10年の放送開始以来、スペシャルドラマ、映画も制作されるヒットとなった『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿?』が、昨年11月、最終章『劇場版SPEC〜結(クローズ)〜漸(ゼン)ノ篇』、『〜爻(コウ)ノ篇』の劇場公開でシリーズの幕を閉じた。同作をヒットに導いた植田博樹プロデューサーに改めてヒットの要因を聞いた。
■TVドラマはリアルタイムで理解できないと離れてしまう
『SPEC〜』は、もともと『ケイゾク』をTVドラマから映画公開までヒット作に押し上げた堤幸彦監督、植田氏のコンビによる“ケイゾク2”として企画が立ち上がった。
「単なる続編にしないためにも、「ケイゾク」を超える密度は求めましたね。ただし、小説ならば展開が斬新でも読者は立ち止まって考えたりすることができる。したがって時代の二歩先でも、三歩先でも描くことが可能です。でもTVドラマはリアルタイムで理解できないと、お客さんの興味は、その瞬間に離れてしまいます。そこで監督とは常に“半歩先を行こう”と話しました」
その結果、「SPEC」は「ケイゾク」に続くヒットシリーズとなっていった。その秘訣はどこにあったのか。
「キャラクターが成長していく作品は、実はシリーズになりにくい。心身どちらでも同じですが、主人公が経験を糧に成長していくと、どんどん強く逞しくなっていく。どうしても1作目よりインパクトを強めるしかない。僕は企画当初、本当はコンビの楽しさを強めて偉大なるマンネリを目指すつもりだったのですが、結局、作っていくうちに、刺激が強いほうを選んでしまった。今更、「マンネリ」に戻すわけにもいかず、後先考えず、その時の物語の「圧巻」を求めていくしかなくなった。悩みまくっていると、監督や演者、スタッフから助け舟のようにアイデアを出していただいて、最後までたどり着いたというのが顛末です」
植田氏は、できる限りアイデアを盛り込むことで「イジる対象として認められることが重要」と続ける。
「スピンオフを作ることができるくらいキャラクターを作り込む必要がある。そのキャラを主人公にした4コマ漫画を誰もが描けるくらいのレベルまで作り込んで、初めてファンが“ツッコミ”を楽しめる。それがひいてはリアルタイム視聴にも繋がるのだと思っているのですが…」
■グッズや特典制作でもファンからの声を参考に
「SPEC」では、TVドラマ→スペシャルドラマ→劇場公開→スペシャルドラマ→劇場公開と、地上波放送と劇場公開作の制作を交互に行うことで、常にファンを繋ぎ止めてきた。
「正直、スペシャルドラマの企画時には予算が出ず、編成からは映画のプロモーションなら再放送で良いだろうとまで言われました。そこを押し通して制作し、結果、赤字を出してしまい、始末書を書いたくらいです。今回、そのスペシャルドラマのDVDが売れたことと、「〜結〜」の興行収入が20億円を超えたことで、社長賞をいただきましたが、授与の際のスピーチでは、この作品では始末書を書かされた記憶もありますが、始末書を書かせた上でよりによって社長賞とは、組織として奇妙ではないか…と言ってやりましたよ(笑)」
植田氏の視線は常に作品と、それを楽しむ視聴者にある。そのため、前述のようにファンからの作品に対する“ツッコミ”を植田氏はとても大切にしている。パッケージ化の際も、ファンからの声を参考に「スノードーム」などのグッズを制作したり、ファン同士が集まれるイベントも開催した。
「〜結〜」のパッケージ化に際しては、SPEC制作の3年間に密着したドキュメンタリーを作成し、プレミアム版と通常盤の両方に入れている。堤・植田コンビはすでに次の準備も始めているという。次回作の発表が待たれる。(ORIGINAL CONFIDENCE 14年7月28日号掲載)
■TVドラマはリアルタイムで理解できないと離れてしまう
『SPEC〜』は、もともと『ケイゾク』をTVドラマから映画公開までヒット作に押し上げた堤幸彦監督、植田氏のコンビによる“ケイゾク2”として企画が立ち上がった。
「単なる続編にしないためにも、「ケイゾク」を超える密度は求めましたね。ただし、小説ならば展開が斬新でも読者は立ち止まって考えたりすることができる。したがって時代の二歩先でも、三歩先でも描くことが可能です。でもTVドラマはリアルタイムで理解できないと、お客さんの興味は、その瞬間に離れてしまいます。そこで監督とは常に“半歩先を行こう”と話しました」
その結果、「SPEC」は「ケイゾク」に続くヒットシリーズとなっていった。その秘訣はどこにあったのか。
「キャラクターが成長していく作品は、実はシリーズになりにくい。心身どちらでも同じですが、主人公が経験を糧に成長していくと、どんどん強く逞しくなっていく。どうしても1作目よりインパクトを強めるしかない。僕は企画当初、本当はコンビの楽しさを強めて偉大なるマンネリを目指すつもりだったのですが、結局、作っていくうちに、刺激が強いほうを選んでしまった。今更、「マンネリ」に戻すわけにもいかず、後先考えず、その時の物語の「圧巻」を求めていくしかなくなった。悩みまくっていると、監督や演者、スタッフから助け舟のようにアイデアを出していただいて、最後までたどり着いたというのが顛末です」
植田氏は、できる限りアイデアを盛り込むことで「イジる対象として認められることが重要」と続ける。
「スピンオフを作ることができるくらいキャラクターを作り込む必要がある。そのキャラを主人公にした4コマ漫画を誰もが描けるくらいのレベルまで作り込んで、初めてファンが“ツッコミ”を楽しめる。それがひいてはリアルタイム視聴にも繋がるのだと思っているのですが…」
■グッズや特典制作でもファンからの声を参考に
「SPEC」では、TVドラマ→スペシャルドラマ→劇場公開→スペシャルドラマ→劇場公開と、地上波放送と劇場公開作の制作を交互に行うことで、常にファンを繋ぎ止めてきた。
「正直、スペシャルドラマの企画時には予算が出ず、編成からは映画のプロモーションなら再放送で良いだろうとまで言われました。そこを押し通して制作し、結果、赤字を出してしまい、始末書を書いたくらいです。今回、そのスペシャルドラマのDVDが売れたことと、「〜結〜」の興行収入が20億円を超えたことで、社長賞をいただきましたが、授与の際のスピーチでは、この作品では始末書を書かされた記憶もありますが、始末書を書かせた上でよりによって社長賞とは、組織として奇妙ではないか…と言ってやりましたよ(笑)」
植田氏の視線は常に作品と、それを楽しむ視聴者にある。そのため、前述のようにファンからの作品に対する“ツッコミ”を植田氏はとても大切にしている。パッケージ化の際も、ファンからの声を参考に「スノードーム」などのグッズを制作したり、ファン同士が集まれるイベントも開催した。
「〜結〜」のパッケージ化に際しては、SPEC制作の3年間に密着したドキュメンタリーを作成し、プレミアム版と通常盤の両方に入れている。堤・植田コンビはすでに次の準備も始めているという。次回作の発表が待たれる。(ORIGINAL CONFIDENCE 14年7月28日号掲載)
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2014/07/27