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【いだてん】森山未來がキューピッド 外部演出家・大根仁氏起用の経緯

 NHKで放送中の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)は、きょう3日に第9回「さらばシベリア鉄道」が放送される。この回の演出を担当するのは、『モテキ』などの深夜ドラマや、映画『バクマン。』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などの演出、監督を務めてきた大根仁氏。大河ドラマとしては異例の外部演出家の起用となる。以前から『いだてん』のチーフ演出・井上剛氏と「飲み友達」として交流があったというが、大根・井上両氏を引き合わせたのは、俳優の森山未來だった。

大河ドラマ『いだてん』第9回の演出を担当する大根仁氏(C)NHK

大河ドラマ『いだてん』第9回の演出を担当する大根仁氏(C)NHK

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 大根氏が取材に応じた。「2010年、井上さんは大阪放送局で『その街のこども』を撮っていて、僕は『モテキ』を撮っていたのですが、両方に森山未來が出演していて。僕が未來と大阪に行った時に、井上さんを紹介してもらった。以前から井上さんの作品を観ていて、年齢も一緒で、ドラマ作りに対する姿勢も似ていると思っていたので、会ってすぐに打ち解けて。それ以来、飲み友達になりました」。

 『いだてん』の企画が立ち上がった数年前に、井上氏から「一緒にどうですか?」とフランクに誘われたという。「その時、有名な武将や偉人の大河だったら腰が引けていたと思う。宮藤(官九郎)さんが脚本を担当すると聞き、さらに金栗四三? 田畑政治? 誰?みたいな一般的もあまり人物を中心に描いていくことに非常に魅力を感じました」。

 NHKのドラマが、どのように作られているか、内側にも興味があったという。「テレビドラマのクオリティーの高さでは、NHKのドラマは圧倒している。それがどういう仕組みでできているのか、見てみたいという気持ちがあり、いままさに勉強しています(笑)。脚本に沿って撮る、というのはほかと変わらないのですが、どの部署もレベルが高く、とりわけすごいのは美術ですね。大河ドラマのオープニング映像を観ていて、スタッフクレジットの最初に“美術”が出てくるのはなんでだろう、と気になっていたんですが、納得しました。美術にはNHKのドラマの歴史がぎゅうぎゅうに詰まっている」。

■シベリア鉄道で“ブラック四三”が出現

 その美術のパワーがさく裂しているのが、第9回だという。なんと、シベリア鉄道の客車と食堂車をまるごと再現したセットを組み、LEDスクリーンで360度囲んで車窓の風景を映しながら撮影。車両は、実際に線路を走っているように揺れる装置もついていて、「びっくりしましたね。こっちがちょっと引くくらい(笑)。潤沢な環境でとらせていただきました」。

 新橋駅を出発した金栗四三(中村勘九郎)と三島弥彦(生田斗真)は、ウラジオストクやハルピンを経由して、シベリア鉄道でユーラシア大陸を横断し、北欧のストックホルムに到着するまでの17日間の旅を中心に描かれる。

 「(外部演出家として)何を求められているのか、考えた時に、それはポップな要素なんじゃないか、と。これまでの大河では観られなかったポップさを加えられたらいいな、と思いました。そして、第9回では“ブラック四三”の出現が見どころかと…」。

 実は、金栗さんはノートに「盲目旅行―国際オリンピック競技参加の記」としるして、毎日の出来事を、こまかく書き残していたのだ。それは日本初のオリンピック参加の記録であり、金栗さんが見たこと、聞いたこと、感じたことが正直につづられていた。

 ドラマでも、不手際で治五郎(役所広司)の渡航が遅れる中、監督の大森兵蔵(竹野内豊)と安仁子(シャーロット・ケイト・フォックス)のハネムーンのような態度、初めて触れる外国人の横柄さに、四三は不安を募らせていく。

 「第8話までの四三は、天然キャラというか、走るの大好き純朴青年という感じでしたが、狭い列車の中で他人とずっと一緒に過ごさなければならないというのは、ものすごくストレス。単純にイライラするし、いろんな感情が湧いていくる。生まれも育ちもまったく違う三島に対する嫉妬心みたいなものも。中村勘九郎って、こんな顔もするんだ、と驚くくらい。勘九郎さんと仕事をするのは初めてでしたが、以前から勘九郎さんは業の深いダークな役が似合うと思っていた。お父さんの(故・中村)勘三郎さんも『顔』(2000年)という映画でものすごくひどい男をめちゃくちゃファニーに演じていたんですが、演出しながら、受け継いでいるな、と思っていました」。

 大根氏と大河ドラマをつなぐきっかけを作った森山も、『いだてん』に、のちに古今亭志ん生となる美濃部孝蔵役で出演中(語りも担当)。第9回は、孝蔵にとっても師匠・橘家円喬(松尾スズキ)から「朝太」という名を授かり、噺家デビューに歩み出す大事な回となっている。

関連写真

  • 大河ドラマ『いだてん』第9回の演出を担当する大根仁氏(C)NHK
  • 美濃部孝蔵を演じる森山未來(C)NHK
  • 大河ドラマ『いだてん』第9回より。シベリア鉄道内の金栗四三(中村勘九郎)(C)NHK
  • 大河ドラマ『いだてん』第9回より。旅の記録を日記に残すことにした四三(中村勘九郎)(C)NHK
  • 大河ドラマ『いだてん』第9回より。四三(中村勘九郎)からのハガキを読む幾江(大竹しのぶ)、実次(中村獅童)、スヤ(綾瀬はるか)(C)NHK

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