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椎名桔平、「目と耳と心をオープンにして」感じてほしい

 太平洋戦争開戦70年の節目となる今年、真珠湾攻撃を指揮したことでも知られる山本五十六を主人公にした映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』が公開された。その人物像にスポットをあてる歴史大作のなかで、五十六の先任参謀・黒島亀人役を演じた俳優・椎名桔平が、今の時代にも通じる作品のメッセージを語る。

映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』で五十六の戦略参謀・黒島亀人役を演じた椎名桔平

映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』で五十六の戦略参謀・黒島亀人役を演じた椎名桔平

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 『聯合艦隊司令長官 山本五十六』は、日本海軍による歴史に残る一大奇襲作戦・ハワイ真珠湾攻撃を立案し、指揮を執った五十六が主人公。当時の陸軍と海軍の異なる主張の間で海軍の指揮を取る五十六は、マスコミや世論がアメリカとの戦争に傾くなか、日米開戦に反対し続けていた。確固たる信念を持ち、国の未来を見据えていたリーダーの当時の生き様と戦いを描く。

 椎名が演じるのは、開戦のきっかけになる真珠湾攻撃やミッドウェー海戦で緻密な戦略を立案した重要な人物。海軍兵学校卒業のエリートで戦術のエキスパートながら、“変人参謀”とも呼ばれる人とは変わった習癖を持つ。多くの書物を読み、歴史家から話を聞いて人物を研究してきた椎名に、黒島の人物像を聞いてみると「黒島はそうとう変わった人物だったようです。この映画のなかではちょっと描けないような(笑)。軍艦の厳しい規則生活のなかで、裸足で食事にいったり、裸で廊下を歩いたり、風呂に1ヶ月入らなかったり。でも、彼だけがそういうことを容認されていました。それだけ作戦に没頭していたからのようです。映画のテイストと離れてしまうので、そこまでは掘り下げて人となりを出すのは難しかったです(笑)」。映画のなかでは映し出されない黒島の側面を明かしてくれた。しかし、五十六の右腕となるその役を、セリフが少ないなか、佇まいだけできっちりと演じきっている。

 平和で豊な社会に生きる現代人には想像もつかない時代かもしれない。しかし、ほんのわずか70年前にはここ日本で現実に起こっていた戦争。この作品では五十六という人物を通して、国の未来を見据えて生きてきた人たちを描き出すが、完成した映画を観た椎名は、今の震災後の日本にもつながるメッセージがあると語る。「70年前に日本を救おうとした五十六さんの映画を作ることが、今の大変な時期の日本に対する応援になると感じます。もちろん戦争と震災は違いますけど、国というものを考えて生きていく人たちの話で、この映画に出演して気づかされることもありました。今の平和な時代に育ってきた人たちは、自分のまわりに気が配れなくても、外の世界に飛び出して行かなくても生きていけますから。そんな現代を生きる人たちに、いろいろな人の考え方の深さや広さを問いかけてくれる気がします」。

 最後に、その“平和な時代に育った世代”への同映画からのメッセージを聞くと「映画では、若い兵士たちが死んでいきます。そういう時代でした。戦争がこの先起こらないとは誰も断言できません。この映画を観て、戦争がどういうものかわかってもらえると思います。もうひとつは、新聞社の若い記者に五十六が、「目と耳と心をオープンにしてものを見なさい」といいます。それは、僕らも観て教えられることだし、若い人にもその大切さを感じてもらいたいですね。役所さんが演技でみせるそのジェスチャーもマネしてほしい(笑)」」と語る。そんな作品が発信する熱いメッセージは、時代を超えて観る人に伝わることだろう。

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