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デビュー10周年を迎えたリュ・シウォン、韓流ブームを振り返る

 昨年デビュー10周年を迎えた韓国出身の歌手で俳優のリュ・シウォンが、3年ぶりに日本でアルバムを発売。ドラマ『美しき日々』でチェ・ジウと共演し、ぺ・ヨンジュンやイ・ビョンホンといった韓国出身の俳優らと共に日本で空前の韓流ブームを巻き起こした。これまでの日本での活動や韓流ブーム当時を振り返り語った。

3年ぶりのアルバム発売は、やっぱり嬉しかった

――3年ぶりに日本でのCD発売となりましたが、決まったときは、どんな気持ちでしたか?
リュ・シウォン やっぱり嬉しかったですね。これまでは毎年のようにCDを発売してきていたんですが、しばし個人的に時間を過ごした後、また新しい歌をファンのみなさんにお届けして、コンサートができる。そう思うと、とてもワクワクしています。

――日本語の歌詞を歌うのも久しぶりだと思いますが、苦戦しなかったですか?
シウォン 全然大丈夫です。もう11年も歌っていますからね(笑)。ただ、レコーディングブースに入って制作に臨むというのが久しぶりだったので、最初は少しぎこちなかったと思います。でも、それもすぐに慣れました。

――収録曲はすごくバラエティに富んだ曲調ですが、その中でもリード曲の「はじめての笑顔」はポップで軽やかなナンバーで、とても聴き心地がよかったです。
シウォン 本当なら僕もそこそこいい年齢なので(笑)、もうちょっと大人っぽい曲をリード曲にしたいなって最初は思っていたんですね。でも、実際に歌ってみたら、「はじめての笑顔」のサビの部分がレコーディングが終わっても頭の中に浮かんできて、思わず口ずさんでしまっていたんです。ということは、きっとファンの人たちも気に入って、コンサートのとき、一緒に歌ってくれる。そう思ったので、この曲をリード曲にしたんです。それに今回のアルバムは3年ぶり。それだけにリード曲も重いバラードより、こういった明るく楽しい曲のほうがいいと思いました。

――「ファンの人と一緒に歌いたい」と言っていましたが、「心の花」もファンへの気持ちを表現した曲になっていますよね。
シウォン そうですね。「心の花」は、この11年を振り返った曲で、ファンの人と僕がお互いのことを想い合う。そういうメモリーを辿れるような曲になっていると思います。

――「幾億の星の中」も、とてもせつないバラード。愛がこめられた、すごくステキなナンバーだなって思いました。
シウォン 実は、この曲が最初はリード曲候補だったんです。もともと僕自身も、この曲のように、雰囲気があって、ちょっと重みのあるバラードが好きなんですね。でも、久しぶりの発売となる今回は、明るい曲、明るい姿をみなさんに届けたかった。それで最終的に「はじめての笑顔」をリード曲にしてもらったんですよ。ただ、僕も「幾億の星の中」は大好きな曲なので、心を込めて歌いました。

――このあと、ツアーも控えていますが、「Try Your Wings」は、まさにライブにピッタリな爽快な楽曲ですね。
シウォン そうですね。この曲は、とてもノリがよくて、僕自身、最初に聴いたとき、これはコンサートでファンのみなさんと一緒に楽しめる曲だなって思いました。それで今回のアルバムに入れたと言っても過言ではないんです。去年は10周年記念ということで日本武道館でコンサートを行ったんですが、今回のアルバムとツアーは、ファンのみなさんとさらなる10年を歩みたいという思いで作ったもの。だから、新しい思い出が作れるようなものにしたいですし、ファンのみなさんに楽しんでいただくことはもちろん、僕自身も思い切り楽しめるようなものにしたいと思っています。

“韓流ブーム”当時は、何か考える間もないくらい忙しかった

――日本で11年も活動していると聞くと、もうそんなに経ったのかと驚きます。リュ・シウォンさん自身にとっては、この11年は長かったですか? それとも短かったですか?
シウォン 長かったです。僕が最初に日本にきたのは2004年だったんですが、当時は、これがどれくらい続くのか? と少し懐疑的でしたね。その頃はいわゆる“韓流ブーム”だったので、それは2、3年で終わるのではないかと思っていましたから。でも、個人的には、せっかく日本で活動するからには一生懸命やりたいと思って頑張りました。その結果、こうして11年目を迎えることができ、コンサートの回数も通算100回を超えるまでになった。その間に、日本を外国とは思えないくらい親近感が沸いてきました。だから、これから先もファンの人が望んでくれるのであれば、この縁を続けていけたらなと思っています。

――リュ・シウォンさんは、今おっしゃっていた“韓流ブーム”を牽引してきたおひとりですよね。その当時の人気をご自身は、どう捉えていたんですか?
シウォン 当時はNHKでドラマ『美しき日々』が放送されていたので、何か考える間もないくらい忙しかったですね。最近の韓国のアイドルは、あらかじめ準備をして日本に進出していますが、あの頃の僕やぺ・ヨンジュンさん、イ・ビョンホンさん、パク・ヨンハさんは、『美しき日々』や『冬のソナタ』といったドラマが突然日本でブームになり、何の準備をする間もなく、急に来ることになったので(笑)。僕らは日本のことがわからないのに、日本のみなさんは僕らのことを好きでいてくれる。だから、嬉しくはあったんですけど、これは何なんだろう? というのが正直な気持ちでした(笑)。ただ、そのとき僕が早めに決めたのは、日本でCDを発売しようということ。そうすることで、少しでもこのブームを長く続けていけるようにということを考えたんです。そのために、韓国でやっていた番組MCの仕事も全部辞め、日本に来て、日本に全て合わせて過ごしました。僕の30代は、ほぼ日本で過ごしたと言えますね(笑)。でも、そのおかげで日本でたくさんのファンの人から愛情をいただけたんだと思います。

――それだけ日本での活動に力を注いだことに後悔はないですか?
シウォン 全くありません。もちろん、日本での活動に集中したことで、韓国では、僕がもともといた位置から、少し離れてしまったというのはあると思います。でも、得るものがあれば、失うものがあるのは当然のことです。20代は韓国での活動に捧げ、30代は日本での活動に捧げた。僕にとって、どちらでの活動がより重要ということはないんです。だから、40代は、両方の国で、半分半分で活動していければいいなと思っています(笑)。

ずっと日本で活動していることに対し、不安もあった

――最近は、韓国のドラマや音楽も、すぐに日本で観られたり聴けたりしますしね。
シウォン そうなんですよ。例えば、最近韓国で始めた番組も、リアルタイムで日本で観られるんです。もう今や、韓国、日本と活動を区別する必要がない時代が来た。だから、半分半分が可能だと思います。

――まさに今の状況は10年前とは違ってきているわけですが、それをリュ・シウォンさんは、どう感じていますか?
シウォン 確かに、とても便利にはなったと思いますが、それと同時に“韓流”というものの盛り上がりが、10年前より下がってきているのも事実だと思います。幸い僕の場合は、たくさんのファンの方がいらっしゃって、ずっと応援してくださっているので活動ができている。でも、僕たちが日本に最初に来た頃と比べて、韓国の俳優やアーティストが活躍する場が少なくなってきているのは残念ですね。だから、もうかつてのように“韓流”という一方的なものではなく、日本と韓国の文化が交流するということ。それを中心に据え、いいものはお互いに共有するという気持ちで、今の状況を少しずつ解決していければいいんじゃないかなと思っています。そのために、両国の関係をやわらかくほぐしていく。そういう役割を、韓流第一世代と言われる存在の僕が果たしていければいいなと思っています。

――日本と韓国、どちらの国に対しても思い入れをお持ちなんですね。では、これまで日本で活動してきて辛かったこと。逆に楽しかったことはありますか?
シウォン 辛いというよりも、少し寂しかったという部分はありました。もちろん、たくさんのファンの方がいて、愛情を送ってくださっていたんですが、あくまでもここは日本。だから、コンサートの場などでは、韓国のファンのみなさんも一緒にいたらなって思ったりしたこともありました。とても幸せではあったんですが、ひとりで外国に来ているわけですから、やぱり1%くらいの物足りなさを感じてしまうことはあったんです。それに、ずっと日本で活動していることに対しても、果たして、これが正解なんだろうか? 韓国で活動しなくても大丈夫なのかな? という不安もあった。たぶん、それが寂しさに繋がっていたんだと思います。逆に楽しいことを上げたら数限りなくあって、例えばコンサートのとき、数万人の人が席を埋めて応援してくださったこと。その光景たるや、とても口では表現しようがないですね。ステージに立って、みなさんの応援を受け取る瞬間は、とても僕の力になっていたんです。

――リュ・シウォンさんは俳優、歌手、そしてMCと他方面で活躍していますよね。それらをご自身の中では、どういうふうに位置づけていますか?
シウォン 韓国での活動は演技から始めて、歌手としての活動も少ししました。その後、日本で活動することになったとき、韓国での歌手活動に対して少し心残りであったり、夢を抱いていた部分を、ある意味、日本で実現できたと言えると思います。今は韓国では主に演技とMC、日本では歌手活動をしているわけですが、どれが優先ということはありません。僕にとっては歌手も演技もMCも、それぞれ魅力が違うので、どれも好きですし、自分にとって大切な要素。だから、今後も全てに情熱を注いでいきたいと思っています。

(文:高橋栄理子/撮り下ろし写真:草刈雅之)

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