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少女時代『日本のガールズグループに少女時代が与えた影響とは!?活動と魅力に迫る!』
記録更新尽くめの日本デビュー!
韓国で少女時代がデビューしたのは2007年。テヨン、ジェシカ、サニー、ティファニー、ヒョヨン、ユリ、スヨン、ユナ、ソヒョンという9人のメンバーは、当時からそのまま。本国でガールズグループのトップの人気を誇っていた彼女たちは、2010年夏、KARA、4 Minute、BROWN EYED GIRLSなどが日本デビューしたK-POPブームの幕開け期に、真打ち登場といったムードで日本上陸を果たした。
最初の作品は、同年8月に発表されたDVD『少女時代到来 〜来日記念盤〜 New Beginning of Girls' Generation』。YouTubeでミュージックビデオが莫大なビュー数をカウントしていた彼女たちだけに、まずは歌とダンスという最大の武器を映像で見てもらおうという手法が取られた。初来日となった8月25日の東京・有明コロシアムでのショーケースライブは、2万人超の来場者が見込まれることから、異例の3回公演行い、日本での少女時代への期待値は、当初の想定を大きく上回った。
同年9月に日本デビューシングル「GENIE」を発売。初週4.5万枚を売り上げ、週間シングルランキング4位に初登場。ソロ歌手を含む海外女性アーティストのデビューシングルとしては、KARAが「ミスター」(初週売上2.9万枚)で記録した5位を上回り、歴代最高の初登場順位記録を更新した。そして、翌月発売された2ndシングル「Gee」は、初週6.6万枚を売り上げ、週間シングルランキングで2位に初登場。海外女性グループのシングル週間TOP3入りは、英5人組姉妹グループ・ノーランズが「ダンシング・シスター」(1980年7月発売)で1980年12/1付シングルランキング2位を記録して以来、30年ぶり史上2組目。日本を除くアジア女性グループとしては史上初の記録となった。
洗練されたサウンドプロダクトと、J-POPには無いメロディー感のマッチングはかなりの新鮮度。歌の面でも、9人それぞれボーカルの役割がはっきりしているのも少女時代の特徴。歌のラインも、1人ひとりのソロパートから、ユニゾンでのサビに入り、後半では伸びやかなフェイクがレイヤーのように重なっていく。1曲の間に歌で徐々に景色を変え、繊細さとダイナミズムを絶妙なバランスで聴かせていくのだが、それも個々のボーカルスキルがあればこそ。
少女時代らの登場以降、J-POPシーンでも集団性を活かしたダンスが主流に
さらに、少女時代は卓越されたフォーメーションダンスが特徴的で、9人がきれいなV字を描いたりとシンクロ度はかなり精密だ。そして、個々の違った振りが組み合わさることでより表現力が増し、華麗なパフォーマンスのバリエーションにも目を見張るものがある。
もちろん、J-POPシーンでも歌とダンスで見せるグループは存在したが、少女時代やK-POP勢の登場以前と以降では、ダンスの見せ方が大きく変化した。現在のように、集団性を活かしつつ表現力を追求したダンスが主流となったのは、彼女たちの存在が間違いなく大きい。当時メディアで書かれたように、まさにJ-POPシーンの“黒船”として、大きな刺激を与えたのだ。
そんななか少女時代は、2011年6月に1stアルバム『GIRLS' GENERATION』を発表し、初週23.2万枚を売り上げ、週間アルバムランキング首位に初登場した。同じ韓国出身で所属事務所の先輩でもあるBoAが『LISTEN TO MY HEART』(2002年3/25付)で記録した初週売上23.1万枚を9年3ヶ月ぶりに上回り、海外アーティスト歴代1位となる「1stアルバム初週売上」新記録を樹立した(1970年1/5付の週間LPランキング発表開始以降対象)。しかも、『GIRLS' GENERATION』に収録されていた、「MR.TAXI」や「BAD GIRL」にしろ、世間一般的なポップソングではなく、クラブミュージック的なアプローチが強い。その後の「PAPARAZZI」や「FLOWER POWER」にしろ、メインストリームにありながら、そこと迎合しない攻めの姿勢が、少女時代の存在感をより高めたようにも思う。
実力と抜群のスタイルで女性ファンの憧れに
その後も日本と韓国での活動を平行させながら(加えて、欧米アジアとワールドワイドに活躍)、2012年11月に2ndアルバム『GIRLS' GENERATION II 〜Girls & Peace〜』、2013年12月にアルバム『LOVE&PEACE』を発表。日本で多く支持され続けたのは、彼女たちの魅力はもちろんだが、音楽というカルチャーでグループとファンと繋がれていたことがとても大きい。使い古された言葉だが、音楽は国境を越えることをリアルに体現した。
それは楽曲制作面だけでなく、3度の日本ツアーで見せたパフォーマンス、演出面も含めたライブのパワー、説得力というのも大きかった。「彼女たちは、やっぱりライブグループだと思います。表には見えない部分ですが、すごく鍛えてるし、ライブに込める気持ちもほんとにすごい」(団野氏)
『THE BEST』には、そうした5年間の日本での活動が楽曲として刻まれている。ダンスミュージックだけでなく、ポップな「BEEP BEEP」や「LOVE&GIRLS」、バラード「Time Machine」など、少女時代の音楽の振り幅、9人の歌の表現力の高さを改めて痛感できる。なかでも注目は、ボーナストラックとして収録される新曲のバラード「Indestructible」だ。
「この曲は、初めてメンバーの思いを歌詞に反映させた、9人の絆の曲です。韓国では10年近く寮生活をしていて、これだけ多忙で、ずっとトップであり続けている。並大抵の精神力じゃないですね。それだけ一緒にいれば関係が不安定になることもある。ただ彼女たちは、今回の日本のツアーを通じてそれを乗り越えようとしているのをすごく感じました。この9人じゃないとできないことがあるよねって。その気持ちがこの歌詞にはリアルに歌われています」(団野氏)
国立代々木競技場第一体育館での公演では、ダブルアンコールで「Indestructible」のMVが流されたが、9人の信頼感を歌った歌詞の1つひとつが大きく胸を打った。どんなことがあって崩れない太い絆を再確認できた9人。それを彼女たちに思い出させたのは、支えてきたファンの力がとてつもなく大きい。
様々な国で活動する少女時代は、韓国デビューから7年間トップスターとしてあり続けている。しかも9人誰も欠けること無くここまで走ってきたのは、個々がずば抜けたメンタル、フィジカル、スキルの持ち主だというのを容易に想像できる。その上で、少女時代の名に恥じない、最高のパフォーマンスをファンに提供し続けて来た。ほんとの意味で強い女性像を体現し続ける少女時代が、ここからどんな新しい姿を見せてくれるのか、期待感を抱かずにはいられない。
(文:土屋恵介)
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