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音が動くと話題 イオン幕張の次世代シネマ音響

 TOHOシネマズ、イオンシネマが相次いで新劇場で採用した、シネマ音響「ドルビーアトモス」が、映画ファンを中心に話題となっている。これは、現状の5.1/7.1chサラウンドをさらに進化させ、360°全方向から音で包み込もうというシステムだ。ライブビューイングなど、活用の幅が広がる映画館に新たに加わった音響システムの実力を探る。

■通常のサラウンドよりリアルでナチュラルな音響表現

 12月20日にオープンした「イオンシネマ幕張新都心」。その目玉のひとつが、新導入されたシネマ音響「ドルビーアトモス(以下、アトモス)」だ。

 これは、ひと足先に「TOHO シネマズ ららぽーと船橋」で国内初導入され、劇場としては今回で2例目となる次世代の音響技術だ。

「現状は5.1/7.1chサラウンドが標準的なシネマ音響ですが、“よりリアルでナチュラル”な音響表現を目指し、劇場という空間の中で、どこにでも音が配置でき、どこにでも音を動かせるように開発した新技術がアトモスです」(Dolby Japan・林正樹氏)。

 具体的には、通常の前後左右に加え、上(天井)にもスピーカーを設置することで、観客を360°全方向から音で包み込むシステムで、これにより、頭上を飛行機が飛んだり、恐竜の声が後方から聞こえたりといった直接的な表現だけでなく、森の中での木々のざわめきや、スタジアムの中央にいるかのような大歓声など、圧倒的な音の臨場感が楽しめる。このような優れた技術の普及には、アトモス導入劇場と対応作品がどれだけ登場するのかが鍵となる。その点について林氏は、「米国本社の目標は、14年秋から年末までに、全世界で1000スクリーン」と語る。

 これは、ハリウッドのメジャー・スタジオが、何の躊躇もなくアトモス採用を決断できる、ひとつの基準数とのこと。国内では「イオンシネマ和歌山(3月16日オープン)」と「TOHO シネマズ日本橋(3月20日オープン)」のほか、いくつかの導入も既に予定されており、作品についても、この春から夏にかけてのハリウッド大作で採用が決まっているという。

「今後米国では、コンスタントに月に2作品以上の公開が予定されており、国内の配給会社様と連携しながら継続的な採用作品の上映とプロモーションのご提案を行っていきます。もちろん、邦画でのニーズも高まってきています」

■音楽映像作品でも新たな音響表現が可能に

 こうなると、ライブビューイングなど、音楽分野での活用にも期待が高まるが、アトモスは専用音源の再生システムであり、現時点では、ライブの生中継の利用には未対応。ただし、録画された“劇場用ライブ映画”のようなコンテンツでは、音表現の可能性は大きく広がるだろう。

 その一方で、新技術であるが故の課題もある。まず新作で採用する際、同社が推奨する「アトモス・ネイティブ(最初からアトモスでミックスし、5.1/7.1chもレンダリングにより生成できる)」で取り組もうとすると、製作の初期段階で実施の判断が必要となる。また、アトモス・ミックスが可能なダビングステージは、現状国内では、東映デジタルセンターの1ヶ所のみ。とはいえ、これらはアトモスへの評価が高まることで、次第に解消されていくことだろう。

 実際、体感した観客からは、「劇場でしか体験できない音」「今までの音と格段に違う」「劇場へ行く楽しみが増えた」という感想が寄せられているという。現在、国内の映画市場では邦画が好調で、洋画に関しても、『スター・ウォーズ エピソード7』をはじめ、15年に大作が一気に公開されるとの情報もあり、徐々に盛り上がりの機運が高まっている。アトモスの普及は、確実にその流れを支える大きな力となるであろう。(ORIGINAL CONFIDENCE 14年1月13日号掲載)



関連写真

  • “チャンネル・ベース”のサラウンドとは異なり、劇場空間に自由に音を配置する“オブジェクト・ベース”の音響システム。音の「動き」による効果と、ストーリーと一致した自然な響きを実現
  • 前後、天井、左右にスピーカーを設置して、観客を360全方向から音で包み込む(図)
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