オリコンニュース

GACKTが追求する“ロックとクラシックの融合”に酔いしれた一夜 さらなる進化を遂げた“魔王シンフォニー”は来夏、全国を巡る

 アーティストのGACKTが12月23日、東京・すみだトリフォニーホールにて『GACKT PHILHARMONIC 2025 魔王シンフォニー THE REVIVAL』を行った。
 本公演は、今年4月に開催された『GACKT PHILHARMONIC 2025 魔王シンフォニー』の再演。前回はこの公演のテーマである “ロックとクラシックの融合”を実現するため、一夜限りの公演にもかかわらず、リハーサルに1ヶ月以上を費やしたという。この日は再演のためセットリスト等に変更はないものの、ステージに段差を設けてオーケストラとバンドを立体的に配したほか、1階席をオールスタンディングにするというクラシック界では他に類を見ないスタイルを導入するなど、前公演からブラッシュアップさせた点も。これらについてGACKTは、開演前に行われた取材会で「観に来てる人たちがどんなふうに、このオーケストラとロックの圧倒的な広がりのあるサウンドや、聴いたことのない音像を感じてくれるんだろうっていうのが楽しみです」と期待を寄せていた。

 開演時刻の18:30を少し回った頃、客入れの間に場内に静かに流れていた「ボレロ」の音楽が止み、ステージに奏者の面々が入場してくる。まずはグランドフィルハーモニック東京の総勢70人に及ぶオーケストラ、続いてGACKT自らが率いるバンド・YELLOW FRIED CHICKENzがそれぞれの位置につく。80人近い人数がステージを埋め尽くす様はまさに圧巻のひとことだ。そんな彼らが奏でるイントロに合わせてゆっくりと姿を現したGACKTが「RETURNER-闇の終焉-」を歌い始めたのを合図に、特別な一夜が幕を開けた。

 「絵夢 -FOR MY DEAR-」「CUBE」など、この公演のために選曲された楽曲たちは、1音残らず緻密に計算し尽くされたアレンジが施されており、まさに“ロックとクラシックの融合”に他ならない。「すべての音が聴こえ、なおかつ迫力も感じられる状態を作り上げた」というGACKTの言葉通り、バンドサウンドとオーケストラが見事に共存し、溶け合うというこれまでにない音楽体験に、客席からは演奏が終わるたびに大きな歓声と拍手が注がれた。

 なかでも観客のボルテージがグッと高まったのは、中盤で披露された「REDEMPTION」。激しいサウンドにGACKTやバンドメンバーがヘドバンする姿はもちろん、間奏やアウトロといった要所要所で効果的にオーケストラのサウンドが織り込まれ、目に見えない高揚感が会場を埋め尽くしていく。最後にGACKTの手と弦楽器の奏者たちが持つ弓が一斉に上げられて曲を締め括ると、客席からひときわ大きな歓声が上がった。続く「UNTIL THE LAST DAY」でも熱く伸びやかな歌声を響かせたGACKT。ときおりマントを翻す姿も美しく、こうした所作の一つひとつにも彼の美学が貫かれているのを感じる。
 
 大切な人への想いを綴った「BIRDCAGE」では一転、水面が煌めくような照明とともに幻想的な世界観を演出。また、サビの部分ではバンドサウンドを、アウトロではオーケストラを全面に打ち出したメリハリのあるアレンジで、この楽曲が持つ切なさや悲しみを見事に表現した。

 エモーショナルな歌声で観客の心を震わせた「LUST FOR BLOOD」を終えると、GACKTはゆっくりと指揮台へと歩を進める。そして、これまで指揮を担っていた村上史昂氏に代わり、自らの指揮で「FOUR SEASONS(「白露 -HAKURO-」「暁月夜 -DAY BREAKERS-」「サクラ、散ル・・・」「雪月花 -THE END OF SILENCE-(※雪月花のみ歌唱)」を披露。各パートとアイコンタクトを取りながらいくつもの音を編んでいく様子に、GACKTとオーケストラの人たちとの絆を感じて思わず胸が熱くなる。また、オーケストラによるインストゥルメンタルにすることによって、GACKTの楽曲が持つ旋律の美しさが際立つことも印象的だ。

 一般的なライブにおいて、主役となるアーティスト本人が客席に背を向けることは稀有。しかし、GACKTの場合は後ろ姿からも凛とした気品が伝わってくる。そんなGACKTが振る指揮棒に合わせ、70人のオーケストラが奏でる美しい音色に観客は酔いしれた。

 「FOUR SEASONS」の間、バックステージに下がっていたバンドメンバーが再び合流すると、ライブもいよいよクライマックスへと突入。激しいロックチューン「CLAYMORE」「キミが待っているから」を披露したのち、本公演のラストを飾ったのは「LOST ANGELS」。もともと重厚な世界観を持っている楽曲だが、そこにフルオーケストラの演奏が重なることで唯一無二の存在感を発揮。GACKTの歌声にもより一層魂が宿り、オーケストラとバンドと三位一体となって会場を包み込む。まさに誰も観たことがない圧倒的なインパクトをもって、“魔王シンフォニー THE REVIVAL”がここに完結した。

 全13曲、約90分に及ぶステージを、一切のMCなしで駆け抜けたGACKT。しかし、本公演に臨む姿勢や掲げた美学は、1曲1曲、1音1音から手に取るように伝わってくるように感じた。すべての楽曲を歌い終え、ひらりとマントを翻しながらステージを去ったGACKT。この日の公演を通して彼の想いを受け止めた観客の大きな拍手はいつまでも鳴り止まず、会場に響き渡っていた――。

 なお、このスタイルでの公演は来夏、フルオーケストラツアー『GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics』として全国8都市を巡ることになっている。
 
 ツアーに向けた意気込みを聞くと、「ここまでのロックとクラシックの融合音楽を作っているバンドは過去には存在していない。(“魔王シンフォニー”で)このクオリティを追求できたことは非常にうれしい」と自負する一方、「まだ詰められるところはあるのではないかと、試行錯誤をしている」と語ったGACKT。また、自身の音楽的ルーツもクラシックにあることから、全国で継続困難になりつつある楽団の多さ、クラシック音楽界の現状を鑑み、「ロックの方たちにはクラシックの素晴らしさを、クラシックが好きな方たちにはロックの勢いと重厚感を知ってもらいたい。その橋渡しになればいい」という想いも、今回のスタイルには込められているという。「素晴らしいものっていうのは、どの音楽にも存在している。ジャンルを超えた中で、そういったものを感じてもらえるきっかけに、この魔王シンフォニーがなってくれたらいい」と話すGACKTの言葉には、いつも以上に熱がこもっていた。
 
 2026年はワールドツアー『GACKT YELLOW FRIED CHICKENZ〜WORLD TOUR ATTACK OF YFCz〜』や『GACKT LAST SONGS 2026 feat. K』など、さまざまなスタイルでのツアーが予定されているGACKT。彼の飽くなき挑戦はこれからも続いていく――。

取材・文 片貝久美子

■『GACKT PHILHARMONIC 2025 魔王シンフォニー THE REVIVAL』
【セットリスト】
M1 RETURNER -闇の終焉-
M2 絵夢 -FOR MY DEAR-
M3 CUBE
M4 BLUE LAGOON -深海-
M5 REDEMPTION
M6 UNTIL THE LAST DAY
M7 BIRDCAGE
M8 LUST FOR BLOOD

FOUR SEASONS
M9 白露 -HAKURO-、暁月夜 -DAY BREAKERS-、サクラ、散ル・・・
※上記の曲のみGACKTは歌唱せず指揮
M10 雪月花 -THE END OF SILENCE-

M11 CLAYMORE
M12 キミが待っているから
M13 LOST ANGELS

【公演情報】
■『GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics』

開催日時・会場:
2026年7月14日(火)ウエスタ川越 大ホール OPEN 17:00/START 18:00
2026年7月18日(土)東京エレクトロンホール宮城 OPEN 17:00/START 18:00
2026年7月26日(日)JMSアステールプラザ 大ホール OPEN 16:00/START 17:00
2026年8月2日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール OPEN 16:00/START 17:00
2026年8月11日(火・祝)文京シビックホール 大ホール OPEN 13:00/START 14:00
2026年8月11日(火・祝)文京シビックホール 大ホール OPEN 17:00/START 18:00
2026年8月15日(土)刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール OPEN 16:00/START 17:00
2026年8月18日(火)札幌市教育文化会館 大ホール OPEN 17:00/START 18:00
2026年8月29日(土)東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホール OPEN 13:00/START 14:00
2026年8月29日(土)東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホール OPEN 17:00/START 18:00

出演:
GACKT

指揮:米田覚士(埼玉、宮城、東京、愛知、北海道)、村上史昂(広島、福岡、大阪)
管弦楽:グランドフィルハーモニック東京(埼玉、宮城、東京、愛知、北海道)、グランドフィルハーモニック京都(広島、福岡、大阪)
バンド:YELLOW FRIED CHICKENz

<チケット> ※全席指定、税込
1F ブラックダイヤモンド席100,000円(1Fスタンディング、前方3列までのお席確約、ブラックダイヤモンド席特典グッズ付き)
1F ダイヤモンド席60,000円(1Fスタンディング、4列目以降の前方ブロックのお席確約、ダイヤモンド席特典グッズ付き)
1F プラチナ席35,000円(1Fスタンディング、中間ブロックのお席確約、プラチナ席特典グッズ付き)
1F S席18,000円(1Fスタンディング、後方ブロックのお席)
2F ダイヤモンド席60,000円(2F着席観覧、前方2列までのお席確約、ダイヤモンド席特典グッズ付き)
2F以上 S席18,000円(2Fもしくは3F着席観覧のお席)
2F以上 A席13,000円(2F以上着席観覧、S席より後方のお席)

チケット販売スケジュール:
GACKTオフィシャルHP、SNS先行(抽選)
2025年12月23日(火)12:00〜2026年1月5日(月)23:59
公演公式サイト(外部サイト)

主催:阪神コンテンツリンク(ビルボードジャパン)
企画制作:ビルボードジャパン、カケルエンターテイメント、アーツイノベーター・ジャパン、グランドフィルハーモニック
協力:VENUS、ユニバーサルミュージック
後援:米国ビルボード

<注意事項>
※1階オールスタンディング席、2階以上着席指定
※未就学児入場不可
※枚数制限:おひとり様各公演1申し込み最大4枚まで(ブラックダイヤモンド席のみ最大2枚まで)
※車椅子をご利用のお客様は、お問合せ先までご連絡ください
※チケットはおひとり様1枚必要となります。チケットを紛失された方、または当日お忘れになった方はご入場できません
※チケット購入の際は、必ず公式サイトに掲載している注意事項をご確認ください(ご来場のお客様へのお願い(外部サイト)

<公演に関するお問合せ>
【埼玉・東京】キョードー東京 0570-550-799(平日11:00〜18:00/土日祝10:00〜18:00)
【宮城】エドワードライヴ 022-266-7555(11:00〜15:00/土日祝休)
【広島】YUMEBANCHI(広島)082-249-3571(12:00〜17:00/土日祝休)
【福岡】BEA 092-712-4221(平日12:00〜16:00)
【愛知】サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(全日12:00〜18:00)
【北海道】道新プレイガイド 0570-00-3871(10:00〜19:00/火曜定休)
【大阪】キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00〜17:00/日祝休)

■リリース情報 
『GACKT PHILHARMONIC 2025 - 魔王シンフォニー』
2025年4月13日(日)、すみだトリフォニーホール公演収録
発売元:ユニバーサル ミュージック
<映像作品>(3形態)
2025年11月12日(水)発売
DVD:UCBS-1016 ¥8,800 (税込)
Blu-ray:UCXS-1006 ¥9,900 (税込)
極-KIWAMI-盤:UCXS-9004 ¥16,500 (税込)
https://lnk.to/GACKT_PHILHARMONIC2025_DEMONICPHILHARMONY(外部サイト)

<CD> (2形態) 2025年7月4日(金)発売
初回限定盤:SHM-CD UCCS-9066 ¥4,950 (税込)
通常盤:CD UCCS-1401 ¥3,300 (税込)
https://lnk.to/GACKT_PHILHARMONIC2025(外部サイト)

■ビルボードクラシックス
音楽ファンに最高の音楽と新しい体験を届けるため、ビルボードジャパンが2012年にスタートしたコンサートシリーズ。「アーティストの音楽を最高のかたちで届けること」をミッションに、全国の音楽専用ホール等でこれまでに400以上の公演を開催している。
公式サイト(外部サイト) 

メニューを閉じる

 を検索