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H Jungle With t、デビュー30周年を経て3月19日発売の『H Jungle With t 30th Anniversary Collection』から紐解く「WOW WAR TONIGHT」の軌跡

(C) GOBU GOBU Festival

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 ダウンタウンの浜田雅功と音楽プロデューサー小室哲哉で結成され、大ヒットソング「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」を生んだ伝説のユニットH Jungle With t。これまでまとまったアルバムや映像作品を一度もリリースしたことがなかった彼らだったが、デビュー30周年を記念して『H Jungle With t 30th Anniversary Collection』を3月19日(水)にリリースする。本作には、昨年5月に一夜限りの復活を果たした「ごぶごぶフェスティバル」で披露した新バージョンのTrack MIX音源も初収録され、永久保存版のコンプリート記念作品となっている。伝説と言われたユニットの軌跡と功績を改めて振り返る。

発売から7週連続で1位を獲得、“ジャングル”を世に広めた「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」

 H Jungle With tの1枚目のシングルは1995年3月15日にavex traxよりリリースされた「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」。同楽曲は当時、ロンドンの音楽シーンの最先端であった、ジャングルと呼ばれるジャンルの音楽を取り入れており、最初はレゲエとして始まり、途中から長三度上に転調して、ジャングルのリズムになっていくよう構成されている。

 ジャングルとは、イギリスから出てきた初のブラックミュージックであり、サンプラーを多用して制作される音楽ジャンルのひとつだが、そもそもアンダーグラウンドで、決して売れるジャンルではなかった。ところが「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」は、1995/03/27付オリコン週間シングルランキングで初週売上40万枚超えで初登場1位を獲得。同ランキングに於いて1995/05/08付まで7週連続で1位を獲得し続けた。

 さらに、1995年度のオリコン年間シングルランキングでは2位を獲得。この年の年間シングルランキングトップ10にはドラマ『愛してると言ってくれ』の主題歌「LOVE LOVE LOVE」、福山雅治の「HELLO」などドラマ主題歌が数多くランクインしているなか、ドラマ主題歌ではない本作が2位にランクインしているのも人気の高さがうかがえる。

 現在までに、210万枚以上の累積売上を記録し、その後リリースされたリミックス盤も28万枚以上のセールスを記録(オリコン調べ)。これは世界的にも画期的なことであり、イギリスのサブカルチャー雑誌『i-D(英語版)』に「世界で初めてジャングルで100万枚を売り上げたプロデューサー」として小室哲哉が特集されたほどだった。

 ではこの楽曲はどのようにして生まれてきたのだろうか。

牛丼家で財布を忘れたエピソードから歌詞を連想、サラリーマンの応援歌に

 始まりは1994年。この年は、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)で、いじられキャラとしてレギュラー出演していた篠原涼子が小室哲哉プロデュースで「恋しさと せつなさと 心強さと」をリリースし、大ヒットを記録。まさかの事態だった浜田は、小室が『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)にゲスト出演した際、冗談で「小室さんが曲を出したら売れるんやから、僕にも曲を作ってくださいよ」と言った。ここから“伝説”は始まったという。

 昨年発売された『WOWとYeah 小室哲哉 時には起こせよ、ムーヴメント』(小学館)によれば、小室は「『ちょっと攻めたこと』をやる方が浜ちゃんに合っていると考えました。(中略)ロンドンで流行していた『ジャングル』をベースにすることにしました。ダウンタウンのビデオを観た時に、浜田さんの声やテンポが当時ロンドンで流行していた『ジャングル』のリズムに合うと感じたんですよね」と考えたという。

 この直感が大ヒットを生むことになる。そして要となるのはリリックだ。ここにも作詞家・小室哲哉のセンスが光っていた。小室自身が多くの場所で語っているが、小室は70年代フォークの音楽の影響を受けながらにして新たな音楽に挑んでいたことからか、往年の70年代ミュージシャンから「基礎ができてない」などと揶揄されていたと言われる。それに悩んでいた小室は、浜田というアイコンを扱う際に、吉田拓郎の「旅の宿」を思い出した。小室がリスペクトする日本の音楽の大先輩にも伝わる曲を作って、「ちゃんとわかってるじゃん」と思ってもらいたかったのだという。

 Aメロに「温泉でも行こうなんて いつも話している」という歌詞があるが、小室哲哉の歌詞に「温泉」という言葉が出てくるのはこれが初であり、まさに「旅の宿」のイメージで「温泉」を使ったと、先述の著書でも告白されている。

 また、楽曲作成中に小室が、財布を忘れて吉野家へ行った話も有名だ。この時小室は、自身の素性を明かし、財布を取りに行くから待ってくれと店員に告げた。だがこの店員は、相手が小室哲哉と知って、その牛丼をおごってくれたという。このエピソードで生まれた歌詞が、「窓に映ってる素顔を誉めろ」だ。小室はこのあと、あの店員が電車で帰宅する様子を想像した。電車、部屋、どこのガラスでもいい。その窓に自分が映る。自分が今日、頑張ったこと、やったこと、それを褒めろ…。このようにして、あの等身大の歌詞は書かれたのだ。

 結果、この曲はあの吉田拓郎をして「いい曲」と言わしめ、詞の世界観が世のサラリーマンの応援歌的に捉えられて、カラオケの締めの定番曲ともなった。バブル経済がはじけ、疲弊を極めていた日本社会にとって「窓に映ってる素顔を誉めろ」という歌詞のような「他者の評価よりも自己肯定をしよう」という表現は、楽曲を通じた小室の提案として多くの人に共感され、時代をも超えたのだろう。近年では、AAA、BENI、華原朋美、DISH//、広瀬香美、JO1など多くのアーティストがカバーをする名曲となった。

1995年以来の一夜限りの復活、29年ぶりのライブに駆け付けたファンは熱狂

 H Jungle With tがデビューした1995年というのは特に小室プロデュースにとっては爆発元年ともいえるような年でもあり、globeや華原朋美、安室奈美恵の本格的TKプロデュースもこの年の「BODY FEEL EXIT」からだった。さらに、当時のCDバブル、カラオケ全盛という時流ともマッチし、小室哲哉ファン以外にも受け入れられた面もあったのだろう。

 また、H Jungle With tの楽曲は「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント〜」だけではなく、実は次の「GOING GOING HOME」も120万枚超え、「FRIENDSHIP」も70万枚近いセールスを記録している(オリコン調べ)。

 数々の功績を残していたH Jungle With t。2024年5月には、浜田が主催する音楽フェス「ごぶごぶフェスティバル」で一夜限りの復活を果たした。彼らが、ライブに出演するのは、1995年に小室がオーガナイザーを務めたイベント『avex DANCE MATRIX '95 LIVE 〜 TK DANCE CAMP 〜』以来となっていた。

 大トリでステージに上がった2人は「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」と「GOING GOING HOME」を披露。この日の出演者も呼び寄せ大合唱し、駆けつけたファンを熱狂させた。

 今回リリースされる『H Jungle With t 30th Anniversary Collection』には、「ごふごぶフェスティバル」で復活した際に使用されたカラオケ音源を元に、過去のボーカルトラックとミックスされた新バージョンの「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」のボーナストラックも収録されている。

3月19日発売『H Jungle With t 30th Anniversary Collection』商品構成図

3月19日発売『H Jungle With t 30th Anniversary Collection』商品構成図

 さらに、当時はCDに収録されなかった「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」のInstrumental音源、オフィシャルではYouTubeにも配信されていない「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」「GOING GOING HOME」「FRIENDSHIP」3シングルのミュージックビデオと、廃盤で幻となっている『avex DANCE MATRIX '95 LIVE 〜 TK DANCE CAMP 〜』での歌唱映像2曲を収録したBlu-ray も同梱される。

 30年の時代を超越し、今も名曲として君臨するH Jungle With tのさまざまなアイテムたち。これらが入った宝箱をぜひ入手し、リアルタイム世代は時代に思いを馳せ、現役世代は新たな“楽しみ”として聞いてみてはいかがだろうか。
(文・衣輪晋一)
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