6月、白夜のラトビアで行われたノルマンディ上陸作戦のシーンを撮り終え、無事クランクアップ。韓国で8ヶ月、ラトビアで1ヶ月という長期撮影をやり遂げたオダギリは、「始まる時は、地獄の日々が始まると思いましたが、終わるとなると寂しいですね。ラトビアも季節も良くて、すごく楽しかった」と安堵からくる余裕と自信をのぞかせた。

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　同作は、韓国映画史上最高額となる製作費21億円（300億ウォン）をかける超大作で、『シュリ』『ブラザーフッド』のジェギュ監督が撮る、実在の朝鮮兵のエピソードを基にした戦争と人間のドラマ。第二次世界大戦下を舞台に、朝鮮半島からノルマンディまで1万2000kmに及ぶ流浪の旅の末、日本、ソ連、ドイツの3つの国の軍服を着て戦うことになった2人の男の数奇な運命と、時代に翻弄されながらも一人の人間として生き抜いた姿を描き出す。

　5月に仏・カンヌ国際映画祭で製作記者会見を開き、わずか3分間のプロモーション映像で世界各国の批評家・メディアに大きな期待感を抱かせた同作。会見に出席したオダギリ、ドンゴン、ジェギュ監督らはカンヌからラトビアに入り、第二次大戦当時のノルマンディのビーチにそっくりな海辺にドイツ軍の塹壕（ざんごう）を築いて大規模なロケを敢行した。

　連合軍の攻撃にさらされるドイツ軍陣地内の撮影では爆発の煙で役者の姿が見えなくなってしまうほど、リアルに“戦い”を再現。カメラマンは防火服を着て、常に救急車が待機しているような危険な撮影が続いた。オダギリも、セッティングに4時間以上をかけたアクションシーンで、一発撮りを求められるなど、精神的にも過酷な日々だった。

　そんな経験をともにする現場では、スタッフ・キャストたちに自然と一体感が生まれ、“アウェー”のオダギリも「みんなサッカー好きという共通点があって、休みの日にサッカーをして、楽しかったことが想い出の一つとして残っています」と親密な人間関係を築くことができた。何よりダブル主演を張り合ったドンゴンとは「彼は意外にシャイで、一人でいることが好きだったり、人との距離感が自分と似ていると感じました。すごく理解し合えている気がして、とても身近に感じました」。

　日本語を話すシーンもあったドンゴンは「感情表現は難しかったが、オダギリさんとは共感し合いながらできた」と自信を持って話す。オダギリについては「日本と韓国の映画の現場はいろいろ違うと思うし、この映画はどんな役者にとっても大変の現場だったのに、冷静に対応し、よく耐えていた。本当に素晴らしい」と褒め言葉しか出てこなかった。

　オダギリは、「第二次世界大戦に触れるというのは、どこの国にとってもすごく敏感な事柄。そんな中、韓国、中国、日本の3ヶ国の俳優が集まって映画を作るということが、大きな挑戦だと思いました」と語り、「この作品は2人の男の物語です。ただその物語の中に戦争があるというだけで、戦争映画だとは思っていません」とキッパリ。ジェギュ監督は「人間を心から理解し、愛するということを知るきっかけとなる映画になってほしい」と、現在、編集作業を急ピッチで進めている。

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