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THE STARBEMS『日高央&越川和磨が考える最適な音楽の伝え方とは?』

ここ数年はフェスの細分化が始まっている(日高)

――日高さんはビークル時代からいわゆるライブバンドとして活動されていますけど、最近はパッケージよりもライブに重点を置くバンドも増えていますよね。何か意識面で変わられたことってあります?
日高意識的にはそんなに変わっていないですね。仰ったようにもともとライブバンドとしてやってきましたから、改めてライブに力を入れていこうというよりは、引き続きやっていくぞという。
越川僕は音楽の本来の楽しみ方に戻ってきているのかなという気はします。CDで聴く音楽とライブハウスで“観る”音楽って、同じなんだけど全く別物で、それぞれ匂いもあれば表情も違うんです。空気やムードは、その生の空間でしかないし、そこで生まれてくるバイブスもある。自分らのビートとお客さんのビートが一緒になってノるっていうのは、原点なんですよね。

――パッケージは購入しないけど、フェスなどの“体験”にはお金を払う、というリスナーが増えているとも聞きます。
越川フェスはレジャーみたいになっていますよね。
日高ここ数年はフェスの細分化が始まっています。朝霧JAMなんかは象徴的で、ああやってユラユラ楽しみたい人は朝霧、アウトドアでキャンプのように楽しみたい人はフジロックへとか。そういうフェスの棲み分けは面白いと思います。だから、我々もフェス的なことをサクッとやれたらいいんですけど、まだ人気ないので(笑)。スタッフの人件費とかを考えると、バンドでフェスをやっている人はすごいなと思います。

――音楽も伝える手段がいろいろ増えてますけど、日高さんは音楽を伝える手段として一番最適なメディアはなんだと思いますか?
日高現時点ではBlu-ray Discが一番いいと思っています。容量が大きいですから、カタログが少ないアーティストなら全アルバム、過去のMVまで入れられる。手ごろなオーディオコンポでBlu-rayが再生できるようになればラクなんですけどね。

聴いて消費されるだけではだめだと思う(越川)

――最近はハイレゾ音源も話題を集めていますね。
越川でも、ハイレゾを再生する環境がないと意味がないんですよね。個人的にはお金のない人は悪い音質のまま楽しんで下さい、と言っているみたいで……。良い音質じゃないとロックは最大限に楽しめないかというと、MP3でもかっこいいものはかっこいいですから。
日高俺らが中高生の頃の再生環境なんてひどいもんでしたからね。セックス・ピストルズやザ・クラッシュはカセットテープで聴いてたけど、十分熱くなれていたし(笑)、それにMP3は便利なので、一概にダウンロード否定派ってわけではないですけど。

――動画サイトなどで音楽を知る若者も増えていますが、それについてはどう考えていますか?
越川キッカケとしては便利だし辞書みたいなもんですけど、聴いて消費されるだけじゃなく、そこからお金を出して購入することにつなげていかないとダメだと思いますね。
日高“水道はタダではない”ということですね。水道から出るお水はタダで飲める感覚があるけど、使った分の料金は払ってるわけじゃないですか。水へのありがたみをみんな忘れちゃってるんですよ。それと同じで、“タダで聴ける”という感覚になってしまうのは怖いなと思いますよね。

――そこのバランスは難しいですよね。そういうことも踏まえたうえでのアーティストとリスナーの理想的な関係ってどんな状態だと思いますか。
日高リスナーとアーティストが対等に上がっていくのが理想ですよね。入ってくる情報を受け止めるだけの子もいるけど、俺は探すリスナーだったんですよ。お互いに面白いことを突き詰めていくようなグイグイ感が持てればいいのかなと。我々もそうなんですけど、好きなバンドのライブに通っているうちに、自分自身もアーティストになっちゃう人っているじゃないですか。そういう健全さがシーンに欲しいなと思うんです。

――リスナーにはどう音楽を楽しんでもらいたいですか?
越川自分もリスナーである以上、純粋に音楽を聴いて楽しんでくれたらいいですね。
日高相談してほしいです。「今何を聴いたら面白いんですか?」と、恐れずこっちに投げて下さい!

(文/井桁学、編集部)

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日高央&越川和磨インタビュー

THE STARBEMS「Vanishing City」MV

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