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【YOSHIKIインタビュー】クラシックというルーツ、ロックとの出会い「自分の中には両方とも必要」
「ENDLESS RAIN」で、徐々にお客さんが歌い始めて最後は大合唱に
YOSHIKIプロジェクターで、カーネギーホールの壁に映像を映し出す演出はあります。それは、12月の日本公演でもやります。前回は、弦楽六重奏と僕のピアノだったので、LEDを持ち込んだりして、オーディエンスの反応も良かったんですが、今回はオーケストラで人数も多いので。
――世界的には、クラシックファンの人数が頭打ちだと聞いたことがありますが、そういうクラシック市場を広げたい意図もありますか?
YOSHIKI僕は、クラシックのコンサートもよく行きますし、好きですし、ああいう格式の高い、あらたまった感じの場所が、僕がきっかけでもっと大勢の人に興味を持ってもらえたらとは思います。クラシックとポップロックとか、ジャンルの垣根を越えた、橋渡し的な役割が果たせたらいい。先日、東京ファッションウィークのオープニングで、僕のデザインしている着物のショーをやらせてもらったんですけど、そのとき200社ぐらいが取材に来てくれて。着物なんて特に、市場が縮小してきている最たるものなんだけれど、僕はもともと呉服屋の息子なので、僕が着物のデザインを手がけることで、着物が注目される“きっかけ”になればいいと思ったんです。実際、トラディショナルなラインもありつつ、ヒョウ柄や皮みたいに、それまでになかった柄や素材を取り入れたりして。
――ロックとクラシックでは、そもそもお客さんの反応が違うと思うんですが。
YOSHIKI前回のツアーのとき、後半に「ENDLESS RAIN」という曲をやったんです。そうしたら、お客さんが、最初「歌っていいのかな? どうなのかな?」って様子見してたんですが、徐々にみなさん歌い始めて、最後は大合唱になった。それはすごく良かったなと思いました。他にも、クラシックでは珍しく、インプロビゼーション……即興でそれぞれの楽器が演奏する時間を作ろうと思ってます。
――クラシックコンサートとは思えない。YOSHIKIさんの発想には、制限がないんですね。ルールに縛られない。でも、既成のジャンルをぶち壊したいという願望があるわけではないんですよね?
YOSHIKIまぁ、“壊れればいい”ぐらいですね(笑)。
(新アルバム)本当に出るんですかね?……自分でも信じないです(笑)
YOSHIKIあれだけ大勢の人が観る番組で、楽曲を披露できる場を与えてもらっただけで光栄です。
――そんな謙虚な(笑)。X JAPANクラスなら、もっとドヤ顔で「出てやってるんだぜ!」な態度を取っても、誰も文句は言わないと思います。
YOSHIKIもともと、僕がこうやって世界で活躍できているのも、X JAPANの解散があって、復活するまでの間も、日本のファンの皆さんがずっと応援してくれていたからなので。僕に第二の人生をくれたのは、日本のファンの皆さんだと思っています。ただ、海外に出たときは、外国のアーティストになろうとして行ったわけじゃないんです。X JAPANは、“JAPAN”って入ってるせいか、世界中を回っても、「どこ出身?」とは聞かれないのがいい(笑)。海外で、メンバー交替があったときも、僕は日本人を入れることにこだわりました。コラボはありますよ。僕もマリリン・マンソンとコラボしたりとかありますけど、X JAPANに外国人のボーカリストを入れていたら、それはそれで違うような気がするんです。僕らの活動が、日本のバンドの刺激になればいいなというのも、僕が海外で活動する理由の一つです。
――そんな多忙な中、来年はアルバムもリリース予定ですが。
YOSHIKI本当に出るんですかね? 誰も信じてないですもんね。……自分でも信じないです(笑)。でも、たかが一つのバンドのアルバムが出るか出ないかで、ここまで騒がれるのも幸せですよね。たまに脅迫の手紙とか、きますよ。「アルバム出ないならぶっ殺してやる!」みたいな(笑)。
――みんなそれほど渇望してるんですね。とはいえ、曲は次々に生まれている。
YOSHIKIものすごく書いてます。さっきも言った通り、楽譜で書くので、いつでもどこでも制限がなく書ける。
数週間前に僕、ポール・マッカートニーの前でピアノを弾いたんです
YOSHIKIレコーディング! 要するに、僕の頭の中では完璧なイメージができているわけです。こんな響きで、こんな和音でっていうのが頭の中で鳴ってるんですけど、いざレコーディングになると、そのイメージに近づけない。レコーディングは、基本的には妥協の作業ですね。たまにイメージを超えることもありますけど、ほぼ妥協(苦笑)。だから、悲しいんです、毎回。こんなはずじゃなかった、って。
――じゃあ、アルバムの譜面は全部揃っていて、曲順も決まっている。
YOSHIKIそうですね。だから、僕が死んだら、楽譜は死ぬほど残ります。あまり酷い曲以外は捨ててないので。500曲ぐらいはあるんじゃないかな。この間、松田聖子さんに曲を提供するときも、30曲ぐらいは書いたと思います。
――そのイメージする音が、ライブで再現できないのは我慢できるんですか。
YOSHIKIライブは、間違いもアクシデントも含めてライブだと思ってるので……。あとは、自分の作った楽曲が、恐竜みたいに絶滅しちゃうジャンルになってしまうことだけは避けたいんです。200年後も、きっとみんなビートルズの楽曲は聴いてるだろうって想像できるじゃないですか。つまり、ビートルズは200年後にクラシックになる……。
――なるほど。その頃には確かにロックもクラシックも関係ないですね。
YOSHIKIビートルズといえば、数週間前に僕、ポール・マッカートニーの前でピアノを弾いたんです。
――え? 本当ですか? どうして?
YOSHIKIあるパーティに呼ばれて、数十人のゲストの前でアメリカの国歌を弾く機会があったんです。その数十人の中に、ポールやU2のボノもいて。すごい経験でした。最後、ポールに握手を所望したら、ハグされました! あー緊張した!!(笑)。
(文/菊地陽子)
『YOSHIKI CLASSICAL SPECIAL WORLD TOUR 第2弾 −YOSHIKI with Orchestra−』
◆東京公演
12/6(火)・7(水)・8(木)
東京国際フォーラムホールA
開場:18:00 開演:19:00
◆大阪公演
12/5(月) 大阪城ホール
開場:18:00 開演:19:00
【チケット料金】
全席指定 ¥10,800均一(税込)
※未就学児童入場不可
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