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優男・星野源はなぜ愛される? 本業はもちろん、ANN、大河ドラマにも抜擢

 『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に「SUN」で初出場以降、ますます活動の幅を広げている星野源。この3月からは『オールナイトニッポン』レギュラーパーソナリティとなり、さらにはNHK大河ドラマ『真田丸』への出演も決定。シンガーソングライターとして聴く者の心を掴み、ときには俳優として様々な役どころを演じて視聴者を感動させ、またあるときは文章やトークで独自の世界観を発揮してマニアックな素顔を明かす。マルチと言ってしまうのはとても簡単だが、実に多彩な才能をその身に宿している。

NHK大河ドラマ『真田丸』出演も決まるなど、乗りに乗っている星野源

NHK大河ドラマ『真田丸』出演も決まるなど、乗りに乗っている星野源

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■外見とは裏腹の程よい“黒さ”のギャップで女性を魅了

 星野源は、2000年にインストゥルメンタルバンドSAKEROCKを結成して音楽活動をスタート。2010年にアルバム『ばかのうた』で、ソロデビューを果たした。当初はアコースティックギターの弾き語りで聴かせるようなフォークっぽい雰囲気だったが、徐々に昭和の歌謡曲的なきらびやかさ、往年のブラックミュージックを意識した楽曲を発表するようになる。2011年発売のアルバム『エピソード』がTOP5入りするなど、順風満帆なさ中、2012年、2013年とくも膜下出血による2度の活動休止に見舞われるも、昨年リリースした4thアルバム『YELLOW DANCER』では、ついに週間ランキング1位を獲得。同作は、先頃発表された『第8回 CDショップ大賞』でも大賞を受賞した。また今年の全国ツアー『LIVE TOUR 2016“YELLOW VOYAGE”』ではさいたまスーパーアリーナで2デイズ公演を行うなど、アーティストとしての人気はますます右肩上がりだ。

 一方、俳優としても存在感を発揮する。音楽活動とほぼ時を同じくして、こちらも活動を開始。大人計画の舞台に多く出演するほか、2010年のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』をはじめ、昨年の『コウノドリ』(TBS系)など多くのドラマに出演。2013年には、映画『箱入り息子の恋』で映画初主演を果たした。さらにアニメ映画『聖☆おにいさん』では声優にもチャレンジし、NHK総合『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』では、内村光良らとコントを繰り広げ、コミカルな一面を見せるなど、役どころは実に幅広い。また今春より、NHK大河ドラマ『真田丸』に徳川幕府2代将軍・徳川秀忠役で出演。NHK大河初出演する。役者としての評価も非常に高く、第5回TAMA映画賞最優秀新進男優賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞している。

 同じく音楽活動を続けながら俳優としても活躍する人物として、福山雅治や長瀬智也などが挙げられるが、そういったスラッとしたイケメンタイプとは、星野源はちょっと違う。どちらかと言うと、隣に住んでる普通のお兄さん風。こう言っては失礼だが、とてもコメディを演じたり、さいたまスーパーアリーナのステージで歌って踊るようには見えない。しかし、それこそが星野の魅力にほかならない。そういうことをやらなさそうな人が、何のてらいもなく堂々とやってのけてしまうというギャップ。スイッチが入ると言うのが正しいだろうか。一見、“草食系”に見える外見と中身とのギャップという意味では、いわゆる「ロールキャベツ男子」だが、そのギャップに若干のサイコパス要素を感じるところが、彼の大きな魅力の1つだろう。

■キツい下ネタさえ許されてしまう自然体の塩フェイス

 星野の才能は、歌手や俳優だけに止まらない。作家として、著書『蘇える変態』、『働く男』、『そして生活はつづく』、『星野源/雑談集1』などを刊行。現在は、ダ・ヴィンチでエッセイ「いのちの車窓から」を連載、またテレビブロスで連載中の細野晴臣との対談「地平線の相談」も書籍化されている。書籍『働く男』では、映画評論を軸に何気ない日常を絡めたエッセイ風の書き口と、独自の視点や映画チョイスも話題になった。こうした文章が書けるというところは、サブカル系女子のファンが多いことにもうなずける。さらに、3月28日からニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』がスタート。第1回目から下ネタや好きなアニメに関するトークもさく裂した。

 先ほど福山とは違うタイプと話したが、そういった意味では共通点も多い。例えば福山は、ラジオやライブなどでイケメンらしからぬ下ネタ満載のトークを繰り広げて人気を博したわけだが、これはカッコいいのにカッコつけないナチュラルな人間性として肯定的に受け取られた。下ネタの内容も若干中学生男子のようなもので、これも少年性を内包しているという魅力を引き立てるのに一役買った。一方、星野の下ネタも有名。たとえば武道館ライブのタイトルは『星野源のひとりエッジ in 武道館』だったりする。実際にインタビューをした際には、下ネタも話せばグチもこぼすし、ときおり自身の中の闇も感じさせつつ、マジメなことを語る自分に照れくさくなったりと、非常に人間くさい人物像をさらしてくれるのだ。

 クールな塩フェイスの星野の中にある、実に少年っぽさのあるナチュラルな自然体な部分は、むしろよりシンパシーを感じる要因だ。奇しくも星野は、現在福山と同じアミューズに所属。第二の福山とまで言うと言い過ぎだと思うが、星野らしいスタンスで“そこ”を目指せる素養があるのではないだろうか。たとえば、世の男性はもし自分の彼女が男性アイドルに夢中だったとしたら嫉妬を覚えるだろう。しかし相手が星野源だったとしたら、けっこう許せてしまうかもしれない。そういうカッコよさとカッコ悪さの狭間を、実に上手くひょうひょうと生きているのが星野源なのかもしれない。

(文/榑林史章)

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