タレントのビートたけし、俳優の山田孝之、女優の吉田羊が5日、東京・六本木のテレビ東京で同局の開局記念日に放送されるドラマ特別企画『破獄』（4月12日　後9：00）の制作発表記者会見に出席した。3年ぶりにテレビドラマで主演を務めたたけしは、撮影前から“失敗”していたエピソードを明かし、会場を沸かせた。

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　同ドラマは、戦中戦後の価値観が180度転換した時代を背景に、刑務所の看守としての任務を貫き通す浦田進（たけし）と、緻密な計画と大胆な行動力、そして並外れた身体能力で、脱獄を繰り返す佐久間清太郎（山田）との奇妙な因縁を描く脱獄＆追跡エンターテインメント。吉村昭氏の同名小説（新潮文庫）を、脚本・池端俊策氏、監督・深川栄洋氏らの手で32年ぶりに映像化した。

　撮影は今年1月から2月にかけて予定されていたのだが、たけしは年末年始をオーストラリアで過ごす計画を立て、昨年12月29日に出国。ゴルフ三昧で過ごすつもりが、現地の熱い陽射しを浴びて、ふとドラマの撮影のことを思い出したという。

　「網走刑務所など北国の看守役なのにゴルフ焼けで真っ黒というのはまずいんじゃないかと思って、3ホールやったところでホテルに戻りました。それから1週間、朝から晩までホテルにいて、クリケットの試合を観ていました。本当に『破獄』のようなカンヅメ状態。どうしてスケジュールを考えなかったのか、ずっと反省していました」と話し、会場は大爆笑。

　オーストラリア旅行を犠牲にしただけに、「撮影が始まってホッとした」のも束の間。長野ロケの寒さに衝撃を受け、「寒いわ、口が回らないわ。いつも猫背だから看守らしく背筋を伸ばすと息継ぎはしにくいわ…」といろいろ大変だったよう。

　たけしを最も打ちのめしたのは、共演者たちの芝居。脱獄犯の山田や、たけし演じる浦田の娘・美代子役の吉田のほか、満島ひかり、橋爪功、勝村政信、池内博之、中村蒼、松重豊、寺島進、渡辺いっけいらとセリフを交わすシーンがあり、「いま役者さんがたくさんいる中、競争を勝ち抜いてきた人たちだから、芝居はうまいし、雰囲気が出ていたし、みんな独特の演技で役をこなしているんで、いろんなシーンを撮れば撮るほど、自分の努力の足りなさ、いい加減さがこたえました」。

　さまざまことが重なり、「いままでやった中で一番思い出に残るドラマだと思う」と話していた。