ORICON STYLE

2010年03月17日
「アルクアラウンド」の先にある、サカナクションの自信作「構想9年、ようやく頭の中の音がそのまま具現化出来ました」
サカナクションSpecial Interview
 サカナクション4枚目のアルバム『kikUUiki』。“汽空域”とは、淡水と海水の混じり合う「汽水域」から取れられた造語にして、まさにダンス、エレクトロ、ブログレ、ギターロック、ポップス、ダブ等を融合させ、稀有な音楽性を生み出している彼らのアイデンティティを感じさせるタイトルだ。内容も然り。彼らならではの自然融合が、各曲趣向性豊かに展開されている。最高位3位を獲得した最新シングル「アルクアラウンド」でのランキング的成功と、ポピュラリティを得た彼らが次に提示したものとは?グループのジェネラル、ボーカル&ギターの山口一郎に話を聞いた。 PV「目が明く藍色」
PV「アルクアラウンド」

――今作を聴き返していかがですか?
【山口】
 サカナクションらしさを表わしたアルバムを目指したので、その辺りは提示できたかなと。今までも、サカナクションというバンドのスタイルを構築してきてはいたんですが、今作のタイトルに出逢った時、“実は自分たち自体、混ざり合うことで良いものを探し当てている”ことに思い当たり、客観性も交え、そこを探っていったのが今作なんです。

――バックボーンや趣向性もメンバーさまざまですが、その融合ポイントも難しそうな…。
【山口】
 メンバーも5人、うち2人は女性ですからね。それまではそれらを寄り集め、生み出していたんですが、前作アルバム『シンシロ』で体感し、理解できた、各々のやりたいことや好きなことを、今作では“何故そうなのか?”までキチンと解析し、まとめていったんです。おかげさまで締め切りを4回も破っちゃったけど(笑)、自信作ができました。

――では、今回はプロデューサー的な役割も大きかったと。
【山口】
 今まで以上にメンバーのプレイや、楽曲の完成過程をふかん的に見ていた点では、そうとも言えますね。今作は特に自分たちを客観的に捉え、“ポピュラリティを失わず、演りたいこと”を目指しましたから。その為、制作方法も従来とは変えたし。

――それはどのような制作方法なんですか?
【山口】
 まず、僕の作った原曲を5人でセッションし、ある程度形になったところで僕が一旦スタジオを出るんです。4人でアレンジをしてもらって、まとまった時点で呼んでもらって、それを聴き、僕なりのサジェスチョンを加えたんです。それにより僕は曲に、常に新しい気持ちで接せられ、客観的な意見も伝えられて。幾つものフィルターを通すことで、“自分が好きでありながら、キチンとPOPシーンにも通用する楽曲性”を明確にしていったんです。

――ある種、正反対とも言えるその両立は、なかなか難しかったのでは?
【山口】
 制約もある中、どれだけ自分たちなりの面白さやアイデンティティを出せるかは、ポップアートに近かったかな。遊びを大事にしつつ、良い・悪い、好き・好きじゃないも含め、試行錯誤はありました。バンドであるが故にロックと捉える人や、バンドなのにこのような音楽性に面白味を見出してくれたりと、フォーマットに収まらないことは、良いことでもあり、逆にどうにでも捉えられる懸念もありましたから。

――そういったスタンスの上で見つかったものとは?
【山口】
 自分たちのスタンダードを模索し、見つかったのが今回のような“良い違和感”だったんです。僕が常に軸にしている、“メロディーと言葉さえしっかりしていれば、そこに何を融合させてもチグハグにならない”“それぞれの良い違和感を構築しながらも、歌を聴かせる作業が自分たちの基本”だったことも思い出したし。基本、僕たちは人に届けるためにやっているんで、届きやすく且つギミックもつける。そんな自分たちらしさを改めて発見したんです。

――その辺りは今作に入りまくりですね。
【山口】
 「アルクアラウンド」でサカナクションのスタンダードの提示ができたんで、そこから入ってくれた人に、次にどんな音楽を聴いて欲しいか?違和感を楽しんで欲しいか?の提示も、今作の意義としてありましたから。今作のリード曲は7分にも及ぶ「目が明く藍色」なんですが、“まさかこれが来るとは!?”って感じでしょ?

――アルバムのラストを飾る、色々な要素が入った組曲的な大曲ですね。
【山口】
 構想9年、ようやく頭の中の音がそのまま具現化出来ました。まさにこれまでのレコーディングの集大成であるし、これ1曲でこのアルバムのコンセプトを語れるような力のある楽曲なんです。

――夜〜深夜〜明け方〜朝の流れをダイナミックに感じさせる曲で。
【山口】
 色々な意味でシーンに問いたい、意味のある楽曲です。アレンジの変化だけでなく、言葉に於いても様々なレトリックをまぶしているんで、聴く度に新しい発見や気づきがあるし。その仕掛けを幾つ発見してもらえるかも楽しみなんです。「アルクアラウンド」にて、多くの人に分かりやすいダンスロックを提示しつつ、アルバムでは違ったアプローチをかける。そこからの広がりも非常に期待しています。

――最後に今作の聴きどころを教えて下さい。
【山口】
 毒も含み、色々とフックも用意したので、聴く度に違った印象を受け、面白くなっていく作品だと思います。これを聴いて、リスナーがシーンを作っていくということを、伝えていけると嬉しいですね。良い音楽を生むのは、アーティストではなくリスナーですから。

(文:池田スカオ和宏)

kikUUiki
サカナクション
発売日:2010/03/17[アルバム]ビクターエンタテインメント

【初回限定盤】※Extra Track1曲収録
価格:¥2,800(税込) 品番:VICL-63556
CDを購入する(Amazon)語ろう

【通常盤】
価格:¥2,800(税込) 品番:VICL-63557
CDを購入する(Amazon)着うた配信

【収録曲】  
01.intro=汽空域
02.潮
03.YES NO
04.アルクアラウンド
05.Klee
06.21.1
07.アンダー
08.シーラカンスと僕
09.明日から
10.表参道26時
11.壁
12.目が明く藍色
<Extra Track>※初回版のみ
13.Paradise of Sunny

山口一郎(Vo&G)、岩寺基晴(G)、草刈愛美(B)、岡崎英美(Key)、江島啓一(Dr)による男女5人組バンド。
高校の同級生である山口と岩寺が“サカナクション”を結成。テクノ・エレクトロニカを基調としたロックバンドとして、札幌を中心に2005年よりライブ活動を開始。2006年春に江島、岡崎、草刈の3人がメンバーとして加入し、現在の5人となる。サカナクションというバンド名の由来は、“sakana+action=ミュージックシーンの変化を恐れず魚の動きのように軽快に素早くアクションしていく=sakanaction”。
2007年5月、1stアルバム『GO TO THE FUTURE』をリリース。
2008年1月、2ndアルバム『NIGHT FISHING』をリリース。
2008年12月、1stシングル「セントレイ」をリリース。
2009年1月、3rdアルバム『シンシロ』をリリース。最高位8位を記録。
2010年1月、2ndシングル「アルクアラウンド」をリリース。最高位3位を記録。
2010年3月17日、4thアルバム『kikUUiki』をリリース。
2010年4月2日、ライブツアー『SAKANAQUARIUM 2010 kikUUiki』をスタート。

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PV「かみさまでもえらべない。」