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THE ALFEE、バンド継続の秘訣とあのヒット曲を語る

「メリーアン」はいける(売れる)と思っていなかった

――(笑)。THE ALFEEはこれまでのコンサートの本数が2550本以上、シングル49作品連続ベスト10入りと、数字的な記録も桁外れですが、それについてはどう思っています?
桜井 40年以上、コンサートをやっていれば、知らないうちにそれぐらいの数字にはなりますよ。
坂崎 逆に言うと、他の人たちは単に途中で辞めたから、こうならなかっただけ。その違いしかないです。

――“その違い”がすごいんですけどね。この数字からは“継続は力なり”という言葉の重さを感じます。
高見沢 確かにこんだけやっていると、認めてくれたなかった人も認めてくれるようになるよね。
坂崎 吉田拓郎さんも「俺は認めるよ、お前らには70までやって欲しい」って言ってました(笑)。

――41年間って、好き嫌いの好みを越える力がありますよね。
坂崎 でも売れなかった頃の生活は悲惨でしたよ。高見沢なんて水を飲んで暮らしてたし。
桜井 極貧でしたね。
高見沢 お金は全部レコードに使っちゃうんです。でも若いときの苦労は苦労と思わないんですよね。

――では、音楽的な行き詰まりは?
高見沢 それは「メリーアン」(1983年6月発売)の前、いろんな曲を出しても当たらなかった頃かな。そろそろヒット曲を書いてくれって言われるんだけど、そんなもん、書けるか!って。
桜井 それまでいろんなことやったんだけど、見事に全部かすっていくわけです。そのおかげで打たれ強くなっていたし、このままコンサートの動員が増えていけば、確実にどうにかなるだろうと思っていたんだけど、ヒット曲ってそうそう出るもんじゃないんですよね。

――「メリーアン」はいける(売れる)と思いました?
高見沢 全然。ていうか、その前のシングルの「暁のパラダイス・ロード」(1983年3月発売)って曲でいけると思っていたんです。そのとき作っていたアルバムからもう1曲シングルカットしよってことになって。もう何を出していいかわからないから当時のディレクターにまかせて出しのたが「メリーアン」。それがじわじわっときて、武道館公演が終わった後にヒットしたんです。

――イメージとしては一気にきた印象でした。
坂崎 その頃、『ザ・ベストテン』(1978年1月19日〜1989年9月28日放送 TBS系)に出たのが良かったんですよ。“今週のスポットライト”っていうコーナーで紹介されて。しかもそのとき大阪城ホールからの中継だったから、お客さんが会場で一体になっている映像が流れた。ああいう(ライブの)光景は当時、テレビで流れたことはほとんどなかったんじゃないかな。

――初めて見た人は多かったと思います。今でこそ当たり前になりましたが、当時は何万人ものお客さんが完全に同じ動きで盛り上がっているっていう、あの一体感は驚きでした。
高見沢 でも、あれも僕らがああいう風にしろって、お客さんに言ったことはないんですよ。
坂崎 僕らは淡々と演奏しているだけなので。
桜井 ただ、乗るときは乗る、聴くときは聴くって、メリハリをつけて欲しいってことだけは言っていました。聴いて欲しい曲のときに騒がれると困るから。
高見沢 それは今でも変わらないです。それで、僕らは粛々とやるっていう。

精神的にモチベーションが下がったことはない

――そうやって毎年、ライブを欠かさずやってきたわけですが、休みたいと思ったことはないんですか?
高見沢 ないな〜。
坂崎 だって休みたくても次がもう決まっちゃってるんだもん。
桜井 そこで休んでご覧なさい、お前が責任取れってなっちゃうでしょ?(笑)。
高見沢 僕ら常に来年含めて、だいたい1年単位でスケジュールを考えているんですよ。
坂崎 だから休むとなると、再来年って話になるから、そうなると今の時点でそんな先のことわからないじゃないですか。
高見沢 もし休むって言っておいて、やりたくなっちゃったらどうするの? って話で。それは困るでしょ。
坂崎 それがずっと続いてきただけなんです。
高見沢 だから逆に5年先6年先のこととかは全く考えてない。そういう戦略はゼロ。常に次のコンサートのために何をやるか考えていて、そこに向かってテレビやラジオに出たり、
シングルを出すっていう感じなんです。
坂崎 そうやってちょっとずつステップアップしていったんですよね。
高見沢 今後もとりあえず210歳までやるっていう以外には特に具体的な目標はないです。むしろ、そこに行き着くためにはあまり物事を深く考え過ぎないことが大事かなと。
坂崎 ストレスを貯めないことは大事。で、あとは気をつけるのは塩分の取り過ぎですかね?

――体調管理ですね(笑)。
高見沢 そうそう、数値は大事。
坂崎 塩分は1日7グラム以下。
桜井 お前、それじゃ人生つまらないだろ?
坂崎 薄味に慣れると、全然そっちのほうが楽だよ。
桜井 俺は特に何もしない。今までどおり。急に俺が体を鍛えても怪我するだけだから。ま、逆らわないようにやるのがいいのかなと。で、あと大事なのはモチベーションだよね。ステージに立つのがやだって思っちゃったら、終わりだから。

――実際、「今日は立ちたくない」って思ったことはないんですか?
坂崎 ないですね。強いて言えば風邪ひいたとか、体調が悪いとちょっとしんどいなって思うぐらい。
高見沢 でもそういうときも3人いると「今日はちょっとまかせるよ」ってカバーできるんだよね。そこはバンドの強みだと思う。
坂崎 だから精神的にモチベーションが下がったことはないですよ。体調さえ良ければライブは楽しいものなので。
高見沢 音楽性より人間性。その楽しさがお客さんに伝わればいいし、楽しんでいる俺らを見てもらえればそれが最高。だって俺らはやりたくないことをやっているんじゃなくて、やりたいことをやっているわけで、それなら楽しいほうがいいじゃない? 仕事という感覚もプロですから持っていますけど、それよりも音楽の良さってものを伝えていきたい。音楽は音を楽しむものですから、そこはミュージシャンとして210歳になっても守ってきたいところですよね。
坂崎 よし、キマッた!
高見沢 お前がしめるな!(笑)。

(文:若林正子)
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