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ゴスペラーズ、約10ヶ月ぶりの新作! 北山陽一が復帰の想い語る

ゴスペラーズのアカペラと聴いて誰もが浮かべるイメージを、良い意味で裏切ってみたい

――2曲目の「Recycle Love」は、アカペラを新解釈していて。ミュージックビデオ(MV)を観ると、こうやって声をサンプリングして重ねて作っているんだなというのが見えて、とても楽しかったです。
酒井 MVで使っているのはルーパーという機材で、実際のレコーディングであのルーパーを使ったわけではないのですが……あのルーパーを使ってライブで再現することを念頭に置いて作りました。ゴスペラーズがアカペラをやると言うと、これまでは5人の5声で作るのがルールとしてあって。でもそれだと、僕がヒューマンビートボックスをやるとコーラスが1枚減って薄くなったり、5人ならではの良さと同時に限界もありました。でもルーパーを使うことでその制約をなくし、5人だけの声を使っているのにも関わらず、厚みをどんどん増すことができるようになる。ゴスペラーズのアカペラと聴いて誰もが浮かべるイメージを、良い意味で裏切ってみたいと思って、今回このような拡張工事を行ってみました。
北山 ルーパーという機材を使ったことに目が行きがちですけど、そもそも歌詞の世界観がありきで、それを表現するためにルーパーを使ったわけです。ただそれを使ったことによって、より自由度が広がってやれることが増え、伸びしろが見えたわけですけど……。技術的なことばかりに目が行って、歌詞の面白さが届かないのはもったいないので、ぜひ歌詞にも注目してほしいです。
村上 近未来的な仮想世界と言うか。シリアスだけど、どこか人を食った感覚もあって、アイロニカルな感じもある歌詞になっています。なので、僕らが「さあハーモニーでみなさんを包み込みますよ」というのとは、まったく違った声の使い方をしたほうが面白いと思ったんですよね。それで、普段はかけないタイプのつまみを、強めにかけた感じです。

――テクノロジーと愛を天秤にかけたような、SF映画のような世界観ですね。
酒井 デストピア的なね。
安岡 だからいつものハートウォーミングなハーモニーだと、世界観が違ってしまって。こういう手法なら、生身だけれどコンピュータのモニタにいるようなクールさも表現できたと思います。

――実際にライブでは?
酒井 ファンクラブツアーで、まさにMVのような感じで、僕がルーパーを操作しながらやりました。多少失敗した回もありしましたけど。
北山 でも今まで100%歌に集中していたのが、急に弾き語りをやっているようなものなのだから。
安岡 隣で見ていて、よく歌いながら操作ができるなと関心しました!

ボーイズグループという年齢ではないが……ひとつのスタイル

――そして3曲目は「PRINCESS☆HUG」。
安岡 90年代的なダンスナンバーの歌詞の世界観のひとつに、ロマンティックな方向性があって。それで、今の女性がロマンティックさを感じるシチュエーションは何だろう? と考えた結果、お姫様抱っこだと行き着きました。でもお姫様抱っこという言葉は英語にはなくて。それで調べていたら、日本の少女マンガの世界観を海外に向けて発信しているサイトがあって、そのサイトの方の造語だと思いますが、お姫様抱っこのことを「PRINCESS HUG」と表現していて。これだ! と。

――こういうスウィートでロマンティックなダンスチューンもまた、ゴスペラーズらしい楽曲だなと思いました。
安岡 そうですね。こういう曲を5人の男が入れ替わり立ち替わり歌うのは、ボーイズグループの……僕らはもうそういう年齢ではないけど、ひとつのスタイルですから。こういうものも、まさしく90年代の空気感だったりします。

――ジャケット写真も、プールサイドで何となく90年代っぽさが。
黒沢 こういうラグジュアリー感と言うか、シャンパンにイチゴ入れるみたいな感覚が、バブルっぽくてまさしく90年代だな、と。

――本来なら水着美女もいそうですけど。
黒沢 いましたよ。カメラの向こう側に。僕には見えてました(笑)。


(文:榑林史章)

ゴスペラーズ が軽快なダンスを披露!「GOSWING」ミュージックビデオ

ゴスペラーズ オフィシャルサイト(外部サイト)

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