俳優・オダギリジョーが主演するNHKの特集ドラマ『経世済民の男　高橋是清』（8月22日スタート、毎週土曜　後9：00、5週連続）の完成披露試写会（前編のみ）が30日、東京・渋谷の同局で行われた。オダギリは欠席だったが、司会者がコメントを代読。「今回ほど、スタッフ・キャストの方々のサポートを感じる現場はありませんでした」と感謝を伝えた。

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　同ドラマは、4月20日にクランクイン。その4日後にオダギリの次男の急死が報じられた。予期せぬ事態を乗り越え、6月12日にクランクアップ。オダギリが仕事を全うした姿がきょうの試写会で披露された。

　オダギリは「写真の多くがふくよかでいつもニコニコと温和な人柄を感じさせるものばかり。見た目も性格も似たところを探す方が難しい、いわば対極にあるとも思える高橋是清氏を演じることになるとは思ってもいませんでした。しかし、対極だからこそ、イメージが違いすぎるからこそ、自分にしか作れない高橋是清があるのではないか、そこにモチベーションを見たのも確かでした」と俳優として矜持を語り、「今の時代だからこそ、我々は高橋是清から多くを学び取ることができると思います。歴史の偉人という前に、一人の人間の人生を楽しんでいただきたいと思います。彼の魅力、人間力を少しでも多くの方に感じていただければ本望です」とメッセージを送った。

　同ドラマは、幕末に生まれ、81歳で亡くなるまでに日銀総裁や総理大臣、そして大蔵大臣を7回歴任した高橋是清の波瀾万丈の人生を“駆け足”で描いていく。試写会には、脚本を手がけたジェームス三木氏、出演者から壇蜜、松浦雅、草笛光子が出席した。

　是清の初恋の相手、日本橋の芸者・枡吉を演じた壇蜜は「是清さんの肖像もオダギリジョーさんのお顔も、笑った時にふっと目尻が下がる。その表情が、いろんな女性の心をつかんで離さないんだろうな、男性に安心感を与えて引きつけたんだろうな、能ある鷹は…って、感じがしました」と、“オダギリ是清”を絶賛。

　また、壇蜜と初対面がかなった三木氏は「壇蜜さんの上品なすけべに憧れていたので、満足しています」と鼻の下を伸ばし、笑いを誘っていた。三木氏は、「飛ばし飛ばしになりましたが、ドラマはスタジオで完成するわけでも、試写会で完成するわけでもない。視聴者の主体性の中で完成するもの。想像する時間を残しておき、そこを楽しんでいただくのが理想。どんなふうに解釈していただけるか放送後の反応を楽しみにしたいです」と話していた。

　『経世済民の男』は、現在の日本を「創った」といえる3人の経済人の人生ドラマを5週連続で放送。「高橋是清」（前・後編）は8月22日・29日。阿部サダヲ主演の宝塚歌劇団などを作った阪急電鉄の創業者「小林一三」（前・後編）は9月5日・12日。吉田鋼太郎主演で、中部電力などの前身となる東邦電力を率いて、“電力王”と呼ばれた「松永安左ェ門」は9月19日。