(更新: オリコンニュース

ローリング・ストーンズ、11年ぶりアルバム秘話明かす

エリック・クラプトンはストーンズとプレイすると、普段よりもいいプレイをする

――エリック・クラプトンが「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」と「エヴリバディ・ノウズ・アバウト・マイ・グッド・シング」で参加していますね。これはどういういきさつからですか?
ロニー・ウッド これもたまたまのことなんだよ。彼は、俺たちがその前の曲をレコーディングしているときに見学していたんだ。そこで(俺たちが)「この曲とあの曲、弾いてみる?」と誘ってみた。当時、彼は手を痛めていたけれど、1曲は普通に弾き、1曲はスライドでプレイした。エリックはストーンズとプレイすると、普段よりもいいプレイをすると思うな。なんか魔法がかかったような感じ。自分がバンド・リーダーだと自分の意向を伝えないといけないけれど、そうでない状況だと、きっとリラックスして弾けるのだと思うよ。彼も大いに楽しんでいた。

――「ブルー&ロンサム」のアルバムは、通常のストーンズのレコーディングのプロセスとどこが違っていたのですか?
チャーリー・ワッツ 大抵はミキシングやマスタリングをする段階で血迷って、あれもこれもというように色々と足したい欲求に駆られるんだ。すると、曲が元々持っている精神が損なわれてしまう。このアルバムでは、そういうことはやってはいけないと分かっていたし、幸運なことに、実際にそうしなかった。多分ドン・ウォズのおかげだと思うな。とても仕事がしやすい人だし、僕たちの音楽を尊重して、親身になってくれる。
ロニー・ウッド ブルースの即時性が好きだな。新曲を作るのもエキサイティングだけれど、そっちは時間がかかるからね。
キース・リチャーズ このアルバムではオーヴァーダブとか、いわゆるポスト・プロダクション的な作業はほとんどなかった。俺としては、自然に出来上がったと感じている。つまり、ほとんどオーヴァーダブをしていない、レコーディングした状態のままのアルバムなんだ。これに関しては、色々といじり回すことができないし。あんなに短期間で、これほど多くの曲をレコーディングしたことはなかったよ。多分、2、3テイク以上かかった曲はなかったと思う。だからフレッシュな状態のままだ。
ミック・ジャガー ある曲にタックルして、そのまま仕上げるのは楽しかった。ある意味、凄いことだとも思う。失敗できないわけだから。自分が失敗すれば、皆の演奏も無駄になる。ブースに入って録るのではなく、生で全員でプレイすると、音の問題も出てくるしね。でもブースでの録音は絶対にイヤだった。もし、チャーリーのシンバルが大きすぎると、それが俺のボーカル・マイクにも入ってしまう。そういう状態でレコーディングするのはかなり大変だった。レコーディングは5〜6人で同時にやるよりも少ない人数でやる方が楽なんだ。でもこのやり方はかなり楽しかったし、爽快だった。

――このようなゆるいアプローチの中では、その瞬間のエネルギーと興奮を捉えることが優先で、技術的な正確さなどは二の次になったのではないですか?
ドン・ウォズ ローリング・ストーンズのレコーディングでは、フィーリングが優先されて技術的なことはいつも二の次だよ。彼らは荒削りで活気があり、自然発生的なことをやっているときが最高だからね。我々は常に5人が同時にプレイしているようなサウンドを維持しようとしている。ドラム・マシーンから始めて、徐々に曲を作り上げて行くようなアプローチはしない。オリジナルではない曲をプレイすることで、シリアスな芸術性への訴求が薄まったと思う。ソングライターとして、何かを訴えているわけではないから。そのようなリラックスできる状況で、皆がいつもよりも少し自由にプレイできた。だからこそ、ラフなプレイを受け入れる余裕もできたと思う。これは完全な生演奏で、間違いがあっても、そのままだ。途中で破綻したら、もう一度録り直した。ローリング・ストーンズにとっては最高のアルバム制作方法だ。このようなことができるバンドは本当に数少ない。これは、彼らがいかに素晴らしいミュージシャンであるかを示しているし、全員が結集すれば、個の集合体以上の力が発揮されるということの証明でもあるね。

――12曲のレコーディングが終わって次のステップを考えるときに、これらのカバー曲を1枚のアルバムとして発表するという考えには、全員が賛成したのですか?
チャーリー・ワッツ 僕は賛成した。まあ、前からインストゥルメンタル・アルバムを作りたいと思っていたからね。ローリング・ストーンズはかなりうまいブルース・バンドだと思っている。これがいい例だ。僕たちが自由にやれば、こういうサウンドになる。個人的にはアルバムにはとても満足している。キースは前からそう思っていたけれど、僕も、こういうアルバムを作りたいと以前から思っていた。大作ではないけれど、とても良いものだと思う。発売する価値のある作品だと思っている。できがいいし。実際(曲は)、かなり正当派だし。以前よりもずっとシカゴのブルース・バンド風のプレイになっている。
ロニー・ウッド このブルース・アルバムについては、とても満足している。自然なことだと思う。俺にとっては、昔(ストーンズの)ファンだった時代から考えて、今、彼らと共にブルース曲をレコーディングするなんて、ぐるっと1周回って円が完結した感じだよ。
キース・リチャーズ このアイディアが結実するまでには数週間から数ヶ月かかった。“俺を発売してくれ!”という叫びが聞こえていた感じだったな。このアルバムはバンドの一部だ。初めての試みだったけれど、素晴らしいサウンドになった。

ストーンズは先のことを計画しないバンド

――これらのセッション中に、昔、ブルースをよく聴いたり、プレイしていた時代に戻った感じがしましたか?
キース・リチャーズ 初期の頃に戻った感じがしたし、なんか本当に既視感を感じた。何しろ1962年か63年以来、プレイしていなかったような曲もプレイしたから。当時はライブの度にこういう曲をプレイしていたんだ。これらは50年代後半のサウスサイド・シカゴ・ブルースで、多分、サウンドや、歌い方や、曲の構成が典型的なのだと思う。あれから50年以上経って、俺としては“ちゃんと覚えているかなあ”という気持ちでプレイした曲もあったけれど、そんな心配は無用だった。指が覚えていたんだから。それに一見簡単にプレイできそうに思える音楽だけど、実はかなり複雑なんだよ。
ミック・ジャガー 当時流行っていた甘ったるいポップ・ミュージックとはまったく異なるスタイルの音楽だった。それに、ポップ・ミュージックと比べると、かなり下品な表現もあったし。体験を直接的に語っているし、サウンドも強烈で、リズムも面白いし、踊りやすいし、瞬時に人を引きつける音楽だった。俺たちの世代にとっては、今で言うと、郊外に住む白人の少年がラップをやっているようなものだった。自分たちの経験からは文化的にかけ離れた世界だった。俺はこれだけ長くやっているから、今の方がきっと19歳の頃よりもずっとこの音楽に通じていると思う。大いに楽しんで演奏したよ。
チャーリー・ワッツ 僕はずっとジャズをプレイしてきた。実際、初めてブルースをプレイしたのは、アレクシス・コーナーズ・バンド(ブルース・インコーポレイテッド)に入ってからだった。当時はマディ・ウォーターズの曲をよくプレイしていた。その後、いくつか他のバンドでプレイして、ストーンズに加入した。その時点ではストーンズはマディ・ウォーターズとジミー・リードの曲をやっていた。ロックンロールとジャズは、ブルースの分流のような感じで、とても似ている。どちらもブルースが元になっているからね。チャック・ベリーは偉大なブルース・アーティストで、ルイ・アームストロングも、そうだと言える。つまりジャズをプレイするということは、ブルースもプレイしているようなものだということだ。
ロニー・ウッド 俺は、輸入されてくる音楽を喜んで受け取る側だった。当時手に入ったレコードは、“コレクション”という形態(ベスト盤やオムニバス盤のようなもの)のものだった。それが俺たちの生活の糧となった。当時は部屋に小さなレコード・プレイヤーがあって、レコードを聴きながら、チャック・ベリーやビッグ・ムース、それにエルモア・ジェイムス、ヒューバート・サムリンなどのギタリストのリックをコピーしたり、自分なりに彼らの物真似をしていたな。

――60年代初頭にストーンズは、アメリカのファンにも、彼ら自身の音楽文化を知らしめ、ブルースの人気を高めました。でもブルースはジャンルとしては過小評価されていますね。このアルバムを聴くのは、どういう人たちなのでしょうか?
チャーリー・ワッツ ブルースが流行した時代はもう終わったけれど、ジャズやブルースを聴いている人たちは、常にいるはずだよ。
ドン・ウォズ 僕が最初に聴いたブルースは、ローリング・ストーンズだった。ローリング・ストーンズがブルースを作ったと思っていたくらいだ。今の若い人で、ブルースのことを知らない人でも、このアルバムを聴いて興味を持ってくれる人はいると思う。現在、プログラミングされた音楽が世界中のラジオ局を席巻しているけれど、そのような中で、ブルースは絶対に新鮮に感じられると思う。こういう音楽に感動しないのならば、医者の診察を受けた方がいいと思うね。このアルバムをストーンズの大ファンの友人のライアン・アダムスに聴かせたら「この荒削りの雰囲気が彼らの凄さの源だね」と言っていた。このアルバムについては、相当に凄い反応を期待しているんだ。

――今後、第2弾として、さらにヴィンテージのブルースを掘り起こすことも考えていますか?
キース・リチャーズ バンドの中からそういう強い欲求が出て来たら、何でもやるよ。ストーンズは先のことを計画しないバンドだ。『ブルー&ロンサム』はたまたま、出来上がった。第2弾をやるべきだとか、カントリーアルバムを作るべきだとか、そういうことは口にしない。ストーンズの場合、物事は自然に起きる。たまたま興が乗って、皆がその気になったらラッキーさ、その瞬間をキャッチするだけだ。
ザ・ローリング・ストーンズ 日本オフィシャルサイト(外部サイト)

求人特集

求人検索

デイリーCDアルバムランキング2026年05月05日付

  1. MAMIHLAPINATAPAI

    1位MAMIHLAPINATAPAI

    ILLIT

    発売日:2026.05.05

  2. [CHOOM]

    2位[CHOOM]

    BABYMONSTER

    発売日:2026.05.05

  3. NO TRAGEDY

    3位NO TRAGEDY

    TWS

    発売日:2026.05.04

    1. 4位以下を見る

メニューを閉じる

 を検索