5月下旬、主演したディズニー映画『トゥモローランド』（6日公開）のプロモーションで約8年ぶりに5度目の来日を果たした米俳優ジョージ・クルーニー（54）。今回は、昨年9月に結婚した弁護士の妻アマル・アムラディンさんを伴っての“初”来日ということもあって、大いに注目された。「奥さんと一緒に日本のカラオケにも行きたい」とコメントしたり、「家の収納スペースを全部彼女に取られてしまったよ」とジョークを飛ばしたり、常に取材する側やその先にいる読者・視聴者を楽しませる余裕はさすが。彼がモテる理由もよくわかる。

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　インタビュー中のクルーニーも最高に面白かった。インテリジェンスがあり、ユーモアたっぷりの巧みな話術は、日本語の通訳を通しても大笑いさせてしまうほど。賢く美しい妻と出会い、イタリアに豪邸を構え、ハリウッドで確固たる地位を築き、世界中の映画ファンからの賛辞や尊敬を浴びている。「そういう意味ではラッキーです。やりたいことを全部やらせてもらっている。これは映画界でもとてもまれなんです」と自ら認めるところも嫌味がない。

　そんな彼に「いまだ手に入らないものは？」と質問すると、「語学力。外国語を習得できないんです。日本語ができたらいまも直接しゃべれるのに」と返ってきた。続けて、「イタリアに住むことになって、イタリア語のレッスンを受けたんです。週3日、1日4時間も受けていたんですよ。だけど、すぐに忘れてしまうので、毎回レッスンを1から始めなければならない。イタリア語の先生もあきれていました（笑）。いろんな言語が覚えられるといいんですけどね」。

　いまや、押しも押されもせぬハリウッドの顔だが、長い下積みも経験している。クルーニーは1994年、33歳でテレビのドラマシリーズ『ER　緊急救命室』の小児科医役で一躍脚光を浴び、人気者に。同シリーズのレギュラーを務めながら『バッドマン＆ロビン／Mr.フリーズの逆襲』（97年）、『ピースメーカー』（97年）、『スリー・キングス』（99年）といった話題作に主演し、ハリウッド・スターへの階段を駆け上がっていった。

　2000年以降は、『オーシャンズ11』（01年）とその2本の続編『オーシャンズ12』（04年）、『オーシャンズ13』（07年）をヒットさせ、『シリアナ』（05年）ではアカデミー賞助演男優賞を獲得。『フィクサー』（07年）、『マイレージ、マイライフ』（09年）、『ファミリー・ツリー』（11年）で3度の主演男優賞にノミネートされた。サンドラ・ブロックと共演した『ゼロ・グラビティ』（13年）の宇宙飛行士役も記憶に新しい。

　一方で、2002年に『コンフェッション』で監督デビューし、監督第2作『グッドナイト＆グッドラック』（05年）ではアカデミー賞監督賞と脚本賞にノミネート。すでに監督第5作『モニュメンツ・メン（仮題）』（14年）も完成させている。

　こうした成功の数々も、「俳優とは、つくづく成長しない職業ですね。54歳にもなってごっこ遊びをしているわけですから」とジョークのネタにして笑い飛ばす。「私は俳優ですから、子どもらしさは残していかないと。ユーモアも大切ですし、楽しさを求めることをあきらめない。だから、常に笑っているんです」。映画に必要なものを彼自身が体現しているようだ。

　今回、プロモーションする映画『トゥモローランド』は、数多くの名作映画やアニメーションを創造し、世界中にテーマパークを建設し、めくるめく魔法のひとときを提供してきたウォルト・ディズニーの“夢”を受け継ぎ、さらなる想像の翼を広げて紡いだ壮大なミステリーアドベンチャー。

　題名を聞くと、ディズニーランドの同名テーマエリアを思い浮かべるかもしれないが、同作で描かれる「トゥモローランド」は革新的なテクノロジーによって、“すべてのアイデアが可能になる”理想の世界として登場する。そんな世界は本当にあるのか、あるとすれば誰が、どんな目的で創り上げたのか、現実の世界と関わりがあるのかないのか、次々と浮上する謎と驚愕の真実がノンストップで展開していく。

　クルーニーは「僕が8歳の時（1969年）に人類史上初の月面着陸に成功して、『人が見えるかな？』と月を見上げていたことを覚えています。少年時代は、未来は何でも可能になると思っていました。2015年なんて、空飛ぶ車に乗っていると思っていましたよ（笑）」。

　子どもの頃に夢みた未来と、現実は違っていても、「すべての未来が決まっているわけではない」という。「確かに現実は暗いニュースばかりで、がっかりすることも多いけれど、未来は変えることができる、次の世代の人たちがいい方向に導いてくれる、それが私の夢であり、願いであり、信念でもあります」。さらに、「結婚して、未来が変わったよ」とのろけていた。

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