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　伊藤潤二原作の人気ホラー映画シリーズ8作目『富江　アンリミテッド』が、14日より公開される。菅野美穂や宮崎あおいらを輩出した若手俳優の登竜門的シリーズ。今作で主人公・月子を演じる荒井萌、“妖怪”富江を演じる仲村みう、そして井口昇監督がORICON STYLEのインタビューに応じた。

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　何度殺されてもよみがえる富江と、彼女の存在に恐れるヒロイン・月子の二人を軸に描く。今作はシリーズ初となる富江と月子が姉妹という設定で、美しく魅惑的な姉・富江に対して、自分の魅力には気がつかずに劣等感を抱いている妹という構図。

　くしくも仲村と荒井はアイドルの登竜門『ミスヤングマガジン』受賞者で、荒井は仲村の3年後輩にあたるが…。荒井は「自分と月子は正反対。似ているところは全くない」と明るくキッパリ。一方の仲村が「素の自分は、今作の月子に似ていると思っていた」という。配役した井口監督は「二人はとても対照的でいい掛け算になると思っていました」と自信があった。

　原作コミックの富江と同じ、目の下にほくろのある仲村と初めて会った時、井口監督は「富江を演じるために生まれてきたんだと思った」という。ほくろの符合を知らなかった仲村は「周囲から“富江っぽいね”と言われるとなんだか申し訳なく思えて、自分でいいんだろうかと自信がなかった」と明かす。ところが、撮影を経て、映画が完成した今となっては、「“富江っぽい”と言われると“私のこと呼びました？　私のことですよね”と、すごく嬉しくて、ポジティブになれる」と激変。

　映画関係者の間でも、仲村扮する富江はシリーズ史上最も“富江”に近いと高く評価されている。仲村もその手応えは十分に感じている様子で、「ポスターを目にした弟から『お姉ちゃんがあんなおぞましい顔をするなんて、知らない人みたいだ』と電話をもらいました。親も『あんな性格の悪そうな顔ができるんだね』と驚いていました。今までできていなかったことが、できた。『富江』のおかげで成長できたと思えて、感謝しています」。

　今作のメガホンを撮ったのは、『ロボゲイシャ』『片腕マシンガール』などカルト的人気を集め、独特な残酷描写が海外からも評価される井口監督だ。富江の顔がさまざまなモノになって現れ、月子たちを、そして観客を驚かせるショック描写を連発させている。CG合成のために「表情だけで恐怖を与えなければいけない。顔だけの演技はとても難しかったが、勉強になった」という仲村は、出来上がった映像を観て「富江が怪物すぎて、笑えてきちゃった」と妖しく笑った。

　そんな富江と対峙しなければならなかった荒井は「富江が迫ってくると本当に怖かった。カットの声がかかり、素のみうちゃんに戻ってくれると、すごくホッとした。怖かったけど、撮影現場は和気あいあいとして楽しかった」と振り返った。

　昨年出演したNHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』に松下奈緒演じるヒロイン・布美枝の次女役で注目された荒井は、今作での主演でさらなるステップアップを期す。「日常生活でも、普通のドラマの撮影でも、叫ぶことって、あまりない。『恐怖で叫ぶ』というだけで、いろいろな芝居ができるというのは、新たな発見でした。シーンによって絶叫したり、怖すぎて声が出ていなかったり、あ然としたり、監督と話し合って、シーンに合わせたさまざまな『叫び』を作っていきました。一番の発見は、叫ぶとすっきりするということです」。

　荒井や仲村が作品を通して自身の「成長」を語るのを聞き、井口監督はホッとした様子で、「富江は何のために月子たちを追い詰めているのか、映画でははっきりさせたくなかった。荒井さんは僕よりも月子のことを理解して、想像を超えた複雑な表情を見せてくれました。仲村さんは悪女だけど愛嬌のある富江を完璧に演じてくれました」と笑顔だった。

　なお、同作には宮澤章二の詩「行為の意味」を引用したACジャパンのCMに登場する高校生を演じた大和田健介が月子の憧れの先輩役で出演しているほか、AKB48・渡り廊下走り隊のメンバーとして活躍する多田愛佳が映画に初出演し、体当たりの芝居に挑んでいる。