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西島秀俊、“殴られ屋”を演じて腫れ上がった顔は『最高にハンサム』

 俳優の西島秀俊が主演する映画『CUT』(アミール・ナデリ監督)が、17日より公開される。同作は、兄が遺した莫大な借金を返すため、売れない映画監督の弟が殴られ屋を始める物語。何度殴られてもその痛みに耐えて立ち上がり、また殴られる。渾身の力を込めて演じ切った西島は、「最初は秩序立って殴り、殴られていましたが、監督が『カット!』をかけないものだから、だんだんコントロール不能になって、怒号が飛び交い、みんなパニック状態になっていました」と撮影時を振り返った。

映画・ドラマへの出演が相次ぎ、役者としての芸域を広げる西島秀俊 (C)ORICON DD inc. (C)ORICON DD inc 

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 「フィクションを越えてリアルにクレイジーになっていく人間の姿を見られるだけでも面白いと思う」と見どころを語る西島。彼自身もかなり追い詰められ、自らを追い込んだ。「撮影中は誰ともしゃべるな、演技に集中しろという指示がありました。だから、あいさつもしなかったし、誰も近寄ってこなかったですからね(笑)。そこまで役に没頭できる現場って、なかなかない。周りから何を言われてもいい、とことん突き詰めてもいいんだ、というある意味限界を超えることができたのは、僕にとっても大きな体験だったと思います」。

 そもそも、この物語の主人公・秀二(西島)はいつも兄から金を借りて、映画を撮っていた。兄の借金は、秀二の映画が作ったも同然。償いのつもりなのか、秀二は兄が死んだ場所(ヤクザの事務所のトイレ)で殴られ屋を続けるのだった。殴られるたびに名作映画を想い浮かべる秀二。何度殴られても、映画への愛情が秀二をふたたび立ち上がらせる。“エンターテインメント”の名の下に、芸術であり、娯楽である“映画の真実”が崩れ去ろうとしている映画界に一石を投じようという、ナデリ監督の気概が伝わってくる作品でもある。

 ナデリ監督は、作品を発表するごとに国際映画祭を賑わすイラン出身の映画監督。アッバス・キアロスタミやモフセン・マフマルバフらとともに、イラン映画が国際的に脚光を浴びるきっかけを作った(現在は米国に移住し、ニューヨーク在住)。黒澤明、新藤兼人、市川崑、溝口健二、小林正樹ら日本映画に大きな影響を受け、「日本で映画を撮りたい」という長年の夢を叶えた。

 主演俳優に“指名”された西島も「僕の俳優人生は『CUT』前と後で変わる」と言ってはばからない。今冬以降もドラマ『ストロベリーナイト』(2012年1月〜 フジテレビ系)、『セイジ 陸の魚』(伊勢谷友介監督、2月18日公開)など、出演作が目白押しだが、「これからはもっと、自分の中にある怒りやエネルギーをストレートに表現できるようになるんじゃないかと思っています」と語る。

 「この映画は世界中から『NO』と言われても自分を貫き通す、ひとりの信念を持った男の話でもあります。負け犬でしかなかった彼の言うことに誰も耳を貸しませんでしたが、人生を捧げて闘い続けることで、周りの人達も変えていった。秀二を観ていると、自分も人生を捧げられるものが欲しいと痛烈に感じるんじゃないでしょうか」。

 同作のラスト、殴られ続けた挙句、顔の形が変わるほど腫れ上がった秀二の顔が、なぜか醜くは見えなかった。西島も「いままで僕が写った顔の中で最高の顔。最高にハンサムな顔だと思います」と自信をみなぎらせていた。

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  • “殴る”という行為を超えた“痛み”と“恍惚感”が伝わってくる 映画『CUT』 (C)CUT LLC 201 
  • 映画『CUT』のワンシーン (C)CUT LLC 201 
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