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クリストファー・ノーラン監督が語る、映画の“醍醐味” 来日インタビュー

 『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』などで知られるクリストファー・ノーラン監督(47)の新作映画『ダンケルク』が、9日より公開された。これまでも、CGに頼らず作り上げる映像表現と斬新な世界観で観客を驚かせてきたノーラン監督は、8月末の来日中にインタビューに応じ、自身初の実話に挑戦した同作について語った。

 同作は、第二次世界大戦中の1940年、860隻の船舶でイギリス軍、フランス軍の兵士約40万人もの命を救った「ダンケルク作戦」を描く。本作の全編をIMAXフィムルカメラと65ミリフィルムの組み合わせで撮影している。

 陸・海・空と、それぞれ異なる時間軸のできごとを一つの物語として同時進行させる手法は、黒澤明監督の『羅生門』から影響を受けているといい、「それぞれの登場人物の視点から描くことで、観客は少しずつ全体に起こっていることを想像することができる」と効果を明かす。「大学の映画研究会で16ミリの『羅生門』の上映を企画しました。『市民ケーン』に匹敵するくらい、僕だけではなく多くの監督や作品に影響を与えています」と尊敬を込めた。

 劇中では、戦争が描かれているにも関わらず、残虐なシーンや敵の姿は登場しない。それでも、冒頭、ドイツ軍の銃撃から逃げ惑う主人公と共に観客も戦場へ連れて行かれ、自分も体験しているかのような息苦しさがずっと続き、鑑賞後はどっと疲れが出てきた。ここまで臨場感にあふれた作品を生み出した理由は、ノーラン監督の考える映画ならではの“醍醐味”にあった。

 「今の時代、いろんなエンターテインメントがあるなか、ストーリーを消化するにしても多種多様な方法があります。そんななか大事なのは、映画にしかないユニークな力を観客に思い出してもらうこと。過去の巨匠たちは、映画ならではの力のある作品を作っています。映画でしか語れない作品というのがあって、映画の醍醐味とはなんなのかを考えたとき、スペクタルであり作品に共感する体験だと考えました」。

 臨場感を出すためには、映像表現以外にストーリーも重要となる。「どうしたら観客は映画を観続けることができるのか、フックになるものは何なのかをよく考えています。『インセプション』でも『インターステラー』でもみんなが驚くような映像を作ったけれど、ストーリーの一環としてその映像がどれだけ響くか、効果的になっているのかが大事です。『ダンケルク』もそこをよく意識していて、何千人のエキストラを使った迫力ある映像もあるけれど、そこに意味がないといけない」。

 丁寧に言葉を選び、よく考えてからスラスラと話す姿を目の当たりにして、作品同様に知性のある人だと感じた。そんなノーラン監督が映画作りのアイディアを思いつく瞬間は、主に3つある。「サイレント時代の映画の影響をすごく受けているので、昔の作品を観ているときにインスピレーションを受けたりします。今作られているのとは違う方法で作られているので、勉強になります。もう一つは、いろんな地域を旅して得た体験です。『ダンケルク』では(妻でプロデューサーの)エマ・トーマスと昔小船にのってドーバー海峡を渡った体験がインスピレーションになっています。あとは、いろんな音楽を聴いてそこから影響を受けるときもあります」。

 来日中、取材が続いたノーラン監督は疲れている様子もあったが、作品について静かに、でも真摯に語ってくれる姿に映画作りへの情熱が伝わってきた。



関連写真

  • 映画『ダンケルク』について語ったクリストファー・ノーラン監督
  • 撮影中のクリストファー・ノーラン監督 (C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
  • 『ダンケルク』は9月9日より公開中(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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