オリコンニュース
結成20周年のPOLYSICS、音楽シーンの変化と独自スタイルについて語る
アーティスト自身も音楽の“聴き方”に変化が
ハヤシ うーん、難しいですよね。今の時代でもちゃんと聴かれているロックバンドはあるわけだから、CDが売れないからダメなんだって言うのは、どうかなとも思う。だけど一方で、CDが売れないと次の楽曲を作る費用も賄えなくなる。だからライブが重要になったりもするんだけど。
フミ フェスに行くにしても、宿泊費を含めるとけっこうな額ですよね。それでも、そこにお金をかける感覚はあるわけだから、音楽にお金を出さないっていうわけじゃない。それはいいことだと思うけど、フェスで聴いた気になっちゃったら、ちょっと残念ですよね。やっぱりフェスはお試しみたいなものだと思うから。
ハヤシ うん、POLYSICSもたくさんフェスに出させてもらってるけど、やっぱりワンマンライブに来て欲しいっていう思いがあります。たぶんフェスがこれだけ人気なのは、一通り聴けるからだと思うんですよ。それはYouTubeやストリーミングにしても情報が溢れすぎてて、何から聴いていいかわかんなくなってるっていうのも理由のひとつだと思っていて。でも僕も、音楽の定額配信サービスを利用しているからなあ。気になってる曲を聴いて、こんなにカッコよかったんだ、じゃあCDを買ってみようってなったバンドも増えたし。
──今でもめちゃくちゃリスナーじゃないですか!
ハヤシ それこそ学生時代は、レコード1枚買うのにものすごいワクワクして、その中で失敗したのもあって、そのガッカリ感たるや(苦笑)。それでもなんとかいいところを見つけようと繰り返し聴いて、というのが自分の青春エピソードとしてすごく良い思い出なんです。そういう感覚は、今の若い世代にはなくなってるのかもしれないですね。
フミ 個人的にはライブハウスにも足を運んでくれるといいなあ。それこそ、YouTubeでは聴けないバンドがいっぱいいるので。
“色モノ”過ぎてもロックバンドとして認められないことを痛感
ハヤシ うん、まさに『1st P』の頃は自分が思ってる以上にそう見られてるんだなっていう感覚はありました。でも、自分がやりたいことは食パンを投げてびっくりさせるんじゃなくて、バンドそのものが飛び道具でいたいっていうか、どこの枠にもハマらない存在でいたいっていうのがあって。そのためには、このままじゃいけないなっていうのは、『1st P』のときに思いました。演奏力をちゃんとつけないとダメで、飛び道具をやるにしても、ロックバンドとしての体力がないと認められないんだって痛感したんですよね。
──たしかにPOLYSICSにイロモノではない説得力があって、20年感続けられてこれたのも音楽そのものにシリアスに向き合ってきたからだと思うんです。だけど一方で、ライブハウス精神みたいなユーモアもきちんとあるという。
ハヤシ もともとディーヴォや筋肉少女帯、影響を受けたバンドにそういうところがあるからで。みんな同じような格好して、中指立ててみたいなのに、ぜんぜんパンクを感じなかったんです。それよりか、既存のロックのスタイルをぶち壊して、シニカルなこともユーモアを交えて伝えてる、そこにすごくパンク精神を感じて、自分もそういうことをやりたいって思ったんです。
──先ほどおっしゃったように、「感動」とか「共感」が重んじられがちな日本の音楽シーンでは稀有な存在ですが、次世代に自分たちの音楽をどう伝えていきたいと考えてますか?
ハヤシ やっぱり、初めて聴いた音楽に衝動を受けるのは若い世代だと思うんです。かと言って、こうすれば若い世代にウケるよねとか、考えてもできない気がしていて。それよりも、こんな音楽の楽しみ方があるんだよってことを提案していくほうが、POLYSICSには合ってると思うんです。
フミ それこそ歌詞に感動しなくても、理屈とか意味とかすっ飛ばしても音楽って楽しめるんだよってことですよね。
ハヤシ そうそう。「Let’s ダバダバ」とか意味わかんないじゃん(笑)? でも、みんなでダバダバ言ったら楽しいよっていう、その感覚ですかね。
──最後に後進のバンドに向けて、20年音楽を続ける秘訣を教えていただけますか?
ハヤシ うーん、でもPOLYSICSはけっこう奇跡に近いと思うからなあ。20年続けられたのって、そこにはいろんな人との出会いもあったりしたわけで。
フミ いや、でも続けることが正しいわけでもないと思うんですよ。一瞬のキラメキのかっこよさもあるわけだし、だから「好きな道を行け」ってことですかね。
ハヤシ うん、「俺に聞くな」ってことですかね(笑)。
(文:児玉澄子)



