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国内初のハイレゾ配信デビュー・丸本莉子 コンプレックスだった“変わった声”に自信

 ときに優しく、ときにヒリヒリと、心の奥深くにまで響く独特の声質と歌い回しを持ち味とするシンガーソングライター・丸本莉子。メジャーデビュー曲「ココロ予報」はその声質を存分を生かすべく、高音質のハイレゾ先行配信という形となった。広島から上京して4年。日本各地を歌い歩きながらリアルボイスを届けてきた彼女がエールを送るのは「自分と同じ、すべての普通の人たち」。決して順調なだけではなかった夢をつかむまでの足跡、そしてこれからの目標について伺った。

特徴的な声を活かしたハイレゾ配信

──プロフィールの"新世代リアルボイス"というキャッチフレーズ、楽曲を聞いて納得しました。
丸本莉子 変わった声だね、というのは小さい頃からよく言われていました。父からは「カエルみたい」って言われて、昔は「もっと女の子らしい声だったらよかったのに……」とコンプレックスだったんですけど、音楽活動を始めて「声がいいよね」と言われるようになってからだんだん自信が持てるようになりました。でも、今もしゃべり声は好きじゃないんです。この間も姪っ子のムービーに入ってた「笑って〜」という自分の声に、うわーってなっちゃいました(笑)。

──一度聴いたら忘れられない唯一無二の声質は、アーティストとして大きな武器だと思います。「史上初・ハイレゾ配信でメジャーデビュー」も、この声だからこそ決まったことだったのでは?
丸本 声が特徴的だからハイレゾで出してみませんか? というお話をいただいて。ただ私も最初はハイレゾのことをよく知らなかったので、レコーディング前に「ハイレゾ勉強会」に参加させていただいたんです。やっぱり聴き比べてみると、音の違いがはっきりわかりましたね。

──メジャーデビュー曲「ココロ予報」については、ハイレゾと普通のCD音源と何が違いましたか?
丸本 CDでも音質は充分いいんですよ。ただ今回、ストリングスなどもすべて生楽器で録らせてもらったんですが、ハイレゾで聴くと一人ひとりの演奏している位置までわかって、音が立体的に迫ってくる感じなんです。声について言えば息遣いまではっきり聞こえるので、レコーディングも納得いくまで何回か録り直しました。

──「ココロ予報」はかつてインディーズでも音源化されていますが、新録にあたってこだわった点は?
丸本 最初は自分の声の特徴を生かそうと、低めのトーンを意識して歌ったんですよ。だけど聴いてみると自分でもあまりいいと思えなくて、スタッフさんも全員「これじゃない」という判断でした。たぶんメジャーデビューということで、どこかカッコつけてたんだと思います。でも、そもそもこの曲ってうまく歌うとかキレイに仕上げるタイプの曲じゃなかったなって思い出したんですよね。カッコ悪くても必死に歌詞と向き合わなければ、この曲は歌えないんじゃないかって。

4年間歌い続けた「ココロ予報」 自分だけの歌じゃなくなってる

──この曲は4年ほど前に作って、何度もステージで歌ってきたそうですね。
丸本 はい、広島から4年前に上京してきて初めて作った曲だったんです。もともと広島の『雨のち晴れ』(広島ホームテレビ)というテレビ番組の主題歌として作らせてもらったんですが、何の当てもなく東京に出てきて、生まれて初めて夢と現実の差を目の当たりにして、とにかくしんどい時期があったんですよ。でもこの状況を雨だとして、乗り越えたらきっと晴れる――私の中の『雨のち晴れ』をイメージして作ったのがこの曲だったんです。

──では今回改めて曲に向かい合ってみて、4年前と心境の変化がありましたか?
丸本 そうですね。4年前は自分のことでいっぱいいっぱいで、「ココロ予報」も自分のことしか歌ってなかったから、聴く人に届くのかな? と正直不安だったんです。だけどこの曲を聴いて、「明日手術だけど怖くなくなったよ」とか、「落ち込んでた心が晴れたよ」といった言葉をたくさんもらって、この4年間歌ってきたことで、私だけの歌じゃなくなってるんだな、という思いがあります。だから今回、少し歌詞を変えたんですよ。聴く人それぞれが自分の思いに重ねられるように、限定されるような言葉をなくしたんです。私自身も歌詞を変えたことで、新たな気持ちでこの曲を届けていこう、という気持ちになりましたね。

──丸本さんは4年前に上京する前は、広島で音楽活動をされていたんですか?
丸本 音楽活動は高2から始めて、高校を卒業したらすぐ上京しようと考えてたんです。だけど両親に大反対されて、卒業後は訪問介護の仕事をしながら音楽活動を続けていました。仕事は楽しかったし、音楽も続けられるし、このままでいいやと思いながら2年経った頃、職場の支店長さんが背中を押してくれたんです。「本当にやりたいことがあるなら、東京に行ったほうがいい」と。その頃には家族も賛成してくれていたので、よし行こう! と決めた2ヶ月後には東京にいました。

──フットワークが軽い! でもその後は先ほどもお話に出たように……。
丸本 そうですね。東京に行ったら、毎日好きな歌が歌えて楽しいことばかり、なんて甘いことを考えてたんですよ。だけど東京だって広島だって、自分が頑張らなければ何も始まらない。「同じじゃないか」と気づいたんです。唯一違うのは、友だちや家族がいないこと。お金がなかったので、家具も何もない部屋で、毎日のように広島に帰りたいと思ってました。

──それでも東京に踏み留まって頑張ってこれた理由は?
丸本 やっぱり応援してくれる人たちがいたことですね。もともと「ココロ予報」を作るきっかけになったテレビ番組の主題歌のお話も、広島のテレビ局の方が上京するにあたって応援したいということで、お話をくれたものだったんです。ノート3冊分くらいの歌詞を書くくらい何度もダメ出しがあってしんどかったけど、その後この曲をきっかけにいろんなことが決まっていったので、諦めなくて良かったと思いますね。

小さいころから広島カープファン!

──現在も東京を拠点に活動していますが、やはり広島には思い入れがありますか。
丸本 そうですね。イベントやライブで広島に帰ると、やっぱり落ち着きます。それと何といっても広島カープですね! うちも小さい頃から家族で応援してるんですが、カープの勝利で街の雰囲気も活気付くというか、カープで一致団結するところは広島ならではです!

──丸本さんは「普通の女の子でも頑張れば夢は叶う」を掲げて全国でライブを続けていますが、このメッセージの意とするところを教えてください。
丸本 私はこれまで地域活性プロジェクトに参加させてもらうことが多くて、地域ソングとか地方CMソングなどを作らせてもらってきたんです。そのきっかけは声を気に入ってくれたこともあるけど、普通にどこにでもいるような素朴さがいいということで決まったことも多くて。特別スタイルがいいわけでもない、美人でもない私が歌うから、共感してもらえるところもあるということみたいです。そういう活動を通して多くのリスナーの方たちと出会って、メジャーデビューまで来れたんです。だからこれからも、普通に生きている人と同じ感覚で、夢や目標を持っている人と「一緒に頑張ろうよ」という気持ちで寄り添えるシンガーでありたいと思います。

──丸本さん自身の今の夢や目標は?
丸本 玉置浩二さんのように、声の存在感で覚えてもらえるようなアーティストになりたいです。あと、近い目標としては日本武道館のステージに立ちたいですね! 実は上京したての頃に、画用紙に「日本武道館コンサート」と書いて壁に貼っていたんです。アーティストの方がよく「武道館のステージに立った人間にしかわからないものがある」とおっしゃってるので、どうしてもそれを感じに行きたいんですよ。

(文/児玉澄子)

<INFORMATION>
スタジオライブ生配信
丸本莉子 LIVE at Victor Studio 『一本勝負!!』
日時:2015/07/16(木)20:00〜
配信サイト:GYAO! MUSIC LIVE

丸本莉子 - ココロ予報(Music Video)

1st 配信シングル「ココロ予報」(通常配信)
2015年7月8日発売
販売価格:250円
1st配信シングル「ココロ予報」(ハイレゾ配信)
2015年6月10日発売
デビュー記念・期間限定価格:250円(税抜)
丸本莉子公式HP(外部サイト)
丸本莉子ビクターHP(外部サイト)
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