ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

次期『大河』舞台、鹿児島・西郷隆盛のひ孫がオーナーのカフェ訪問記【記者コラム】

 NHKで来年放送される大河ドラマ『西郷(せご)どん』の撮影が7月5日に始まり、8月23日〜9月1日には、主人公・西郷隆盛の地元・鹿児島県内(霧島市、南九州市、鹿児島市など)でロケが行われた。8月30日、南九州市の知覧武家屋敷庭園内で行われた収録を見学し、西郷吉之助(隆盛)役の鈴木亮平や大久保正助(利通)役の瑛太らの取材をした後、鹿児島市街地の西郷さんゆかりの地をめぐってきた。

鹿児島市内の西郷隆盛銅像が見晴らせる「西郷隆盛銅像 展望ホールK10カフェ」店長の若松宏さんは西郷隆盛の義弟のひ孫(C)ORICON NewS inc.

鹿児島市内の西郷隆盛銅像が見晴らせる「西郷隆盛銅像 展望ホールK10カフェ」店長の若松宏さんは西郷隆盛の義弟のひ孫(C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


 西郷さんが生まれ、そして最期を迎えたのは鶴丸城(鹿児島城)下、現在の鹿児島市。JR鹿児島中央駅にほど近い加治屋町に誕生地があり、敷地は明治時代より公園化されている。桜島のビュースポットでもある城山周辺は、西南戦争の最終局面で西郷軍が立てこもり攻防を繰り返した地。山頂近くに薩軍本営跡、中腹に西郷が数日間過ごしたという洞窟、そこから少し下ったところに終焉の地がある。麓の私学校跡の石塀には弾痕跡が数多く残っていて、激戦の様子をいまに伝えている。

 その石塀から、現在は、国宝、重要文化財を含む実物資料を数多く収蔵する鹿児島県歴史資料センター黎明館や県立図書館、市立美術館、かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館が建ち並ぶ、鶴丸城跡のお堀沿いを歩いていくと、陸軍大将の姿の西郷隆盛銅像にたどり着いた。桜島を強く見据えるように佇む西郷隆盛像は、鹿児島出身の彫刻家・安藤照氏により制作されたもので、台石を含むとその高さは約8メートルもある。

 銅像の写真を撮っていたら、横のビルに貼り出されていた「西郷隆盛のひ孫がご案内します」「西郷家直営店」「入場無料」という文字が目に止まり、「西郷隆盛銅像 展望ホールK10カフェ」のある5階に上がっていった。雑居ビルの一室。4人掛けのテーブルが4つあり、親子連れの先客が一組いた。西郷隆盛関連の資料やグッズが所狭しに置かれ、2面窓から景色が見える。

 このカフェは、西郷隆盛とイトのひ孫・西郷隆夫さんと、イトの弟・岩山直方(西郷の義弟)のひ孫・若松宏さんが2015年4月11日(江戸城無血開城の日)にオープン。展望ホールとして、銅像を眺めるだけの人でも気軽に入店できる。訪ねた日は、オーナーの隆夫さんが講演活動のため不在で、店長の若松さんが銅像や西郷さんについて話をしてくれた。

 店の窓からは銅像を見下ろすことになり、より近くに眺めることができる。「正しい正面は少し(銅像に向かって)左寄りなんです。ここから見る西郷さんは(真正面にある下の展望広場より)より柔らかい優しい表情をしています」と若松さん。下からは見ることができない元薩摩藩士で、日露戦争で活躍した東郷平八郎の直筆プレートが空に向かって設置されている理由も「銅像の完成を待たずして亡くなった東郷平八郎さんにも見えるように置いてあるんですよ」と、説明してくれた。

 今回の鹿児島ロケでは、西郷の少年時代のエピソードとして有名な妙円寺参りのシーンの撮影が行われ、若松さんもエキストラとして参加し、甲冑の着付けなども手伝ったという。若松さんは観光客の誘致や経済効果よりも「大河ドラマをきっかけに、鹿児島に昔からある習慣や教えを見直すいい機会になれば」と、願っている。鹿児島の歴史に詳しい若松さんから見れば「ドラマだから仕方ないのかな、と思うところもありそうだけど(笑)」。

 店にいた9歳の男の子も甲冑を身につけて撮影に参加したという。猛暑の中、「ヘロヘロになった」そうだが、夏休みの良い思い出の一つになった様子。男の子の母親は「ありがとう、ごめんなさいがちゃんと言える、うそをつかない、弱い者いじめをしない、といった西郷さんが実践し、薩摩で大切にされてきた教えが、子どもたちにも広まるようなドラマを期待しています」と話していた。

 歴史談義に夢中になっていたら、すっかり日が暮れて、銅像のライトアップが始まっていた。最終便の飛行機で東京に帰る予定で、午後7時に鹿児島中央駅を出るバスに乗らなければならなかったのだが、気づいた時には午後6時55分。慌てて帰り支度をしていると、店にいた親子が「霧島市への帰り道なので、車で空港まで送りますよ」と申し出てくれた。ご厚意に甘えて、空港まで乗せてもらい、おかげで飛行機にも間に合って、事なきを得た。空港へ向かう道すがら、考えていたのは西郷さんが好んでよく使った言葉「敬天愛人(けいてんあいじん)」だ。見返りもなく親切にしてくれた親子の中にも、西郷さんの心が刻み込まれている。いつまでも多くの人々に愛されている西郷さんをもっと知りたいと思った。

関連写真

  • 鹿児島市内の西郷隆盛銅像が見晴らせる「西郷隆盛銅像 展望ホールK10カフェ」店長の若松宏さんは西郷隆盛の義弟のひ孫(C)ORICON NewS inc.
  • 西郷隆盛銅像 (C)ORICON NewS inc.
  • 城山山頂から見た桜島 (C)ORICON NewS inc.
  • 西郷隆盛銅像 展望ホールK10カフェの入っているビル (C)ORICON NewS inc.
  • 桜島 (C)ORICON NewS inc.
  • 西郷洞窟 (C)ORICON NewS inc.
  • 西郷隆盛終焉の地 (C)ORICON NewS inc.
  • 西郷隆盛銅像 (C)ORICON NewS inc.
  • 西南戦争の銃弾跡 (C)ORICON NewS inc.
  • 天璋院篤姫像 (C)ORICON NewS inc.

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索