若手人気作家・辻村深月氏が第147回直木賞を受賞した『鍵のない夢を見る』が全5話のオムニバスドラマ化され、WOWOWの連続ドラマW枠（毎週日曜　後10：00）で9月1日より放送される。27日、都内で制作発表会見が行われ、各話の主演女優、倉科カナ、成海璃子、木村多江、高梨臨、広末涼子が出席。それぞれ異なる白い服と、赤い靴やイヤリング（ピアス）、指輪をワンポイントに効かせた装いで並び立つ様子は圧巻だった。

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　同作は、地方都市を舞台に日常の些細な出来事、主に思い込みから始まるストーリー。プライド、孤独、欲望と葛藤する女性の姿を描く。

　第1話「芹葉大学の夢と殺人」（9月1日放送）で、身勝手な男に振り回されつつも望んで人生を差し出してしまう主人公・美玖を演じた倉科は「恋人の雄大は、言葉や行動の7割は主人公を傷けるものなのに、残りの3割は愛してくれているんだと錯覚させてしまう。私しか彼を理解できないと思い込んでしまう女性を今回演じて、本当にそういう気持ちになったというか、傷けられても彼をもっと追いかけたくなってしまう主人公のことが理解できました」と共感を語った。

　第2話「美弥谷団地の逃亡者」（9月8日放送）でDVを受けながらも離れられずにいる主人公・美衣を演じた成海は、「殴られた後に『ごめんね』と言われることで自分の存在意義を見出しちゃうんだろうなとか、想像しながら演じました」。身近に美衣のような女性がいたら「強くなれと、ビシッといいます」と語った。

　第3話「石蕗南地区の放火」（9月15日放送）で、孤独でもプライドにしがみついてしまうOL・笙子を演じた木村は「顔では笑っているけど、心の中で突っ込みを入れてることって、すごくあると思う。そういう本音と建前がよく出ている作品。あるある、痛いよねと思いながら演じました。私もけっこう心で毒を吐いているなと、気づいてしまいました」とほほ笑んだ。「5人の中ではコメディー担当かな。女性ならでは怖さ、痛さ、愚かさ、滑稽さ、面白さを楽しんでいただきたい」と話した。

　第4話「仁志野町の泥棒」で子供のころのある事件を引きずっているミチルを演じた高梨は「横断歩道の白い所を踏まないとワニに食われると言われたことを引きずっているというか、いまだに白いところを踏みに行っちゃいます」とたわいもないエピソードを明かして笑わせた。

　第5話「君本家の誘拐」で理想のママ像に押しつぶされてしまう母親・良枝を演じた広末は「子どもから目が離せないのは愛情でもあるし、母親としての試練でもあって、自分が疲れちゃったり、眠かったりする中で、母親としても人としても成長できるということを今回、演じる中で痛感しました」と語り、「ダイジェスト映像を見ただけでゾクゾクしてきました」と手ごたえを感じている様子。育児中の女性たちに「人のふりみてじゃないけど、このドラマみたいにならないようにとか、危険回避できるように、観てもらいたいです」とアピールした。

　『鍵のない夢を見る』は9月1日放送の第1話のみ無料放送される。