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城田優が来年で芸能生活20年、「エンタテイナーの基盤を築いた」ミュージカルへの思い

 来年で芸能生活20年を迎える城田優。ドラマや映画はもちろん、近年ではとくにミュージカルでの活躍ぶりが評価されている。そんな城田が、舞台で培った歌声でミュージカルソングを歌ったアルバムを発売。俳優として広く認知されているだけに、世間では「歌うイメージが無かったと思う」という城田が、今作に込めた思いとは? 芝居と音楽、どちらにもアプローチできる彼のミュージカルへの情熱を聞いた。

世間からは俳優のイメージ、「歌うまいんだ」と言われることもやっと増えた

――ミュージカルソングをカバーしたアルバム『a singer』を10月24日に発売。その経緯や、意識したことを教えてください。
城田優 僕、来年で芸能生活20年なのです。今年は19年目なのですが、これまでミュージカルでいろんな作品に関わらせていただいたことで、僕はエンタテイナーとしての基盤を築かせていただいた。今までの軌跡みたいなもので、それを要約した作品を出そうということになったんです。シンプルに僕が好きな曲を集めたのですが、数多くの曲の中から…といった迷いはなかったです。ただ、舞台上で歌う楽曲を音源にするにあたって、劇場で歌うときの8割ぐらいの感情の込め方、というのかな。タイトル通り、シンガー、歌い手として歌いつつ、役柄としての感情も伝えられるように、物語の中のキャラクターとして歌うことは心がけました。120%、役としての歌にはなっていないかもしれないですが、これは僕のCDということで。少しだけ、キレイに歌い上げつつ、ミュージカルの歌の良さをみなさんに知っていただく機会になればと。

――ポップスとミュージカル、両方に携わる城田さんにとって、その違い、魅力とは?
城田優 ミュージカルの楽曲は物語の中の1シーンとして、具体的な感情や状況が乗せられている。芝居の上に音楽が重なっているから、語りかけるように、伝わるように歌っています。だから、劇場で聴くとまた印象が違うと思います。たとえば、CDを聴いてライブに行くと、“CDと全然違うぞ!?”とガッカリするパターンと、CD通りなパターン、“CDと印象が違うけどなんかすごいな!?”の3つのパターンがある。僕が目指したのは、この3番目なんです。ミュージカルは特に、その日の空気によって全然違ったものになる。このアルバムを聴いて“この曲はどういうシーンで歌われるんだろう?”と興味を持ってもらえたら、そして劇場に足を運んでいただけたら、という気持ちは大きいです。

――豪華なデュエットも披露しています。
城田優 特に今回は、予想外の企画が実現しました。聴く方を驚かせつつ、本物を届けたかった。世間一般では、僕は俳優のイメージが強く、歌を歌うイメージが無かったと思うんです。ありがたいことに、今回、歌番組に出演させていただいていることで、「城田くん、歌うまいんだ」なんて言っていただけることもやっと増えました。『ホール・ニュー・ワールド(アラジン)』を一緒に歌ったすみれさんも同様だと思います。あえて「えっ!?」と驚かれるすみれさんのような人物で、聴いたらそのポテンシャルの高さにさらに驚いてもらいたいというのはありましたね。

乃木坂46・生田ともデュエット、「10年後には日本を代表するミュージカル女優に」

――最近、ミュージカルの出演が続いている乃木坂46の生田絵梨花さんも、そういった意図でのキャスティングなのでしょうか。
城田優 「エメ」(ロミオとジュリエット)という曲は、僕がミュージカルの中でもダントツで音楽が好きな作品で、その中でも一番好きな楽曲なんですね。それを、ジュリエット役の生田絵梨花さんが一緒に歌ってくれたのは、本当にありがたいことでした。彼女自身、もっとミュージカルを広めたいと思ってくれている方ですし、これからさらに伸びていく女優さんです。伸びしろがすごく大きいので僕もいろいろ言いたくなってしまい、この曲では城田アレンジが加わっています(笑)。

――とくにどんなことを伝えたんでしょう?
城田優 まっすぐに透き通る声で歌う方なんですが、そこにプラスして、哀愁やエネルギーを込める方法を伝えさせていただきました。他の曲のレコーディングでは、ディレクターさんに任せて僕は歌い手に徹していたんですが、この曲だけは「もっとこうしてみて!」と、アドバイスしました。彼女は5年後、10年後には確実に、日本を代表するミュージカル女優になっているはずなので、「あのとき、城田にいろいろ言われたな」と思い返してもらえたらなと(笑)。可能性に満ちた後輩には、僕が培ってきたものは全部教えたいと思っています。

「日本のミュージカル界が変わるぞ!」という構想を思いついた

――ご自身でも曲を作るなど音楽制作に携わっていますが、ミュージカルに関わることで、刺激を受けることもありますか?
城田優 あります。映像でも舞台でも、エンタテイメント作品において音楽は外せない要素。中でもミュージカルは、お芝居と音楽が融合して一つの作品となった素晴らしいジャンルです。メロディーやリズムだけでなく、具体的な感情を吐露した歌詞を乗せて歌うことで、物語や心情がダイレクトに伝わっていく。先日、友だちと音楽制作をしていて、「これは日本のミュージカル界が変わるぞ!」という構想を思いついたんです。これまでは自分も、「ミュージカルソングはこうなんだ!」という固定概念に縛られていた。でも、もっと自由にやっていいんじゃないかなと。「これで物語があれば、今までにないポップス寄りの新しいミュージカルができる!」と、今すごくワクワクしているんです。もう、やりたいこと、やらなければいけないこと、やるべきことだらけで死にそうですよ。

――2019年3月にはコンサートも開催。城田さんは、「俺を見ろ」と観客を惹きつけるタイプか、それとも観客が喜ぶことを追求するタイプか、どちらでしょうか?
城田優 どちらかと言えば、後者です。自分の周りにも、とにかくカッコイイ自分を見せることに徹していて、俺がカッコ良ければ盛り上がるだろうというスタンスの人もいる。まさに才能で人を惹きつけるタイプで、それはそれで正しい。でも僕は、どうしたらファンは喜んでくれるだろうか、ということを先に考えるタイプなんですね。基本的に「俺を見ろ!」システムで考えたことはなくて、常に客観的にプランを練っている。実は僕、本番よりもリハーサルのほうが伸び伸びやっていて。精神的に、一番楽しいのはカラオケです(笑)。本番は、足を運んでくれている方たちを満足させなければ、という責任や重圧のほうが強いので、いつも非常に緊張しています。というわけで、今回も最大限満足度を上げるために、いろいろとサプライズなども考えていますから! 楽しみにしていてください(笑)。

(文:根岸聖子)

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